マイクロソフト検索へのきびしい愛(2)

<前編

(This is a translated version of the "Search Engine Land" blog post. Thanks to Danny Sullivan.)
失敗したブランドを直せ!
想像できますか。あなたがもし戦争に行くとして、その大義を人に認めてもらおうと呼びかけようにも、あなた自身その国の名前を知らないとしたら? あるいはその大義を人に認めさせようにも、その国の名前が知られていなかったら?
誤解しないでくださいね、マイクロソフトはグーグルと検索をめぐる戦争をしているのです。これは重大なことで、数十億ドルがかかっています。それでいて、誰も区別のつかないようなややこしい旗を掲げているのです。この会社は、10年以上にわたって、MSNブランドを築こうと努力してきましたが、2005年の終わりになってようやく、「ライヴ」がそのフラッグシップのブランドだと決めたのです。このブランドの飛び立ちが失敗したのは、マイクロソフトの内外を問わず、広く知られています。
覚えているでしょうか、あの異議を唱えるヤフー株主エリック・ジャクソンが、ヤフーの低迷はマイクロソフトに売却することで解決されると信じて疑わなかったことを? マイクロソフトがヤフーに最初に買収を提案してから数か月、ジャクソンはマイクロソフトの自前の検索について(これはごく基本の正しい手続きだと思うのですが)いっさい問い質すことがなかったことから、このことがよくわかります。ようやくそれを問い質したとき--それでこそ意気ある株主というものです-- かれはまったくものがわかっていないのです。「イーウィーク」が報道したものです:

「つい先々週まで、わたしはいちどもマイクロソフト検索を使ったことがありませんでした。腰掛けて、試してみようと思ったところで、わたしはなんとタイプすればよいのか見当もつかないことに気づきました。まずはmicrosoft.comとタイプしてみましたが、これではマイクロソフトの内部ディレクトリが示されているだけです。そこで広告にあった「ライヴ・サーチ」を思い出して、livesearch.comとタイプしてみました。これはどこかのスパム・サイトでした。さいごに、ようやくlive.comでたどりつきましたが、検索結果のほうはあまり感心しませんでした。もう二度とつかわないでしょう。グーグルやヤフーだったら、一発で済みます。それが簡単です」とジャクソンは言う。

今日まで、ライヴ・サーチについて書くとき、わたしはよく「マイクロソフト・ライヴ・サーチ」と書くよりも「マイクロソフト」と書いてしまうことがあります。これは新しい読者でも、これはマイクロソフトの検索製品なんだなとわかるようにです。ライヴ・サーチだけではどこがやっているのか、わかりません。「ウィンドウズ・ライヴ・サーチ」と呼ばれていたころ、わたしは「マイクロソフト・ウィンドウズ・ライヴ・サーチ」と書いていました。ばかみたいですね(しかもおぞましいことに、これが復活しそうなのです)。
でもここMSNがお終いだと思ったら、それは考え直してみましょう。マイクロソフトのサンとの配給契約が、来月からはじまります。これはMSNツールバーを後押しするもので、ライヴ・サーチ・ツールバーではありません。そうかと思えば、最近わたしがマイクロソフト・ヴァーチャル・アース3Dをインストールしたとき、MSNをホームページに設定するかと訊いてきました。live.comではなかったのです。なんだかこんがらがってきますね。
そこでマイクロソフトがどんなブランドをとるべきか、考えてみましょう。



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グーグルは単なるブランドではありません。これは癖というか、たばこみたいなものでなく、一般によく思われている癖です。わたしやゴード・ホチキスはいつだったかこれを広めてきました(ゴードがグーグル常用癖について書いたすばらしい「人間というハードウェア: 検索の意識下にあるもの」があります)。そのブランドとは裏腹に、マイクロソフトは死屍累々の塹壕からライヴ・ブランドを持ち上げてきました--それもときどきぼろをまとったMSN兵士たちが加わります。
このブランドは手直しを必要としています。それもすぐに。哀しいことに、いっこうにそれは起こる気配がないのです。たしかに、「クモ」が新しいブランドとして加わるというウワサもあります(これも参照)。しかし繰り返しますが、ウィンドウズ・ライヴの大幅なアップグレードと拡張が最近ありましたが、ライヴ・サーチと切り離されていながら、マイクロソフトがじっさい、ライヴがいかにだめになっていようと無理に押しているような印象を強く与えているのもたしかです。
マイクロソフトの持ち合わせている最強の名の通ったブランドといえば、その名のとおり「マイクロソフト」です。なぜこれで行こうとは思わないのでしょうか? 誰だってマイクロソフトは知っています。これならすぐにわかるでしょう。ライヴなどよりずっと勝ち目はあるでしょう。
マイクロソフト検索
これに関連して、マイクロソフトはなぜ、microsoft.comのホームページから、検索ボックス以外のすべてを事実上取り払うという、いちばん効き目のありそうなトラフィック増加の手段をつかって、検索をめぐる戦争に本気で勝とうとしてこないのでしょうか?
