ジャックが戻ってきてくれたことを歓迎する理由

この100日ほどのあいだ、というのはディックが取締役会でツイッターCEOをやめると言ってからのことだけれど、ぼくの職業人生のなかではかつてないほど教訓になる日々だった。ぼくはCEO選定委員として、8名の取締役会から選ばれた3名のひとりだった。この選定委員会の仕事は、社外の企業幹部紹介会社と連絡をとりあって、役職にふさわしい経歴をもつ候補をみつけ、取締役会へと推薦するというものだ。(最終的な決定は取締役会の投票できまる)
このあいだ、ぼくはおそらく、人生のなかでいちばん多く電話会議を行なったことになるはずだ。すぐれた株式公開企業CEOの具体的な吟味について、数え切れないくらいの討議を重ねて、「この」会社の「この」時期に必要とされる資質を話し合った。何人か、これ以上ないほどの経歴と人柄の幹部と面会した。それ以外にも数十名の幹部について話を聞いてきた。
これはたいへんな仕事量で、といっても選定委員会のなかでぼくはいちばん仕事量が少なかったけれど、そのあいだ感心したのは、今回のような難題を抱え、影響力の強く、きわめて多くの人の目にさらされた意思決定過程において取締役の皆がじっくり真剣に考えていることだった。
これがきっかけで、ぼくはかなり内省的に自分を振り返ることになった。ひとつは、テクノロジ企業のCEOとして、もうひとつはいま代表者を選び出そうとしているこの会社で自分もその代表者を務めたという自分だ。
よくいわれることだけれど、テクノロジ企業は創業者が率いるべきで、じっさいにもっともすぐれたテクノロジ企業はそうなっている。ツイッターがたとえば「2008年からジャックがそのまま務めていたら」、あるいは「2010年からぼくがそのまま務めていたら」というA/Bテストを実行してみることは不可能だ。そのあいだにいろんな出来事が割り込んでいたと思うし、じっさいにディックがうまく切り抜けてくれたほどぼくらはうまくやれなかった可能性が高い。それに、ディックが(グーグルのように)経営してくれた会社にぼくらがとどまっていたとして、どんなことになったかは知る由もない。
今日は新しい日になる。ツイッターはぼくらが駆け出したときに想像すらしなかったほど、すごく大きな、大事な存在になっている。これからもまだ生まれるべき可能性がたくさん秘められている。その可能性を開花させるまでには、たいへんなことがたくさんある。でも、会社をそこまで育てようと毎日懸命に取り組んでいる優秀で創造的な人が千人単位でいる。そしてジャックがチームの士気を高めるような道筋を示してくれたし、ツイッターのつぎの段階へむけて強気を貫いている。彼が会社の草創時を担ったという事実は、彼の展望に深みを与え、彼の話に説得力をもたらしてくれる。ぼく自身がそれに大いに賛成している。
これまでに、たくさん(たくさん、たくさん)選択肢が考えられた。真剣にそれを検討してきた。ジャックがふたつの会社のCEOを同時にやることの難題を念入りに討議してきた。正直にいえば、当初はスクエアの仕事から降りることがなければジャックに落ち着くとは考えてなかった。でも結局、それでもやる意味が十分あると判断した。
ツイッターにはいま、このかたちが必要なんだと自信をもっていえる。いまからどんなことになるのか、楽しみで待ちきれない。続きを読む
(From the Medium blog post. Thanks to Ev Williams.)