アップルにはフラッシュが死角となるか?

(This is a translated version of "A VC" blog post. Thanks to Fred Wilson.)
「フラッシュ」が来年にもスマートフォンむけに出てくるというニューズは、大きな出来事だと思う。わたしがウェブでリッチ・メディアを使うとしたら、ほとんどがフラッシュだ。ユーチューブの成功はヴィデオ・プレーヤとしてフラッシュを採用したことがやはり大きかっただろう。いまやウェブではほとんどのヴィデオ・サイトがフラッシュ・ヴィデオ・プレーヤを採用している。同じことがオーディオについても言える。ストリーミングのオーディオでなにか聞きたいとき、ウィンドウズ・メディア・プレーヤだとかリアル・プレーヤ、あるいはアイチューンズへのリンクなどを使う必要があったが、それも昔の話となったのはやはりフラッシュのおかげだ。last.fmやパンドラといったウェブ配信のラジオ・ステーションの多くが、それからハイプマシンもそうだ、フラッシュ経由で聴いているのだ。
わたしはこれまでも、ウェブでやっていることをほとんどすんなりとスマートフォンに持ち込むことができていた。それはアイフォンでもブラックベリイでもそうだ。だがひとつ、うまく移行ができずにいたことがあって、それは携帯電話でヴィデオを見たり音楽を聴いたりするのはそう同じようにすんなりとはいかなかった(音楽を聴くためにアップをダウンロードしなければならないようでは、すんなりとは呼べない)。このモバイル・ネットワークが、数百万の人たちにとって、ストリーミングされたメディアを自分のスマートフォンで見たり聴いたりできる状況にあるとは必ずしもいえないということにわたしは気づいた。だがこれもそのうちにフラッシュがスマートフォンでも使えるようになるので、それにあわせた需要も加速することだろう。
それから、Twhirlだとかツイートデックだとかいった最近のおもしろいデスクトップ・アップスはAIRむけに書かれているのも事実で、これはデスクトップで使われている、フラッシュのいとこといったところだ。わたしはぜひ、こういったアップもスマートフォンで使えるようになってほしい。
というわけで、フラッシュが来年にもスマートフォンで出てくるという大きな変化が、わたしにはとても楽しみなことである。それから、ノキアとアドビが「オープン・スクリーン・プロジェクト」と「オープン・スクリーン・ファンド」を共同でつくり、ウェブ閲覧や携帯端末でのアップスにオープンかつ隔たりのない使い勝手を提供しようとしているのも、じつに楽しみなことだ。モバイルのウェブでの需要は、ウェブがイノヴェーションの隆盛や資本の流動性におおいに役立ったことを思い出せば、同じくらい大事なことだ。
ここで記事のタイトルに戻ろう。わたしはアップルが、アドビの求めるアイフォンにフラッシュを採用したいという嘆願を冷遇したのは間違いだったと思っている。それからアップルは、アドビとノキアのオープンかつ隔たりのない使い勝手をウェブ閲覧とモバイル・アップスに提供しようという将来計画には、賛同していないようだ。わたしが思うに、アップルはアイチューンズやアイポッドのときの戦略をうまく移行させて、デジタル音楽でモバイル・ウェブの覇権を握ることに関心があるのだろう。
これはうまくいかないと思う。じっさい、わたしはアイチューンズやアイポッドの戦略がそこでは生かせないと思う。パンドラ、マイスペース・ミュージック、音楽ブロギング、その他のストリーミング音楽が、アップルのようなフランチャイズの実をかじり取ることになるだろう。現在のデジタル音楽の状況はべつとしても、この先モバイル・ウェブは単一の端末や単一のアップのエコシステムによって支配されるという具合にはいかないのではないか。さらに言えば、アップのエコシステムはモバイル・ウェブにとっては長期的な抜け道にはならないと思っている。これはむしろつなぎ役であると考えるべきで、いまはまだ十分に帯域幅が確保されていない端末でもリッチ・メディアの使い勝手を可能にするためのものだ。
そしてモバイル・ウェブは最終的に、ウェブそのものになるだろう。そこにたどりつくまでの道のりの大部分は、携帯端末でもウェブのリッチ・メディアにすんなりと手が届くようなツールを生み出すことにある。わたしとって、それはフラッシュなのだ。わたしはアドビと、ノキアやパーム(それからできればブラックベリイも)との連携が、このゲームに勝ってくれるように応援している。勝ってくれれば、みんながそのおかげで、かなり助かるはずだ。