これを提案したのは、わたしがはじめてではありません。この数年わたしが調べてきた数字をみれば、マイクロソフトのホームページは、世界でもっとも訪問数の多いページのひとつです。グーグルは手をつくして、ありとあらゆるサーヴィスを提供しながらにして、自分のホームページは検索ボックスにしぼっているのです。マイクロソフトにだって、それはできるでしょう。
間違いなく、なにかが変わり始めています。3月から、ホームページはこのようになっていました。


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中央にある巨大な無駄な部分が惜しまれます。このマイクロソフトが提供しているグラフィックをインターネット・アーカイヴで見たものですが、わたしのインターネット・エクスプローラ8ではうまく表示できないようです。大事なのは、検索ボックスがどこにあるかです。その右手いちばん上にある小さなボックスがそれですが、これではマイクロソフトのウェブサイトなのに、検索はほんのわずかしか行われないだろうとはっきりわかります。
現状では、検索ボックスはすこし大きくなって、中央にやってきて、なにより大事なのはデフォルトがウェブ検索に設定されていることです。



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それでいて、このページの欠点は、グラフィックが目立ちすぎていることです。捨ててしまいましょう。検索ボックスが目立つようにしましょう。その下にナヴィゲーションをつけるのです。勝ちたいのなら、まずはあなたの持っている最高のものをつかって、とるにたらないブランドをやっつけるのです。
消費者向け広告を忘れよう
マイクロソフトは数百万ドルをつぎ込んで、ライヴ・サーチを一般に広めようとしましたが、これはうまくいっていません。上向く兆しは見えません。それも驚くほどのことはありません。TV広告が功を奏して勝ち残った検索の競合を見たことがありません。「ノーザン・ライト」「エキサイト」「アスク」「ホットボット」どれもうまくいっていません。
これはうまい広告が欠けているという話ではありません。1998年当時の広告を個人的に録画して、まとめたものを載せたので、見てください。

この多くはおかしなものです。おわかりでしょうか、関わった代理店が当時の検索の問題を調査し、どのようにクライアントのプロダクトを広めるのがうまくいくかを調査しているのです。検索エンジンそのものはそう悪くないのです。しかし広告のせいで、うまく飛び立つことができませんでした。それでも、新しい広告代理店がつぎつぎとやってきて、さらに新しい戦略を提案します(たとえばアスクのように)。これもやはり、うまくいきそうにありません。
なにがうまく行ったのでしょうか。わたしの経験では、インセンティヴとクチコミです。
これまでは、インセンティヴは、検索製品を宣伝するために、サイト所有者に払われていました--2000年当時のグーグルもそうです--当時はそのウェブ・サイトを通じて検索が行われるたびにサイト所有者に数セントが払われるしかけになっていました。検索向けグーグル・アドセンスというのが、それの名残りです。
マイクロソフトはたしかに、インセンティヴにも名乗りをあげました。ライヴ・サーチ・キャッシュバックという、ライヴ・サーチを通じて商品を買った人にリベートを支払うというものがあります。わたしはキャッシュバックの「成功」はおぼつかないと思っていますが、これは最近出た数字を見ると目安となる最低線を大きく下回っているからです。このプログラムは複雑きわまるもので、マイクロソフトはこのあいだのブラック・フライデイに、HPのコンピュータを購入して大幅なキャッシュバックを受けられると思っていた人たちが受け取れないはめになって、大きな不名誉をさらすこととなりました。それでもこれはなかなかのものです。
サーチパークスツールバーの無料提供はもっと単純なプログラムです。そうは言っても、そのインセンティヴはふんだんではなく、それに加えて、これはあまり話題を呼ぶのに成功していないようです。それでもやはり、なかなかのものです。
