2009年の予測

(This is a translated version of the "John Battelle's Searchblog" post. Thanks to John Battelle.)
過去5年間にわたって毎年、わたしは予測記事を書いてきた--いつもは年末に、そうでない場合は1月のはじめに。こんどのは遅くなったほうで、これは書くのがむずかしいと思ったからだとわたしは認めよう。いま世界はどうにも一方向にしか予測されない。悪いニューズが悪いニューズを呼んでいる。この2週間、わたしは長いあいだ表向きは「働くのをやめて」今年がどのように運んでいくか、考えていた。それでもやはり考えはあまり前に進まなかった。今年は多くの人にとって、とてもきびしい年になる。だがわたしは希望もたくさん持っている。このようなときは、誰でも自分のエネルギー、資源、生活にどうつきあうかについて、正直な選択をとるものだ。そして終わってみれば、長い目でみて市場は健全を取り戻すだろう。
昨年わたしは予測をなにかの物語みたいに書いたが、自分がなにを書いたか後で点検してみると、どうもこれは採点カードをつけるのが難儀だということに気づいた。というわけで今年は、的をしぼって、簡潔に、採点できるように書きたい。正直に書いてよろしいかな?
1. マクロ経済: 景気後退は終わる、というのは文字通り09年Q4までには終わる。言い換えれば、景気は年末までにはふたたび上向きになるだろう。だが早くても来年になるまでわたしたちは森を抜け出したとは感じられないだろう。これは08年Q4があまりにもひどかったからで、09年Q4はこれにくらべれば、政府の刺激策も功を奏して、ずいぶんよくなったと思えるだろう。だがほんとうに底入れしたと感じるにはもう1年か2年はかかる。それまでは水たまりを歩くような具合だろう。
2.オンライン・メディア空間は、上半期の景気悪化で打撃を受けるが、年末には総支出の面で昨年よりはましだったことが判明する。09年Q1が08年Q1より低いという可能性はありそうで、わたしの記憶が正しければ01年以来はじめてとなる。これが原因で、あらゆる狼狽や手をこまねく事態がやってくるだろうが、これも年末にはおさまる。ウェブは多くの人が自分の時間をすごすところとなり、ウェブはマーケティング担当がカネをつぎこむところとなる。
3.グーグルは、検索シェアの目立った減少をはじめて目の当りにするだろう。グーグルは2009年の売り上げをどのように多様化させるかという問いに答えようとして梃子摺る。検索は最大の需要の刈り取り場となって、グーグルは検索のアーチャー・ダニエルズ・ミッドランドとなる--ウェブの土壌からどんな需要の種が芽を出すかわからないが、グーグルはとにかくそれを刈り取る。メディア・ビジネスは需要を満たすだけのビジネスにとどまらないので、グーグルは多様化させようというのなら需要をつくりだす方法を学ぶことを強いられる。これはブランド・ゲーム--つまり、「従来のメディア企業」と呼ばれる集団がやってきたこと--をやることを意味する。こういった企業が景気の悪循環で麻痺している(それと新参のメディア業者のマイクロソフト、AOL、ヤフーも、動脈硬化を起こす)一方で、グーグルは新しい種類のブランドつきメディア企業になる特殊な機会を得る。グーグルはこれに梃子摺るが、それは主に文化の要因からである。
4.上の3にかかわらず、グーグル株価は2009年Q3からQ4にかけて上昇するだろう。これは主に需要が集中するからで、需要が集中すれば、播かれたばかりの麦に雨が降るようなものだ。これは、上の3の前半が明らかになって株価が停滞したあとの話だ。
5.上の3と直結して、マイクロソフトは2009年に検索シェアを5ポイントは伸ばすだろう。ひょっとしたら10ポイントかもしれない。これはどちらかといえば過激な予測だというのは自覚しているが、耳を傾けてほしい。レドモンドはこのゲームでいつまでも負けていられないし、出せる手は出し尽くしたあとで、マイクロソフトはシェアを伸ばすためには本気でカネをつぎ込みはじめる(つまり提供ルートを買う)だろうし、その一方でマイクロソフトの製品を改良したいと思う良心的な一般人の声にも耳を傾けるようになるだろう。それでも、検索シェアではやはり試合にならないというのはご存知のとおり。あとは収益化で、マイクロソフトはここで梃子摺り、ヤフーの検索事業を買い取りでもしないかぎり変わらない。これは実現しないだろう。というのは・・・
6.ヤフーとAOLが合併する。
7.ところが、今年の後半に、マイクロソフトは合併した企業から、検索の収益化のために買い取る。
8. アップルは現在の好運から目だった反転を目の当りにする。これはいくつかの理由から(そうそう)起きると思うが、主なものはブランド関連--周りの人より格好よくというのが基本のブランドは単に、ある線を境にしてスケール拡大が利かない。アップルはその線に達してしまったと思う。
