マイクロソフトはヤフーの買い手候補に資金融資を持ち掛ける

数多くの取材から得た話によると、マイクロソフト幹部はヤフーの買収に前向きなプライヴェート・エクイティ投資会社との接触を図っており、必要な資金を融資する準備があることを伝えているという。もう知っている人が大半だろうが、ヤフーは身売りを検討しているとみられる。これについて疑問視する向きもあって、いままでは身売りの可能性も前提に進んできたものの、CEOマリッサ・メイヤーは関心を示さずむしろ自分で再建を果たすことを積極発言している。アクティヴィスト投資家として知られるスターボード・バリューはヤフーを相手に委任状争奪戦を仕掛ける姿勢を辞さず、取締役全員の交代を目指すことを今日表明している。
スターボードのジェフ・スミスは株主提案する取締役候補について「これまで広く議論されてきた通り、現職の取締役は十分な信任を得られるだけの結果を出せないまま、時間が経つばかりです。すでに信頼に足る戦略的事業買収候補がいるなかでさえ、資産査定に必要な情報の開示をしていません。これは重大な利害の不一致です」と述べ正当さを主張している。
今週わたしは買い手候補とされる相手に取材したが、その関心はいずれも強い。一部にはヤフーの身売りを茶番劇とする見方もあるが、現在の取締役会については、率直に言って、異論が続出するのも無理がない。
マイクロソフトが乗り出してくるとあっては、買収の話に現実味が沸く。取材相手によると、マイクロソフトのパートナーシップおよび買収統括者のペギー・ジョンソンがこの手の話を担っている一人だという(なお、以前リコード誌のラジオ番組「デコード」に登場したジョンソンのインタヴューがあるので参照)。
念を押すと、マイクロソフトはいまのところどの投資家に対しても手付金を払っていない。協議は非公式なものにとどまっている。だが取材先の話では、このような話があるのはおそらく、マイクロソフトはヤフーが本気で身売りするのなら、誰であってもパートナーになりうると見ているからだという。これは納得できる見方で、というのはマイクロソフトは長い間、ヤフーと検索および広告にかんする提携があって近い関係にある。
この提携は2008年、マイクロソフトがヤフーに敵対的買収を提案したことがきっかけになっている。当時のCEOスティーヴ・バルマーは31ドルの株価を提案したが、これは450億ドル相当だった。これは結局物別れに終わったが、落とし処として決まったのが現在の技術的提携だ。それ以来両社は協力関係にあって、メイヤーの代になってから検索の契約事項を改定しようと試みた末、訴訟が失敗していた。1年前に彼女はヤフーの立場を改善すべく、やや友好的な交渉結果を取り付けていた。グーグルとの提携もその後追加されている。
現行の契約はマイクロソフトにとって重要な既得権で、そのため買収の話があれば融資を呼び掛けていくのだとみられる。競り合いになれば現金で数十億ドルが入り用になるのは避けられない。
「もしマイクロソフトが10億ドル出すとしても、ほとんど出費のうちに入らないでしょう」と語る関係者もいる。「これまでもっと大きな買収を幾つもしていますから」
ヤフーの現在の時価総額は350億ドルほどだが、この大半がアジアの事業資産だ。アリババのスピンオフに加え、ヤフージャパンも除外すれば残るのは60ないし80億ドルがいいところだ。しかしヤフーの取締役会は売るなら100億ドル程度を要求するつもりだという。(比較の参考までに、マイクロソフトの渉外担当幹部フランク・ショウに可愛いポニーをねだりたいが、交渉成立の可能性は上だろう)
なお、マイクロソフト社内への取材によると、同社はこれ以上の値段を提案する予定はないという。だが他社はそうでもない。
AT&T、ヴェライゾン、コムキャストといった買い手候補とヤフーは今週、戦略的提携に向けた接触を図っている。プライヴェート・エクイティ投資会社も徐々に挙がっており、アドヴェント・インターナショナル、ヴィスタ・エクイティ・パートナーズ(個人的にここが関係深い)、あとはTPG、KKRなどだ。続きを読む
(From the Re/code blog post. Thanks to Kara Swisher.)