アナリスト:金融セクターのペアトレード提案

金融株は中国の成長懸念を受けて大きく下落しているが、ウォール・ストリートの目標株価は「ほとんど動いていない」とBMOキャピタル・マーケッツのジェームズ・フォザリンガムが指摘している。
フォザリンガムは投資家に「押し目買い」を推奨している。フォザリンガムはペアトレードとして、マスターカード買い/アメリカン・エキスプレス・カンパニー売りおよび、シティグループ買い/ウェルズ・ファーゴ売りを提案した。
火曜日に発行されたリポートのなかで、BMOキャピタル・マーケッツのアナリストであるジェームズ・フォザリンガムは合衆国の主要銀行および特定金融分野について分析を述べている。直近の金融株が下落するなかで、ウォール・ストリートの目標株価は「ほとんど動いていない」と彼は指摘し、「押し目買いの機会」を投資家に提案している。
フォザリンガムは投資家にペアトレードとして以下の2案を提示している。
マスターカードを買い、アメリカン・エキスプレスを売る
フォザリンガムの提案する1つめのペアは、マスターカードを長期投資として買い、同社の株主還元能力の高さが数年にわたって伸びていくことに賭けるというものだ。アナリストである彼は、マスターカードの2016年ないし2018年の3年間にわたる業績見通しは、PERが10台中盤となっており、同社自身の評価は「控え目」であると指摘する。さらに、同社は現在インド(決済インフラストラクチャを構築中)やブラジル(「一時的」には経済減速)そしてヨーロッパ(VISAヨーロッパをVISAが買収する可能性があり事業機会が潜在)での成長機会を積極的に取りに行っている。
一方、アメリカン・エキスプレスの株価はコストコ事業の売却から短期的に後押しされる見込みが高い。売却金額には20パーセントの上乗せ金が含まれると推測される。同社は前渡し金を活用し、発行済み株式の3パーセントから4パーセントに相当する自社株買いを実施する可能性があり、株価を押し上げるものの、「一時的なもの」にとどまるとみられる。
短期的な材料を除けば、アメリカン・エキスプレスはフランチャイズ拡張(人口急増地域における新規会員獲得など)から増収に結びつきにくく、同社の成長にとって「顕著な」向かい風になりうる。
これを受け、アナリストである彼は同社の株価収益率は「持続的な」成長機会の不透明さを受けて下方圧力にさらされると指摘している。
シティグループを買い、ウェルズ・ファーゴを売る
フォザリンガムの提案する2つめのペアは、シティグループの株を短期的な材料目当てで買う(高いリスクに持ちこたえられる投資家向け)というものだ。アナリストである彼によれば、シティグループの今後数四半期にわたる純利益は金融規制による自己資本比率に対し「比較的早い伸び」となる見通しだという。
ファザリンガムは併せて、新興国市場における銀行は中国への肩入れの比重からすれば20パーセントほど時価総額を落としたとしても、シティグループの株式については2パーセントないし3パーセントに留まると指摘。この数週間で15パーセントほど下落したシティグループの株価は「反応過剰」だという。
アメリカン・エキスプレスと同様、ウェルズ・ファーゴの株価はGEキャピタルからの商業部門買取によって短期的な後押しを受ける見込みで、現在の同社の純利益に対し4パーセント(かそれ以上)の底上げ要因となる。しかし、アナリストである彼はシティグループ自己資本比率や株主還元といった点で「上ブレのサプライズ要因」があるものの、ウェルズ・ファーゴにはそれに相当するカタリストが見受けられないと指摘する。また、シティグループについては自己資本比率改善にともなう株価押し上げ要因から、格上げの可能性が十分あるものの、ウェルズ・ファーゴに対する評価はすでに2012年ないし2014年の期間における平均値とくらべて高めの収益率で算出されている。
ファザリンガムはこのほかに短期的な投資として、「高リスク耐性のある投資家向け」としてサンタンダー・コンシューマ・USAホールディングズやスプリングリーフ・ホールディングズの株式を買うことを提案している。長期投資家については、キャピタル・ワン・フィナンシャル・コーポレーションの株式購入を検討することを提案している。また、JPモルガン・チェースが「バイ」から「アウトパフォーム」へと格上げされた。続きを読む
(From the Benzinga blog post. Thanks to Jayson Derrick.)