ジンガはマーク・ピンカスの後任としてCEOを任命、株価は8パーセント上昇

ジンガの創業者は首席経営執行役員の役職を退任した。これは2度目のことで、ウォール・ストリートは肯定的にとらえている。
ソーシャル・ゲーミング制作者である同社の株価は時間外取引で8パーセント増の2.31ドルとなり、日中取引の2.16ドルから大幅に上昇している。投資家のなかに、元エレクトロニック・アーツ幹部のフランク・ギボーがマーク・ピンカスの後任として首席経営執行役員になったことを好感している兆候が見受けられる。フェースブック内で数年にわたって「ファームヴィル」などのゲームが強みとなっていたジンガはその後、市場がスマートフォンタブレットを主体とするモバイルへと移行するなかで勝ち残りに挫折していた。元CEOとなったピンカスは2012年以来、株価を85パーセント目減りさせていた。そこでギボーへの交代が、エレクトロニック・アーツのモバイルでの強みを達成した彼の手腕を思わせ、市場に期待が広がった。
モバイル・ゲーミングは300億ドル規模の業種であり、ジンガの投資家たちが大きなシェアを熱望してきた理由でもある。だが「キャンディ・クラッシュ」連作で知られるキング社や、「クラッシュ・オヴ・クランズ」で知られるスーパーセル社が年間10億ドル近い売上をさらっていったことから、ファームヴィルが頼みだったジンガにとっては「対決できる新作」を打ち出すこともできず、稼ぎ頭の収入も減らすことになった。
現在、ジンガはグーグル・プレイにおける販売上位10作リストにひとつもゲームを送り出すことができずにいる。これは同社が2014年に「ファームヴィル2(カントリー・エスケープ)」リリース時に目標としていたものだった。このゲームは合衆国のアンドロイド向けゲームでは51位、アイフォーン向けゲームでは152位となっている(調査会社アップアニーの情報)。
しかしジンガはもはや「ファームヴィル」の会社とは言い難くなっている。むしろ、ソーシャル・カジノの制作者として「ジンガ・ポーカー」の会社というべきで、あとは「オズの魔法使い」や「グリース」といった名作を土台にしたスロット・ゲームがあるくらいだ。同社はしかし、「ジンガ・ポーカー」の新作をカジノ向けに打ち出そうとしたものの、結局ファンを置き去りにしてゲームの評判すら毀損してしまった。
「わが社は優先すべきことを検討するべきでした。プレーヤーの皆さんに体感していただきたい価値について」とジンガ・ポーカーのクリエーティヴ・ディレクターを務めるニック・ジョヴァネーロは2014年時点で新作の発表後に明かしている。「まずはソーシャルで、なおかつ熱中できる品質をもった、パーソナルな作品として皆さんがぜひ自分でプレイして上達したいと夢見るようなものにすべきでした」
ところがジンガ・ポーカーの目標がモバイルへと移るにつれ、プレーヤーはこれを嫌った。むしろ楽しみたいのはカードゲームで、わざわざ機能を増やすことは求めていなかった。ジンガはこれに逆行していった。
その結果は目にも明らかで、「ジンガ・ポーカー」の順位は次のチャートの通りとなっている。

7月には小変更が実施されたが、プレーヤーには受け入れられず、課金ゲームの利用も減少してしまった。その後「ポーカー」は順位を上げたり落としたりしたが、ジンガがプレーヤーの楽しみを長続きさせることに難儀しているのは明らかである。同社はさらには、2014年10月に新装版のアプリ「ジンガ・ポーカー・クラシック」を再発売したが、失われた評判を戻すには至らなかった。ジンガ・ポーカーもジンガ・ポーカー・クラシックもiOS向けアプリの販売上位トップ100にほとんど登場していない。
ギボーはあるいはこの状況をうまく乗り切る手腕があるかもしれない。彼はすでに、ジンガの取締役会に7か月勤めている。以前にもエレクトロニック・アーツがモバイルでヒット作「シンプソンズ:タップト・アウト」を出すのを主導したほか、無料ゲームの充実をめざしマデンやFIFAとの連携も始めた。こういった実績は必ずしもソーシャル・カジノには生かせないかもしれないが、ジンガにとってはこれまでにないファンタジーなど人気ジャンルへの進出のきっかけになるかもしれない。
こうした戦略が、ジンガが持ち合わせた隠れた才能を引き出すこともありうるが、まずはジンガの筆頭株主であるピンカスがギボーに対し、達成までの時間を与えるつもりがあるかを市場は見守ることになる。続きを読む
(From the VentureBeat blog post. Thanks to Jeff Grubb.)