マイクロソフトがインテル傘下のハヴォックを買収、量子エンジンのライセンス提供は継続へ

マイクロソフトはゲーミングでもっとも普及が進んだミドルウェア・ツールのひとつを傘下に収めた。
エクスボックスを手がける同社は今朝、テクノロジ企業「ハヴォック」を買収したと発表した。同社はインテルの子会社で、量子エンジンを制作している。たとえばヘイロー、ダーク・ソウルズ、デスティニーといったゲームでもハヴォックのエンジンが採用されていた。開発者は作業環境のなかにハヴォックを取り入れることによって、重力、摩擦、その他自然のなかにある力学をシミュレートするための円滑な道具を使うことができる。そのためだけにプログラマと数学者を集めてくる必要がなくなる。そして、マイクロソフトがこのテクノロジの権利者となった。といっても開発者の皆さんは恐れることはない。新しいボール(量子力学にしたがって動く)はこれからもあなたがたの手元で自由に扱えるうえ、今回の買収のおかげでマイクロソフトはアズール・クラウド・サーヴィスを利用するパートナー企業に対して、より使い勝手のよいツールを提供することもありそうだ。
マイクロソフトのファミリーにハヴォックを迎えることになり、わが社は開発者各社との連携によって一層すぐれたゲーミング・エクスペリエンスを実現していくとともに、ハヴォックの開発環境ツールをパートナー企業の皆様にライセンス提供してまいります」とマイクロソフトは今回の買収を表明するブログ記事で述べている。
業界のなかには、マイクロソフトがハヴォックのライセンス提供を継続することに安堵の念をもらす声が聞こえてきそうだ。任天堂ソニーエレクトロニック・アーツといった企業はいずれもハヴォックのテクノロジをゲームに採用したことがあり、今後も採用する可能性が大いにあったためである。
もっとも、マイクロソフト自身もハヴォックのパートナー企業だった。同社を丸ごと買収する必要を感じたのは理由のないことではない。それは、マイクロソフトクラウド・プラットフォームである「アズール」を開発者各社が利用することをめざしたツール群の提供を視野に入れていることだ。
「わが社は、マイクロソフトがこれまで開発者向けに提供してきたダイレクトX12、ヴィジュアル・ストゥーディオ、マイクロソフト・アズールといったツールおよびプラットフォーム・コンポーネンツにハヴォックを加えることによって、相乗効果は著しいと信じております」とブログ記事は述べている。「マイクロソフトがハヴォックを買収したことによってわが社の伝統である、開発者のエンパワーのためには世界規模での進出をねらった各社の創造戦略を後押しするツールを提供するという吉例を踏襲するものと存じます。また、開発パートナー各社をイノヴェーションによって後押しし、このイノヴェーションとしてはフル装備のクラウド・サーヴィスを構築することが挙げられます。先日わが社は『クラックダウン3』など最新ゲームの発表でもこれを実現しています」
最後の行の「クラックダウン3」の記載が同社の意図をもっとも反映しているだろう。オープンワールド・クライムゲームである同作品のマルチプレーヤー・モードにおいて、マイクロソフトはプレーヤーが摩天楼など世界に存在する物体を破壊するというプレイが可能となっている。このモードはアズールの環境においてのみ可能となっており、すなわちクラックダウン3の開発者である「スモー・デジタル」「クラウドジン」がクラウドベースの破壊描画エンジンを構築しているが、これにはハヴォックが採用されている可能性が高い。マイクロソフトがハヴォックを傘下に収めたことによって、今後も開発者各社に破壊描画エンジンをライセンス提供していく可能性は十分あるだろう。続きを読む
(From the VentureBeat blog post. Thanks to Jeff Grubb.)