イーコマースのジェット・コムは3億5千万ドルを調達し19億5千万ドルの評価額に

ジェット・コムは新たに3億5千万ドルの出資を受け、これによってイーコマース・スタートアップである同社の評価額は13億5千万ドルになった。
投資信託の巨人であるフィデリティ・インヴェストメントが今回主幹事となり、前回から繰越して参画した投資家に加わった。
ジェットは「近いうちに」1億5千万ドルをさらに調達する見込みだと述べており、合計額を5億ドルに拡大することになる。これに加えて、1億25百万ドルの社債発行を実施し、シリコン・ヴァレイ・バンクからの与信枠を5千万ドル増額させ、さらにヴェンチャー資金の75百万ドル出資を受ける。また、これとは別件で小規模な「戦略的資本参加」を予定している。
ジェット首席経営執行役員のマーク・ローアは今回新たに加わった投資家の名前は公表していないと述べた。ヴェンチャー資金出資や戦略的資本参加の詳細にも触れなかった。
ジェットはアマゾンやウォルマート・ストアーズといった小売業の雄に立ち向かっており、家庭用品や家電、ペット向け消耗品の販売を手掛ける。同社は当初、50ドルの年会費によってディスカウント販売へのアクセスを会員に提供する計画で顧客確保をめざしたが10月にこれを断念した。
ローア氏によると、ジェットは前回の出資時に1億95百万ドルを株式および社債を通じて調達していた。
この調達は、同社が限られた現金をもって運営されてきたことから必要に迫られて行ったものである。
11月には、先日の資金調達計画によると10月末時点で同社の貸借対照表には63百万ドルの現金が計上されていたものの、76百万ドルが11月と12月で流出する見通しであることが判明したとウォール・ストリート・ジャーナルが報じた。ローア氏はジェットが以前見込んでいたほどの現金流出はならずに済み、2016年には4億17百万ドルの現金を費やすと述べた。
会員費収入は、ジェットのもつ多額のマーケティング予算を下支えすることが期待されていた。なお、火曜日にローア氏は2016年には2億7千万ドルを見込むと述べている。これは同社の営業利益を生み出す原動力である。ただし、今後同社はプロダクトへの課金をより多く割り当て2020年までに黒字化を見込み、事業の大型化を図るとしている。
新たなビジネス・モデルとしては「小売業および商業ブランド各社との密接な連携」をローア氏は挙げており、ディスカウント・サイトへの出稿を希望しない場合でも締め出しを行わないと表明している。それに並んで、アマゾンなど他社との対抗の必要も生じている。
ローア氏の話では、ジェットが提供している「スマート・カート」の顧客呼び込みで、同時に複数の商品を買うと割り引きになる施策に期待できるという。顧客への出荷時に梱包あたりの個数が多いとジェットにも節約効果が見込める。平均すると注文あたりの商品数は5.5個、梱包あたりの個数は3.1個だと彼は明かした。
ジェットはTVコマーシャル、大都市での看板広告に高額の予算を割いているものの、一般への認知が十分に進んだとはいえず、アップアニーの調査では合衆国内におけるアップルの「アップストア」ショッピングカテゴリでは現在63位となっている。続きを読む
(From the Digits blog post. Thanks to Rolfe Winkler.)