ピュア・ストレージのIPO:レートステージ企業最高水準の評価額に暗雲

ピュア・ストレージは評価額が数十億ドルにまで膨れ上がった新興企業が株式公開後もその勢いをもって、途方もない評価額を維持し続けるのがいかにたいへんか、示す実例となりつつある。
フラッシュ・メモリー・チップを製造する同社は10月前半にもIPOの公開価格を決定する見通しであることがIPOブティックの調査で判明した。同社の公開価格は16ドルないし18ドルに設定されることが木曜日に当局に提出した文書に記載されている。
この価格帯の中間で試算すると、ピュア・ストレージの評価額は31億ドルとなる。2014年4月に行なわれた直近の資金調達ラウンドで、ピュア・ストレージは2億2500万ドルを調達し、評価額は30億ドルに達した。なお、この価格設定は同社が取引開始される前日午後まで変更が可能である。
ピュア・ストレージは2014年から2015年の1年間で308%という圧倒的な売上増を発表しているが、同期間において赤字幅は133%拡大し、1億8320万ドルとなった。同社は提出文書の「事業等のリスク」欄において、2009年の「事業開始以来、弊社では会計年度ごとの黒字を一度も達成しておりません」と表明している。
同社の公開価格からわかるのは、10億ドルを超す評価額となった企業が公開市場において直面せざるをえない難題の数々である。
ヴェンチャー・キャピタルからの出資を受け、評価額が10億ドルを超えた未公開企業は少なくとも122社あり、これは1年前とくらべてほぼ倍増となっていることがダウ・ジョーンズヴェンチャーソースの調査で判明している。
ピュア・ストレージは今年になってからIPOを実施する、数少ないテクノロジ企業の1社である。合衆国でIPOを実施した企業の14%がテクノロジ企業だった。これはディールロジックによる調査では、過去最低水準の比率である。
2014年7月にはピュア・ストレージCEO、CTO、そしてプレジデントがそれぞれ15.72ドルで株式を売却しており、これはIPOの公開価格の下限近くである。同社の創業者でチーフ・テクノロジ・オフィサーを務めるジョン・カルグラヴは株式売却によって3百万ドルを手にし、CEOのスコット・ディーゼンはとプレジデントのデーヴィッド・ハットフィールドはそれぞれ310万ドル、1570万ドルを手にした。カルグラヴ氏は現在も同社の8.5%相当を保有しており、ディーゼン氏とハットフィールド氏はそれぞれ4.6%、1.5%相当を保有している。
ウォール・ストリート・ジャーナルですでにお伝えしている通り、フラッシュベース・ストレージ市場はきわめて急速な拡大と収縮を経てきた。
この業種で株式公開を実施した企業各社はいずれも市場平均を大いに下回る成績となっている。
フージョンアイオーはフラッシュ・ストレージ企業のなかで最初に上場した1社だが、2011年6月の取引初日の終値で20億ドル近くあった時価総額が、3年後サンディスクに買収されたときの評価額は13億ドルだった。
またフラッシュ・ストレージ企業であるヴァイオリン・メモリーは2013年に合衆国で実施されたIPOでは最低の結果となった。同社の株価は直近で1.59ドルとなっており、IPOの公開価格である9ドルから80%を超す下落となっている。続きを読む
(From the Digits blog post. Thanks to Maureen Farrell.)