マリッサ・メイヤーはインタヴューで、来年ヤフーを経営しているのはマリッサ・メイヤーと明言

ヤフーCEOマリッサ・メイヤーは今晩、チャーリー・ローズのPBS放映番組に出演し「会社の今後を見据えた彼女のヴィジョンを1時間にわたってインタヴュー」された。
で、どうだったかとお尋ねの方に一言でいえばこれまで同様シリコン・ヴァレイにおけるインターネットの巨人である同社の、彼女が着任して以来功を奏さずにきたことが繰り返されたといえる。ただ、関心を惹いたのはメイヤーが広報戦略を通じて会社の株主に向け、今日取締役を2名加入させたことの正当な理由を示すことだろう。ひとりは銀行出身のヘルスケア畑に強い取締役、もうひとりは半導体会社のチーフ・フィナンシャル・オフィサー出身。この人事はアクティヴィスト投資家として知られるスターボードヴァリュー社がメイヤーに敵対し委任状争奪戦を仕掛けている(数週内にも施行される見通し)ことへの対案でもある。ひとつ、取材先から得た情報によればスターボードはメイヤーの退任を求めるという。これはローズにとって、1年後にメイヤーがヤフーのCEOをつづけるつもりかと是が非でも訊きたいと思う理由でもある。
「ええ、ぜひそうしたいと、くりかえしますが思っていますよ」と彼女は言った。「ヤフーの経営者でありたいと願ってやみません。3年間の戦略計画をすでにつくっています」
たまたま番組を見かけたという人に。これは3年にわたる戦略計画として新設されたものであり、これに先立って彼女が新設した3年計画は結局実現せずに終わった。
材料はいくらでも挙げられるが、ひとつにはタンブラーを買収するのに多額の資金を投じたにもかかわらず、減損処理が必要な段階にきている。ローズはきわどい質問を投げかけ、それが「意図しないかたちで引用され」ることになったが、いずれにせよこういった騒ぎになるのは早晩変わらぬことだったろう。
メイヤーが言った内容をここに一部載せる。
チャーリー・ローズ:
どうしてこんなにヤフーの批判があつまるんでしょうね? 2012年から、あなたがやってきたことを見ているんでしょうが、聞くとどうも「彼女がやってきて、いろんな買収をつづけて、しまいにタンブラーも買った。しかしうまくいっていない」とか。
マリッサ・メイヤー
わたしからすれば、ですが。うまくいっていないとは思っていません。問題はなにかといえば、大事な才能を迎え入れて、かれらの力をつないでいくことです。じっさい、14000人の社員のうち、50人しかモバイルに関わるエンジニアがいなかったのですが、いまでは500人を超えるようになっています。わが社は世界でも有数の、アプリ制作元になっています。それについては自信をもっています。ただ、それをどうやって構成していくか。これまでは逸材を買収を通じて迎え入れるという手法できました。そうして、モバイルでの買収案件が多くなったというわけです。なのになぜか、という話ですが、減損処理はたしかに必要になりましたが、買収じたいがうまくいかなかったのではありません。
チャーリー・ローズ:
ではタンブラーもそうだ、と。
マリッサ・メイヤー
そうです。タンブラーは見ての通り、最初の計画からみれば出遅れた部分があります。それでもわたしは、タンブラーについてずっと前向きに見ています。プラットフォームとして秀逸ですし、支えてくれているのはミレニアルの人たちです。じっさい、かれらの利用時間はとても、とても長いのです。それから、ここからうまく進めばですがネーティヴ広告の展開も十分ありそうです。タンブラーは、ご存知かと思いますが、モバイルのアクティヴ・ユーザ数ではきわめて順調に伸びてきました。クリエーティヴですし。表現者のプラットフォームですよ。
チャーリー・ローズ:
では3年半を振り返ってみましょう。つまり、あなたの着任してから。結果をみて、どこがいけなかったのでしょうか?