クチコミはそれよりずっと力がある、というのがわたしの意見です。グーグルはそれで成り上がったのです。なるほどウェブ上で野火のごとく広がるだけのすぐれた製品ではありました。配給契約もたしかにグーグルを後押ししたでしょう。しかしそれだけがグーグルを「仕上げた」という考えには与しません。配給契約をごぼう抜きにするほどの検索エンジンだったとまでは言えません。たとえば、エキサイトはネットスケープとの配給契約を手にしたことが強みでした。しかしこれだけで会社が長期に存続するということはなかったのです。
不幸なことに、マイクロソフトは検索製品についてはクチコミの力がほとんど効かなかったというのが、わたしの見方です。「マイクロソフト・ライヴ・サーチ・モバイル」がアイフォンのように気の利いた音声認識プログラムを備えていることに気づきましたか? わたしはウィンドウズ・モバイルのユーザの生活をはじめたとき、それに気づいて大喜びした覚えがあります(いまはアイフォンで済ませています)。2007年末にやってきたのですが、グーグルが音声検索アップをアイフォン向けに出して話題をさらった1年前のことです。
このようなクチコミをどうすれば引き出せるのか、グーグルが「マイ・マップス」を発表するより少なくとも1年以上前にライヴ・サーチにはカスタム地図書き込み機能を提供していたことをどうすれば人に伝えられるでしょうか?
わたしたちが取材する、これは当然です。しかしわたしがひいきにしているマイクロソフトのプロジェクトはロードショウです。その名の通り、外に出かけて、モールに行き、「実在の」人がいるショッピング・センタなどに行くのです。そこでたとえば有名人などのxランク・ページを実演してみせ、マイクロソフトがどのようにしてスキー/スノウボード情報を独占的に入手できるようにしているかなど、見てもらうのです。手をとって、人を呼んでくるのです。
みなさんもそうでしょうが、わたしはマイクロソフトのコマーシャルを見て、マックをやっつけようとしてウィンドウズ/ビスタを売り込むねらいになっているのを感じ取りました。このコマーシャルはよして、ロードショウをやりましょう。
配給の機会
マイクロソフトの名誉のために言うと、ゲームの配給には本気で取り組んでいますね。来月はじまるHPとの契約もとりつけています。サンとの配給契約も先月からはじまりました。デルとの契約をとりつけ、これがきっかけでグーグルからデルの提携を奪い取るかもしれないというウワサも根強くあります。マイクロソフトがファイアフォックスではうまくやれないのは、ファイアフォックスがマイクロソフトをデフォルトの選択から外しているという間抜けなことをやっているからで、グーグルのほうは驚くまでもなく、ファイアフォックスの考えを変えようと働きかける気配も見せずに、モジラ財団の主要なカネ運び虫の役割をしっかり確保しています。
マイクロソフトにとって配給契約の問題とは、グーグル常用癖をやめさせることができないことです。新しいコンピュータを買った人に、マイクロソフトで検索するデフォルト設定をさせても、それでもなおグーグルに行ってしまう可能性が非常に高いとわたしは思います。この数年わたしが受け取ったたくさんのイーメールから考えると、検索で困っている人が言うには、アドウェアやなにかのプログラムを入れたら自分のデフォルトが変わってしまい困惑している、グーグルに戻したいというのです。その後グーグルのホームページに行けば、グーグルは愉快なポップアップを用意して、グーグルに戻しますかと訊ねてくれるのです。配給契約ではまったく効き目がありません。マイクロソフトがそうしたいのはもっともなことですが。
フェースブックは望みのつなぎといえるかもしれません。マイクロソフトはこのソーシャル・ネットワーキングの検索の選択肢に加える提携を10月に結びました。それでもフェースブックで検索する人の大半が、フェースブックで用を済ませている、とこの会社が教えてくれました。わたしはフェースブックマイクロソフトをただちに救うほうには賭けられません。
製品の一貫性
わたしはマイクロソフトデザイン変更をした回数を数えようとしましたが無理でした。デザイン変更は気が滅入るものです。まるでタイタニックのデッキ・チェアの席替えのようです。SSアルタヴィスタタイタニックのごとく闇に消え去った時代、18か月のあいだに6回もデザイン変更がありました。そのどれもが、効かなかったのです。
