アイフォンはヴェライゾン・ワイアレスの進歩的な文化にとけ込んで、使えるようになるか?

(This is a translated version of "The Mac Night Owl" blog post. Thanks to Gene Steinberg.)
マックワールドのジェーソン・スネルが今週の「テック・ナイト・オウル・ライヴ」の収録をしているときにわたしに言ってくれたことがあって、彼いわく、もしアイフォンが、目下第一位モバイル・キャリアとなったヴェライゾン・ワイアレスの倉庫に置かれるとしたら、おそらく相当なカルチャ・ショックとなるだろうという。
アップルがアイフォンを方々のキャリアに売りに出回っている背景ではなにが起こっているのか、いかにも知ったような話をここでしたいのではない。だがヴェライゾン・ワイアレスがその筆頭候補だというのはたしかだ。もっとも、アップルはスプリントやTモバイルとも話をしているかもしれない。こればかりはわからない。
どちらにしても、アップルは現在AT&Tとの独占契約をしており、ほかの携帯電話メーカとはちがって、アップルはやり方を変更する権限を得ている。アイフォンのインタフェースはどのハンドセットとも似ておらず、ヴィジュアル・ヴォイスメールなどの機能はまったく独自のものである。
このような特権と、その他わたしもあなたも知らないような特権があって、アイフォンはワイアレス・キャリアにとって独特の立場を保つことができている。じっさい、AT&Tはそのやり方をもう少し見直せという指令を受けている可能性も十分ある。たとえば顧客サポートの不手際をなくせだとか、ネットワークを改善せよといったものだ。
そう、AT&Tは自らの広告で謳っているように窓口を増やしているかもしれない。だが平均より劣る利用サポートや込み合いがちな接続状況といったものごとは、やはり見逃せない。それでいて、わたしがアイフォンを使っていたとき、AT&Tの利用サポートにかんして問題はひとつもなかった。もうひとつ言えば、ネットワークは着々と改善しているようで--少なくともこの世界のわたしの住んでいるあたりはということだが--そういうわけでわたしはヴェライゾン・ワイアレスよりも劣っていると言う理由がどうも見つからないのだ。
だがアップルがワイアレス産業のあたりを自前の新しいガジェットをもって闊歩しているあいだに、いったいどんな障害があったのだろうかと考えたくなるのも無理はない。これまでのところ、キャリア各社はどんな仕様の携帯電話を扱うことにするか、合意に向けて条件を聞いているようだ。じっさい、広告を見れば、ハンドセット云々よりもサーヴィス・パッケージや通話可能率などを強く売り込んでいるのがわかる。
値下がりが一段と進んで、あなたの携帯電話はほとんど無料か、それに近いくらいで買えるようになった。これはたんに標準2年間契約にサインをさせるためのおまけにすぎない。その期間あなたが支払う金額は、携帯電話を買ったときの値引きを埋め合わせすることにもなるのだ。
それから、インタフェースのデザインやキャリアのネットワークとの兼ね合いは、サーヴィス側に主導権ががるのも事実だ。携帯電話メーカはつくった製品が認証されれば運がよかったと思うしかなく、そういうわけで客側の意見を呑み込むためにデザインに重い制約を課することとなる。
あなたがAT&Tから購入したモトローラのRAZRはヴェライゾンのものと同じに見えるかもしれない。2通りの規準の電波に対応するのはべつとして、じっさいのオペレーティング・システムはそれぞれのキャリア独自の機能を提供しており、その端末独自のものではない。ハードウェアの機能もそのサーヴィスの求めに応じてカスタマイズされている。
ある意味で--ウィンドウズPCの世界でもそうだが--ハンドセットは細かい機能のちがいはあっても、互換性があるのだ。あなたも契約期間が終わるかハンドセットが故障すれば、べつのものを手に入れるだろう。それが同機種のこともあるだろうし、べつの機種のこともあるだろうが、基本的なハードウェアのスペックをのぞけば、どれを選んでもそんなに大きなちがいはないだろう。
アイフォンについては、アップルのほうが切り札を握っている。これがヴェライゾンの供給業者とのつきあいかた、文化と果たして馬が合うのか、わたしには疑問だ。アイフォンがヴェライゾンで出てこなかったのは、多くの国とは種類のちがうネットワーク規準を採用しているからではなく、アップルに製品のデザインで主導権を握られたくなかったからではないか? 少なくとも一部の評論家はそう言っている。
もちろん、AT&Tとの独占契約が終われば、アップルが合衆国内のほかの大手キャリアとの契約に入るのを差し止めるものはなにもない。それでも、どういった評判になるかはとても気になるところだろう。
比較的小さなTモバイルについては、客の反応も上々となるのではないかと思う。そういえば、このあいだのテック・ショウの収録のあいだにジェーソンが言ってくれたことを思い出さなければいけなかった。法律にしたがえば、ワイアレス・キャリアは最初の2年を過ぎたら、顧客の要求があればロックを解除する義務がある。ということはたとえば、最初に売られたアイフォンが今年の夏から法律にしたがって使えるようになって、Tモバイルのネットワークで利用手続が行なわれることもあるということだ。もはやジェイルブレイクはしなくてもいいのだ。
スプリントとヴェライゾンが話題にあがっている以上、アップルがCDMA版のデザインをするのにあたって深刻な障壁になるものは、出てこないのではないか。そこに使われている部品はすでに数百万からなる他社のハンドセットで使われているものだ。わたしが思うに、低迷しているスプリントは、自社のネットワークにアイフォンを迎え入れて、すべての機能が使えるように適合するネットワークの変更を喜んでするにちがいない。
ヴェライゾンは? まあ、ブラックベリイ・ストームは強力なアイフォン・キラーだとわかっていることだし、あまりごたごたした話にはしたくないのだろう。だがヴェライゾンのほうでアップルと取引をしてもいいと思っているのなら、むこうの条件を呑むか、契約に至らず保留となるかだろう。問題はネットワークだろうが、アイフォンを動かすためにはネットワークも変更しなければならないだろう。