マリッサ・メイヤー
それについては、ひとつの見方として、まだお芝居は終わっていませんよ。結果をみても、会社は新しい戦略計画をすでにつくっています。これまでテクノロジ企業が再建するのに、たいていは5年、6年、7年はかかっていますし・・・
チャーリー・ローズ:
かかって、じっさいには、正直うまくいっていないでしょう。だって、テクノロジ企業が立ち直る話というのは稀ですよ。アップルはそうですけど・・・
マリッサ・メイヤー
もうひとつ言いたいのは、戦略計画に自信をもっていますし、現実に出てくる数字をみれば、6億人ものモバイル・ユーザがいるのです。16億ドルのモバイル動画ネーティヴ広告、ソーシャルがあります。これこそわが社の売上なのですよ。そして、そこにわが社が進むべき将来がまっています。2012年にわたしがヤフーにやってきたとき、それは本気でやりたいと思ったからです。大変な仕事だとは思いました。でも、いろんなリーダーたちとじっくり話した結果、いろんな事業の見通しがあることが見えました。でも、すべての事業が縮小に転じていたのです。
チャーリー・ローズ:
ヤフーは何人もCEOが代わりましたね。
マリッサ・メイヤー
ええ。61か月間でわたしは7人目のCEOになったのです。戻りますが、すべての事業は縮小に転じていて、思いましたよ。わあ、なんてきびしい、思っていた以上ね、と。でも取締役会にはこう言いました。だいじょうぶです、これから立ち直るためにある試練です。もういちど、成長に戻しましょうと。誰もその事業をどうすれば成長に戻せるのか知りません。ヤフーはもう何年にもわたって、バナー広告の王様だったのですが、いまでも人気が高くて、効果もじゅうぶんあります。ただ・・・
チャーリー・ローズ:
モバイルこそがその決め手だと。
マリッサ・メイヤー
モバイルこそ、その決め手です。プログラマティック広告が登場してきました。ここからは自分で将来を拓くしかありません。時間はかぎられて、ヤフーにとって今大事なことを迅速にやるしかないのです。わが社のモバイル動画とネーティヴ広告の収益は会社にとって決定的に大事です。それについては自信をもっています。いまでは数百万ドル程度ですが、数十億ドルにまで引き上げるしかありません。これまで見たなかで、かほどに急速な成長をみせた分野はありません。そして、くりかえしますが、わが社は、つまりわたしは、これに自信をもっています。
チャーリー・ローズ:
1年後もヤフーを経営していると思いますか? これを訊くのは、みんなが訊くからです。
マリッサ・メイヤー
ええ、それはぜひそうしたいと思っています。ヤフーをこれからも経営したいと強く願っています。じっさい3年間の戦略計画もあります。その後どうなったか、うまくやってヤフーの再建が達成されるのが目に浮かびます。ただ、これはなにより、ユーザのみなさんしだいです。社員のみんなしだいです。それが両方そろってのことです。わが社のサーヴィスが、1年後も同じようにここにあって、いまよりもずっとよくなっていることを願ってやみません。結果ははっきりとしたかたちで出てくるはずです。これからも、しっかりとつづけていけることこそ、わたしの願いです。
チャーリー・ローズ:
でも、いまここにある最大の試練は・・・こうしてあなたはインタヴューに来ていて、社員だけでなく、わたしもそうですが、投資家の人たちや、見ている人たちに「そうだ、そのとおりだ」と信じてもらう必要があります。じっさいに結果が出せる計画で、会社の資産が減りつつある現状に対し、効果があることを示さないことには。
マリッサ・メイヤー
事業が本格的に成長し始めれば、投資家の皆さんがもつ印象もがらっと変わると思っています。いまある最大の試練は、モバイルで十分な利用頻度を確保できるかです。6億人のユーザがいます。これを6億人のアプリ月間アクティヴ・ユーザに変えること。どうすれば毎日つかってもらえるか? どうすれば、なくては困ると思ってもらえるプロダクトをつくれるか?
チャーリー・ローズ:
どうやって実現しますか?
マリッサ・メイヤー
毎日。メールをはじめ、通信機能をつかってもらえるよう投資していきます。通信こそ、利用頻度の向上につながる駆動力です。たとえば、携帯電話でメールをチェックする回数ってどのくらいでしょう。そこからはじめて、通信のまわりに広がる大きな機会を捉えるわけです。いちばんしっくりくるようなアプリケーションをつくって、ニューズ、検索、スポーツ、ファイナンス、ライフスタイルに特化します。これらの分野は1も2もなく全力投入しています。すぐれたツールこそ、ケータイで求められるもので、それを収まるべきかたちで収めることによって、ユーザの確保が可能になって、利用頻度、機能充実が達成できます。ニューズの質も高まるでしょう。しかしまずは、利用頻度を高めたい、と考えています続きを読む
(From the Re/code blog post. Thanks to Kara Swisher.)