グーグルでは、この2年間、これまで見たことのないような新しい要素を出してきました。それでいて、どれもほとんど気づかないようなものでした。多くの人は大げさに「おやまあ--いったいグーグルはどうしたのかな?」とは思わないでしょう(「サーチウィキ」は例外として注目しましたが、口うるさい評論家たちはどうにかしてオプトアウトを約束させたかったようです--しかしグーグルを非難する声だとか、グーグルはもう使わないといった声はほとんど聞こえてきません)。マイクロソフトはユーザが少ないので、リスクはより大きいかも--いえ、リスクは大きいはずです。行き過ぎないように、ただ新しいだけにならないようにするべきです。
経営の一貫性
マイクロソフトが戦争をしているとしたら、大将を代えるたびにスピードが落ちるという誤りをおかしています。18か月そこそこで、毎回新しい人が責任者になっているようです。サチャ・ナデラが昨年半ばに役に就いてから、まだそこにいて、エンジニアリング部隊を指揮していることを知ってほっとしました。今年退いてしまったのは重役ケヴィン・ジョンソンです。ブラッド・ゴールドバーグが今月退職して、ライヴ・サーチのマーケティング面が手薄になったのは心配です。ブライアン・マカンドリューズが退職したというのは、マイクロソフトのディスプレイ広告を熱意をもって率いていただけに、やはり心配です。キ・ルウ博士がヤフーでの経験をひっさげてやってきてくれたのは心強いことです。そうするとやはり、彼はヤフーでの仕事とはだいぶ違ったことをやらなければなりません--しかも新たにこの検索の古参がその輝かしい信任を背負ってやってきた一方では、スティーヴ・バーコヴィッツの退社がありました。このあたりはしばらく様子を見ることにしましょう。
わたしが安定を望んだところで、どうなるかは誰にもわかりません。マイクロソフトはつぎつぎと人が出て行くことや、新しく来た人に製図板の前にいちいち戻って車輪から学び直すことを強いるほど、余裕はないはずです。グーグルの人たちとくらべてみましょう。マリッサ・メイヤーはコンシューマ製品、スーザン・ウォイッキは広告製品、ティム・アームストロングは北アメリカの広告営業です。それぞれが自分の持ち場で10年ほどの経験があります--これはインターネットの「ドッグイヤー」でいけば100年とも言えます。しかもグーグルに長くいる役員はかれらだけではないのです。
たしかに、新鮮な血、新鮮なやり方、組織再編にはなにがしかの効果はあります。しかしグーグルには膨大な量の経験があり、袋小路をなくしているのもたしかです。誰かが知る以上に、誰かは忘れるということわざがありましたっけ? グーグル対マイクロソフトの話になると、ぴったり当てはまるのです。
ディヴェロッパとウェブマスタ
グーグルはこの3年間で、サイト所有者へのサポートを大幅に拡大してきました。これはこの会社の名声を大きく底上げするものだとわたしは見ています。サイト所有者の影響力は大きく、検索エンジンの弱点にも敏感なのです--いわば炭坑のカナリアみたいなものです。同様に、マイクロソフトは自前のウェブマスタのサポート・ツールを開発するのにずいぶん熱心でした。これは拍手を送りたいと思います。じっさいマイクロソフトはその提供した量においてヤフーをしのいでいます。このようなリーダーシップは、ほかの多くの分野と同じく、グーグル対抗戦術にはならないかもしれません。しかし、パズルの一片として、役に立つのです。
最近マイクロソフトは、APIサポートを拡大しました。ここでわたしが怖れるのは、マイクロソフトがソフトウェア・ディヴェロッパの勢力がソフトウェア・アプリケーションの力を携えて、魔法のように検索のトラフィックを大幅にかせいできてくれるのではないかと期待してしまいかねないことです。わたしは検索ディヴェロッパの人たちをすぐ近くで眺めたわけではないので、これはうまくいかないと言い切ることはできません。しかし、グーグル製品をつかって開発している多くの人がいるのに、それがグーグルのコンシューマ向け分野が全体として成功するきっかけとなっているとは思えません。ディヴェロッパを優遇することはマイクロソフトにとって意味のあることでしょうが、わたしにとっては、繰り返しますがパズルの一片であって、完全な解決策ではありません。
長期戦