9. 大手ブランドは、しばらくは「ソーシャル・メディア」と折り合いをつける最良の方法を求めて梃子摺るだろう。メディア支出(つまりバナーを買う、ブランド戦略を展開すること)のために予算を確保するだろう。そして独立した発行者として出発する。これは新しい戦術(たとえば、テクノロジ企業にいるマーケティング担当の多くは雑誌を発行するとか、コンシューマ・ブランドの多くはテレヴィジョン番組の提供者をやるとか)というよりも、オンライン・メディアの創造的でソーシャルな性質からして、マーケティング担当の多くは取り組みが梃子摺るだろう。とくに大手メディア企業と提携して取り組んだ場合はそうだろう。理由は、馬の前に自動車を持ってくるのと同じようなものだ。対話可能なメディアとして真に成功するためには、その企業自身が対話することに長けていなければならない。いくらトラフィックがある提携先でも、対話ができないようでは、大手ブランドの必要とする「橋渡し」役はできないだろう。
10. 代理店は、発行者のそれと同じような役割をますます強めるだろう。発行者は代理店のそれと同じような役割をますます強めるだろう。両者ともに得るところはあるが、これは本物のコミュニティ--それも一度きりのイヴェントで動く群衆ではなく--に価値を付加できるようになることがどうしても必要だ。メディアの作り手であるというだけではいられなくなり、メディア企業は自分の仕事はメディアをつくるためのコミュニティの土台をつくることだと気づいている(そうでなくともすぐに気づくだろう)。発行者はコミュニティの代理人となる。代理店はブランドの代理人となる。お互いが必要なのだ。両方の代理人は優良なメディアをつくることになる。
11.ツイッターはさらに、流星のごとく飛躍をつづける。これは予測がつけにくい、というのは多くのことがこの企業のふたつの致命的な--それでいて困難をきわめる--新機能の執行能力にかかっているからだ。つまり、サーヴィスへの検索の統合、そして統合の収益化だ。ツイッターの経営陣(と支援者)は2009年のあいだはサーヴィスの独立を保ちたいと考えているだろう。というのは、評価額が下がっていることと、わたしが思うにかれらはなにかを成し遂げたいと思っている(だからといって、大手ウェブ・メディア企業のほとんどがツイッターを買わずにいられるわけではない)。この企業は虎の尾をつかみかけており、ふたつの本物の強みの資産を抱えている。つまり、ひとつには熱狂的で根強い、どんどん増えるコミュニティと、もうひとつは価値のあって、増えつづける、有効なリアルタイムの会話のデータベースのことだ。念を押すと、わたしはなにも、有効なアルゴリズムがあると言っているのではない。それはこれからのことだ。だが鍵となるのは、コミュニティであり、コミュニティにある会話であろう。2009年半ばまでには、ツイッターのコミュニティとコンテントの統合は、サードパーティのサイトでうまく立ち回ったマーケティングによって、実現するだろう。
12.フェースブックは、まったく衝撃的で、予想もできなかったことをやるだろう。それがなにかは確信がないが、現状維持の年にはならないだろう。あるいは従来型のメディア企業との合併かもしれないし、あるいはグーグルとの大きな提携かもしれないし、誰かを引き抜いてきてCEOにするかもしれないし、あるいは「なんだって!?」と驚くほどのことかもしれない。そうこう考えているうちに、わたしはフェースブック・コネクトが真にオープンになって、データをサーヴィスから誰でもかんたんに取り出すことのできるように、規約を変更するとか、単純なことかもしれないと思いついた。もうひとつ、フェースブックツイッターの競合となるものを開発して、それがベータ版からいつまでも抜け出せず、そのうちに見捨てられるという結末になるだろう。代わりに、フェースブックツイッターを「友達にする」ことで、ふたつの企業は強力な提携を築くだろう。
13.ラッキー13は、わたしのいつものモバイル予測のために使おう。2009年、モビリティは、ウェブのすべての面で前提条件となるだろう。これは2007年にも書いたことだ。「モバイルはついに、標準ユーザが理解できるようなかたちでウェブにプラグインされることとなり、大がかりなモバイル革命--それもみんなが口を揃えてこれはたまげたと当然言いそうなもの--が起きるだろう。そしてこの革命の中核には検索というコンセプトがあるだろう」
14.さいごに、お約束するが、わたしは自分のを発売できるように、精力をこめて取り組む。それからそう、FMもつづける。わたしにはこの両方を実現するやり方があって、それは昨年そうなると知らずに書いた15,000語の文章があるからなのだが・・・
「サーチブログ」の読者に、新年おめでとう、そしてわたしの長い論考を熱心に読んでくれてありがとう。ここにはハードワークと、賢い選択と、失敗から学んだ教訓があると思うよ・・・