アップルにはもっと安い端末をつくれというプレッシャがつのっている?

(This is a translated version of "The Mac Night Owl" blog post. Thanks to Gene Steinberg.)
市場で1位の座を得た人にプレッシャとなるのはいつも、どうやってトップを守るか、そうでなければ2位とのあいだにどう差をつけるかということだ。
アップルはアイポッドとアイチューンズのことをいちばんに考えなければならない。だがどちらも、市場ではほかを寄せ付けない強さなので、このセグメント自体が飽和状態となり、差の意味がなくなるまで本物の競合は現れるとは思えなかったが、これはじつはすでに起きている。アイポッド・タッチがアマゾンでよく売れているという。これはデジタル・メディア・プレーヤという考えが次の世代に移ろうとしているのをあからさまに示している。
次の世代とは何だろうか? あるいはネットブック形式の端末かもしれない。見たところこの手のものがずいぶん評判になっているが、ことによったら単に顧客の多くが機能満載のノートブックが買えないだけなのかもしれない。たんにイーメール、インターネット・サーフィング、ワード・プロセッシングといった用途では、多少プロセッサが遅くハード・ドライヴが狭くても、小さく持ち運びできるコンピュータのほうがふさわしいのかもしれない。
それでわたしは、こんどのホリデイ・シーズンにネットブックを買った人のほとんどは購入を満足しているのではないか、これでは用が足りないといって返品することもないのではないかとさえ思っている。
アップルについて、判明しているのは、この動きをじっくり見守っていることと、この針路はとらないと決めたのだろうということくらいだ。じっさい、アイポッド・タッチは実質のところネットブックと言え、せいぜいタッチ・キイボードと小さな画面でできているというくらいの違いしかない。アップルが実験室でなにをしているのか知らないが、これを引き延ばしたもの、たとえばイーメイト300の現代版みたいなものが、完璧な手になるのではないか。それはつまり、求めやすい低価格で売ることができるならの話だ。
アイポッド・タッチの上位機は32GBフラッシュ・ドライヴがついて399ドルだ。これはほとんどネットブック圏内に踏み込んでいる。アップルがいくらまでなら値段を上げてもなお競争力が維持できるのかと、疑問に思っても不思議はない。ついでに言えば、マックブックの圏内に踏み入らないようにしながら、いくらまで高くできるだろうか?
わたしの勘では、599ドルまでならアップルはやれるだろう。問題は「タッチ」というコンセプトをいま出回っているノートブック・コンピュータに似たものに引き延ばして、どこまで行けるか? そうだな、大型の液晶ディスプレイはやはり高くつくが、フラッシュ・ドライヴに代えて標準のハード・ドライヴにすれば多少安くなるか。アイポッド・クラシックをとってみよう。120GBの従来型ドライヴで、249ドルと、最上位のタッチよりも150ドル安い。
これと同じドライヴをつかって、アイポッド・タッチの機能にもう少し大きな画面をつければ可能だろうか。アップルも599ドルの値札をつけて、1GBのRAMをおごって、標準のMac付属の iLifeなどもつけて売ることはできるはずだ。もっとも、内蔵光学ドライヴはつけられない点でマックブック・エアと同じだが、外付けはできるように USBポートをつけて、ひょっとしたらスペース節約のために縮小型のにできるかもしれない。
そうなると顧客はマックブックを放り出して新しいアップルのネットブックに手をのばすことになるだろうか? あるいはそういうこともあるかもしれない。だが「タッチ・プロ」なるものはまったく新しい種類のユーザ、まだ苦労して稼いだカネを--わずかであれ-- PCネットブックに注ぎ込んでいる人たちを呼び寄せるのではなかろうか。
ティーヴ・ジョブズがインタヴューでアップルは低価格PCの砂場では試合をする計画がない、たんに事業拡大のために「ジャンク」をつくるつもりはないと言っていたのを思い出す。この決断には敬意を払うが、アイポッド・タッチをベースに引き延ばしたモバイル端末は、それにアイフォンだって、ジャンクではない--ほど遠い--のはたしかだ。アップルの製品のどれもがそうであるように、薄型で、引き算でつくられたエレガンスは、あちこちに持ち運ぶよろこびを感じられるような美形になるにちがいない。
このコラムの固定読者がそう言っているように、目立たないマック・ミニはかなりのファンがいる。この製品を落としてしまうのは間違いだろう。来月のマックワールド・エキスポの基調講演で、フィリップ・シラーが出てきて改良版がお披露目されるのはすでに予想しているとおりだ。
となると、新しいミニは先代と同じようなかたちで、単に強化されたパーツで、ほぼ同じ値段で売られる見込みが強い。そうすれば、まともな広告を打てば、それなりの部数は十分売れるのではないか。アップルがもっと薄くつくって、タイム・カプセルと同じくらいのサイズに詰めてくるというのもありそうな話だ。
新しいしかけがアイマックのラインアップに加わるのもほぼ確実だろう。ただし、この変更はほとんど内部だけだろうが。一部には4コアのプロセッサが載るだとかいう話があって、秋に出たマックブック・プロと同じくグレードの上がったエヌヴィディア・グラフィック・チップスに組み合わされるということらしい。外部モニタ用ミニ・ディスプレイポートはもはや前提となっているようだ。
それから、アップルはすべてのMacに追加料金でアップルTVソフトウェアを載せるという報告が出ている。これがほんとうなら、アップルTV単体が落とされるということだろうか? そうかもしれない。そうなれば、新しいマック・ミニが同様の機能を備えて、十分な代役となる、とそう思いませんか?