マイクロソフトは検索で勝ち残るための挑戦をはじめて5年もたっていません。よく言われているような、11年というのがありますが(「マイクロソフトの検索『第三期』がはじまる」を参照)。この5年という数字は、わたしの見方では、マイクロソフトが自前のテクノロジをスクラッチから打ち立てようと決めてからの時間で、他人のクルマを買ってレースに参加してからの時間ではありません(ヤフーやアスクがそうでした)。その決断のおかげで、その費用を割くことができなかった失われた時間です。そしてマイクロソフトは検索は「長期戦」だというマントラを言いつづけることで、先延ばしをしてきたのです。
きびしい時代がつづき、シェアが落ち込みました。わたしの意見では、今後数年はグーグル対抗者は現れそうにありません(ずっとかもしれません)。グーグルは単にあまりに強すぎ、その検索での立場を固めているのです。しかしマイクロソフトの検索シェアが減少をつづければ、マイクロソフト対抗者が現れるという可能性が現実のものとなります--つまり、どこかのスタートアップが手をつくして、マイクロソフト以上のシェアを得るのです。
ヤフーを買収するのは、トラフィック面では効き目があるでしょう。まるごと会社を吸収すると、統合の問題を抱えることになります。ヤフー検索事業だけを合併するのがよりよい手ですが、これはマイクロソフトがヤフーのトップのポータルにとって代わるくらいの戦いができる場合のみです。検索をよそに提供するというのは長期の事業としてはうまくいったためしがありません(インクトゥミやFASTに訊けばわかります)。
マイクロソフトが値段が高すぎたと決断したのがほんとうなら--マイクロソフト自身がヤフーの評価額をかなり高く見積もっていたので--わたしはいまでもこの会社が「値切り」を後悔しているのかもしれないと思います。バルマーが大損を避けて会社を救った天才だと論じる記事をたくさん見てきました。それはそのとおりでしょう、しかしこれはもう済んだ話です。かれは手を引いた理由についてはなにも語っていませんが、これは予想外の景気悪化がヤフー株価を安くしたからです(景気悪化はマイクロソフト自身の株価にも痛手となりましたが、これはすなわち、よく言われているよりも取引額は安くあるべきだったということで、それは半分が現金、半分がマイクロソフト株という条件だったからです)。
じっさいは、2008年末にかけてヤフーに対し、行ったり来たり、軟化/硬化の態度の変化がつづくことでしょう。マイクロソフトはもう手を引いたと宣言したものの、ヤフーとの部分的な取引であれば関心があるという気配をみせています。新しいヤフーCEOが就任して、マイクロソフトとの取引がそこでついに実るということもありそうです。そして監視委員による制約がなくなったところで(グーグルがロビイ活動を再開して戻ってくるほうに賭けるかもしれませんが)マイクロソフトはさらに多くの時間を失うことになります。
それではどうすればよいか? わたしには成功の青写真の持ち合わせがありません。これまで提案していたことはうまくいくかもしれませんが、うまくいかないかもしれません。ある会社について、ものごとがうまくいったとか、いかなかったとか「大まかな概観」なるものは、わたしは自分自身のものを含めて疑ってかかるようにしています。間違っているよりは、当たっているほうがいいですね。ひとつ鍵となる見方は、これまで何度かそれとなく示してきたつもりです。必勝法なるものが現れるのを期待するのはよしましょう。マイクロソフトはあらゆる手をつくすべきですし、グーグルに対抗する土台を得るためには結果をひとつずつ出していけばいいのだと思います。ヤフーの効果はとても大きいでしょう。手早く、うまく済ませることです。
そしてなによりも、わたしはマイクロソフトがすっかり戦争に足をつっこんでいることを自らはっきりさせてもらいたいのです。言葉で言うのではなく、示してください。これから出てくるという立派なものの話は十分聞きました。実行してください。ブランドを変えてください。ホームページを検索に的をしぼってください。広告のドルがどうだの、コンシューマ向けの検索をかいぜんするだのと、ただ言うのはよしましょう。そうすれば会社全体としてマイクロソフトが、心魂を傾けて勝ち残っていけることがわかりますし、そのような転向は、勝ち残るには必要なものだと思うのです。
(part 2 of 2)