クアルコムは改めて事業分離を否定

株主からの再三にわたる圧力のなかで、クアルコムは改めてチップ製造およびライセンス事業の分離を否定した。
「弊社のモデルによる戦略的優位や相乗効果は現状の組織形態以外では代えることのできないものです」とCEOスティーヴ・モーレンコーフはは声明文で述べている。「したがいまして弊社は現状の組織形態をもって、今後の戦略を進めつつ弊社をとりまく事業環境のなかで強みを構築し、成績と利益の向上にいっそう取り組んでまいります。計画としては、成長加速のための最善策をもって、その執行をすでに展開しております」
同社は以前よりこれらの事業における成長鈍化に面しており、前述の施策を検討するよう要請されていたが、取締役会では施策の効果が限定されるとの結論になった。取締役会で分離が議題になるのは少なくとも3回目である。
ウォール・ストリートの慣行ではこういった施策は歓迎されやすいものの、クアルコムからすれば2つの事業が社内に共存することの優位は大きく、たとえば共同研究開発によってコスト削減ができる。また、同社が成長鈍化に面している分野で分離が奏功するかはわからない。競合はチップ事業についても根強く、中国市場におけるライセンス事業もきびしい。
同社が事業再編をまったく必要としていないというわけではない。同社がかつて席巻していたLTEスマートフォンにおける供給は2015年に急速に鈍化しており、アップルがハイエンド端末における市場シェアを握ったことに加え、サムスンクアルコム製造のスナップドラゴン810の採用を見送り自社チップを選択したことが原因とみられる。取材先の話によれば、サムスンはスナップドラゴン820を来年のフラッグシップ・モデルの少なくとも一部に搭載する予定だという。これはクアルコムがチップをサムスン工場で製造することになったという事情が後押ししたものだ。続きを読む
(From the Re/code blog post. Thanks to Ina Fried.)