アンジーズリスト新任CEOスコット・ダーチェラグを待ち受ける課題

ユーザのリヴューにお金を払う気にさせることはかんたんではない。
ひとつの法則として、消費者はオンラインのコンテントにお金を払うことをためらう。そしてそのコンテントが、ごくふつうの人が自分の限られた経験にもとづいて書いた意見や見識だとしたら、払うことはいよいよ途方もないことになる。現にイェルプに寄せられたレストランのリヴューにアクセスするためにお金を払う人はいないし、トリップアドヴァイザのホテル・リヴューやアマゾンのプロダクト・リヴューもそうだ。これと同じことがベター・ビジネス・ビューローにおける会社格付けにも言える。また、ホームアドヴァイザなどのサイトにおける建設業者や家屋改装専門家のリヴューもそうだし、昨年開設されたアマゾン・サーヴィシズもそうだ。
だとすれば、あるサーヴィスがユーザのリヴューやレーティングを見るために有料会員制をとるのは奇妙なことだろう。それは多くの人がかねてよりこの手のビジネスモデルの有効性に疑問を抱く理由とも言える。たとえば、アンジーズリストだ。
「これは有料会員の価値があるサイトなのだろうか? (...)このようなサーヴィスの閲覧のために費用を投じるべきなのか? どこかよそに同じ内容、あるいはもっとよい情報をタダで得られる場所があるのではないか? 」とPCワールド誌はかなり前から、すなわち2011年の記事で指摘している。それから4年が経ち、その責任は新任のCEOスコット・ダーチェラグの肩にかかっている。彼はベスト・バイ、エクスペディア幹部を歴任してきた。今回同社のプレジデント兼CEOとなった彼を待ち受ける難題はどんなものか。
定期購読料:
2011年にPCワールドが疑問を呈したとき、アンジーズリストは年会費を29ドル課金していた。この値づけは新規都市展開と顧客満足度の維持のために必要という理由で設定された。一般的な例でいえば、自宅の改装のため、浴室を新調したいのでちょうどよい建築業者を推薦してほしいという動機だとアンジーズリストの月会費3ドルを支払う人が多い。オンラインでクーポンを見つけて、年会費を実質6ドル程度まで引き下げるのはむずかしくなかった。クーポンの値引き分のうち、一定の割合は同社の売上高になる。
認知度と信頼度:
アンジーズリストがじっさいに年会費を払うだけの価値があるというのなら、同社は無料で提供されている数あるリヴュー・サーヴィスよりも優れていることを示す必要がある。アンジーズリストの価値と信頼度について疑問を提起している媒体にはコンシューマ・リポーツがある。同誌は2013年にアンジーズリストが一部の店舗に、追加料金を払うことでB以上の評価を付与し検索結果で優遇するという処遇を施したことを批判した。「同社の売上高の70パーセント近くがこうして高評価を得たサーヴィス業者からの広告料だった」とコンシューマ・リポーツは論じ、公平性について懸念を示している。
コンシューマ・アフェアーズは、一般の人が付けたレーティングを集計するサイトだが、アンジーズリストを5段階の1つ星と評価している。この低い評価の理由はだいたいにおいて、中小店舗がアンジーズリストの営業担当からさかんに広告掲載を持ち掛けられたことに苦情を述べていることのようだ。また、消費者からの言い分は、課金されるときに事前通告が不充分だという不満や、アンジーズリストで推奨されていた店舗が実際には普通以下だったりボッタクリだったというものだ。
アマゾン要因
誰だって体重800ポンドのゴリラと対決したくはない。それがアマゾンなら尚更だ。だが現実には、消費者の財布からどうやって分け前を得るか数多くの企業がしのぎを削っている。 アンジーズリストはいまや、アマゾン・ローカルとの消耗戦を強いられている。両社とも、相手方が自分の顧客の取引価格や店舗詳細を無断で持ち去ったと主張している。「競合のひしめく分野において、弊社は市場に出回るなかで最良のプロダクト、最良のサーヴィスを作り出す必要があります」と4月に当時のCEOビル・エスタールはアマゾンなどホーム・サーヴィス各社を評して述べたことをインディアナ・ポリス・ビジネス・ジャーナル誌が報じている。
今回エスタールが退任したことで後継とvなったダーチェラグは同社が最良のプロダクト、最良のサーヴィスだけでなく最良の価値を追求すると述べている。いまやアンジーズリストと同等の情報を無料で提供する他社が続出しており、有料であることへの疑問を払拭するだけの価値を届けられるかが課題だ。 続きを読む
(From the Time Money blog post. Thanks to Brad Tuttle.)