デルが傘下のペロット・システムズを50億ドルで売却しEMC買収資金の調達をめざす計画

デルは同社のテクノロジ・アウトソーシング事業の中核を占めるペロット・システムズの売却に向け、少なくとも50億ドル以上を目指して準備中であることがリコード誌の取材によって判明した。
ハードウェア・テクノロジの巨人である同社はCEOマイケル・デルとプライヴェート・エクィティ投資会社シルヴァーレーク・パートナーズの共同で経営されており、現在本業から外れている事業を売却することで100億ドルの資金を調達し、負債の比率をEM
C買収までに引き下げておきたい狙いだ。売りに出す値段としてはかなり強気ではないかと取材先は指摘している。
デルは2009年に39億ドルでペロットを買収した。すでに複数のITコンサルティング会社との接触を図っており、買い手として候補になっているという。これまでに接触した会社としてはタタ・コンサルタンシー・サーヴィシズ(インドを本拠とするテクノロジ・コンサルティングおよびサーヴィス会社)、エートス(フランスを本拠とするITアウトソーシング会社)、ゲンパクト(ニューヨークを本拠とするITサーヴィス会社で、以前はGEの子会社だった)、CGI(カナダを本拠とするIT会社)などが挙げられる。
このうちTCSとの交渉は先週一段進んだとされており、価格交渉となったが物別れに終わったという。TCSは年間売り上げが140億ドルに達しており、インドのタタ財閥の子会社である。タタは147年続いた工業コングロマリットで、ムンバイを本拠としている。
デルとシルヴァーレークのスポークスパーソンはそれぞれ、コメント要請に応じていない。一方TCS、ゲンパクト、CGI、エートスの買い手候補も同様である。
取材先によるとデルは同事業の売却を3か月前に着手しており、その後EMC買収計画を発表した。何社か打診があったが、そのなかにはITおよびコンピューティング企業各社のIBM、ヒューレット・パッカードエンタープライズ、さらにインドを本拠とするインフォシスが含まれている。上記の会社はすでに取引を見送った。
今回の売却はデルにとって、EMC買収へ向けた大事な地ならしとみられる。ペロットを売却すればデルはEMCの買収を予定通り完了する前に負債比率の引き下げを行なうための資金が手に入る。デルと共同経営のかたちをとっているプライヴェート・エクィティ投資会社シルヴァーレークはEMCの買収にあたって現金および株式の複合取引を提示しており、それによって10月12日に公表された成約金額は670億ドルだった。しかし、この取引完了にはいくつか大きな課題が残っており、取引の複雑さが脚を引っ張っていた。500億ドルの負債が生じる取引になることに加え、EMCには子会社のソフトウェア企業ヴイエムウェアがあり、デルとシルヴァーレークはヴイエムウェアの株式を購入し、それを担保にEMCの買収を進めようとしている。その後60日間が経過した取引過程において、EMCはデルの提案に勝る買収提案を待機していたが、土曜日の朝で期限は過ぎた。
デル幹部はこの取引発表の直後に保有する事業資産の売却を検討すると示唆していた。同社は先月、本業から外れる事業について売却を進め、100億ドルの資金を調達しようと準備しているとの報道があった。これは予定している負債の500億ドルのうち一部でも返済に充てるか、あるいはEMCに直接払うという計画だ。取材先がリコードに明かした話では、クエスト・ソフトウェアソニックウォールといった、2012年に同社が買収した事業の売却も検討されているという。
デルからの接触を受けたなかには、最近高額の買収をしたばかりの会社もあり、昨年エートスは10億5千万ドルを投じてゼロックスのITアウトソーシング事業を買収していた。2012年にモントリオールを本拠とするCGIは26億ドルを投じて英国のITサーヴィス会社であるロジカを買収した。CGIはこれによりカナダ最大のテクノロジ会社として、ブラックベリイの前に躍り出た。続きを読む
(From the Re/code blog post. Thanks to Arik Hesseldahl.)