インターネットでアップルのヤクが効かなくなっている3つの理由

(This is a translated version of "Micro Persuasion" blog post. Thanks to Steve Rubel.)
わたしは大人になってからの人生の大半を、アップル・ファンかつマック・ユーザとしてすごしてきた。はじめのマックを買ったのは1992年で、それから半ダースほどのマックを所有してきた。わたしは1990年代半ばにマック雑誌に寄稿していたこともある。アイフォンを買うために何時間も並んで待ったことが二度あって、いまこの記事を書くのに使っているのはマックブック・エアだ。昨年ジョブズのキイノートが終わるやいなや、ろくに見ることもなく、買ったものだ。
それでも、昨日のキイノートにがっかりして、インターネットが徐々にアップルのPRのヤクの効き目を侵食していることをわたしは確信した。アップルの人たちはずいぶんうまくやっている。だが時代は変わりつつあるのだ。なぜアップルが前のようにうまくやれなくなったのか、理由を3つあげることにしよう。ここにはPRプロフェッショナルの人たちにも役立つ教訓があるだろう。
1)ブロガーと市民ジャーナリスト
むかしの話をすると、アップルは商品の発売については固く口を閉ざしてきた。スティーヴ・ジョブズは1996年に戻ってくると、リーク厳禁の文化を打ち立てた。こんにちでは、しかし、そこらじゅうに人の目があるうえ、中国での契約製造もあるので、これはだんだんむずかしくなっている。
ブロガーたちはすくなくとも、発売されそうなものを言い当てることについてはかなりうまくやっている。プロフェッショナルのジャーナリストはここから題材を頂戴して、そこに自前の事実確認を加えて書いている。プレス招待状がEメールで届くようになるまでは、ほとんど書けることはなかった--そうなったのはアイフォンが発売されてからの話だ。考えてみると、アップルが驚きの喚声をあげさせることができたのは、あれが最後だった。
2)ロックスターCEO時代は終わった
長いあいだ、わたしたちはCEOがまるでロックスターの時代を生きてきた。エディソン、ヘンリイ・フォード、ジャック・ウェルチサム・ウォルトンビル・ゲイツ、そしてスティーヴ・ジョブズ--全員ロックスターだ。
こんにちでは、しかし、従業員でいて「わたしに近い人」のほうがずっと信頼を集めやすい、という調査結果が「エデルマン・トラスト・バロメータ」からも出ている。これはアップルのせいではない。単に時代が変化しているのだ。最近あったCEOもよくなかった。だがそれよりも、ウェブ2.0やソーシャル・ソフトウェアが個人意見や個人ブランドの台頭のきっかけをつくったことが大きい。
アップルはいまでもCEOや経営チームだけが会社の意見を代表して語るという時代にとどまっている。これにひきかえグーグルでは、たとえばマット・カッツのように、コミュニティで信頼を集めている会社の顔となる人物がたくさんいる。Gメールでセキュリティ問題が生じたって? マットに訊いてみよう。マックブックが発火したって? スティーヴにイーメールして、かれが非難を一手に受けすぎていないことを祈ろう。
3)クラウド・コンピューティングネットブックがアップルの先鋭をむしばむ
わたしはアーリイ・アダプタで、ウェブベースのアプリケーションには相当熱をあげている。わたしの仕事の75から90%くらいは、ブラウザで用が足りている。ものを書くときはグーグル・ドクスでぜんぶ済ます。写真に手を入れるときは「ピクニック」か「フォトショップ・コム」を使う。ブラウザのほかに使うデスクトップ・アップスといえば、「マイクロソフトアントラージュ」と「パワーポイント」だけだ。(マイクロソフトとアドビはわたしのつとめるエデルマン社の顧客だ)
わたしはいまのところ少数派だ。あなたがたの中にも、やっぱりデスクトップ・アップスがいいという人はいるだろうが、わたしはこれも変わっていくのではないかと思う。今後数年間で、コンピューティングをオンラインで実行することも多くなるだろう。そうなると、ネットブックで多くの用が足り、それどころか携帯電話で十分ということもあるだろう。このカテゴリはしだいに膨らんでおり、それでいて1.0製品にとどまっている。しかしこれも現状の経済危機がつづけば変わっていき、やがてはアップルのノートブックのシェアを侵食することだろう。
「だがアップルにはウェブ・アップスがあるじゃないか」と言うかもしれない。「モバイル・ミーとか、新しいアイワーク・コムは?」なるほど、これらは豪華だ。しかし機能をみれば、グーグルやアドビのウェブ・アップスにはとてもかなわない。マイクロソフト製品はこの点、強いのではないだろうか。3年もすればアイライフやアイワークは完全にクラウド・ベースにならざるを得ず、そうなると先鋭は先行者たちに持っていかれるだろう。
これはひとりの人の状況観察にすぎない。ほかの人の見方もある。あなたはどうですか? (もっと知りたい人は、フレンドフィードのこのスレッドを参照)