コンピュータがずっと使えるように設計されていたとしたら?

(This is a translated version of "The Mac Night Owl" blog post. Thanks to Gene Steinberg.)
念のために言うと、マックには、かなりまともな信頼性があるという評判があって、それはウィンドウズPCとくらべても立派なものだ。べつだんマックが故障しないと言っているのではないが、それはかなり稀なことだと言うことで、ただし生産初期にあたるものや、耐久性にかんするものではなく予期しない原因による故障は、あるだろうと思う。
生産時期の途中で不具合が発覚した場合、アップルはたいてい延長修理プログラムを組んで、その対象となった部品に延長2年から3年の保証をつけることにしている。ということは、その部品が故障したとしても修理代を払う必要はない。
アップルには「アップルケア」というものがあって--簡単に言えば故障対応の保障形式だ--そのおかげでマックの保証の場合1年を3年に延長することができ、アイポッドやアイフォンの場合1年を2年に延長することができる。
その後は、サードパーティによる4年ないし5年の延長修理契約を結んでいるのでないかぎり、自分で払う必要がある。いちばん困るのは、些細な修理のために払う費用が、ハードウェア自体の金額を上回ってしまうことがしばしばあることで、そうなるとそこまで出すくらいなら新しいものを買おうという話になりがちである。
もちろん、アップルが生き残っているのは、ハードウェアを売りつづけているからだ。想定している顧客はウィンドウズからの乗り換えの人たちだけでなく、アップグレードを考えている既存のユーザもいる。アップグレードがなければ、アップルの営業はずっと落ち込んだものになるだろう。だからアップルはそもそも、あなたがハードウェアを数年ごとに、それがちゃんと動いていたとしても、買い替えようと思ってもらいたいというのが本心なのだ。
最新で最高のマックがほしいと思ってもらう方法のひとつは、旧式のハードウェアでは動かないようなオペレーティング・システムのアップグレードをすることだ。アイポッドやアイフォンについていえば、最初から使い捨てのような考えでつくられている。2年か3年もすれば、それは歴史上のものとなる。リサイクルのセンタがあることに感謝しなくては。
もとより計画済みの老朽化について考えてみたが、ふと思い出したのが、わたしの家には27インチのソニーのCRTのTVが息子の部屋にあって、これを買ったのは15年前のことだ。これがいまだにまったく問題なく動いていて、しかもケーブルTVのボックスをつなげているから、アナログTVが使えなくなるといっても問題ではない。映像もしっかりしていて、DVDを再生してもなかなかだし、息子が主寝室にやってきて、そこにフラットパネルの大型TVがあっても彼はなんの不平も言わない。
このソニーTVはキャッシュの価値で行くと事実上ゼロだ。だから売ろうとしても、せいぜい運がよくて25ドルもらえるくらいで、それを引き取ろうと思ってくれるような人はたいてい、引き換えにキャッシュを置いていこうなどとは思わずタダでカートに乗せていくことだろう。まちがいなく、ソニーはわたしが新しいTVをこれから買うつもりはないと言ったら喜ばないだろう。
そうはいっても、わたしはマックがサポート終了でただちに用なしになると言いたいのではない。すべてがしっかり機能しているのなら、それが最新のときに買ったのと同じ仕事をしてくれないということにはならない。もっともソフトウェアのアップグレードにはいくつか問題があるだろうが。
そこで思い出したのが、わたしのクライアントで、もうセミ・リタイアしているインテリア装飾業の人で、2001年になってもいまだにマックIIci(1990年くらいから)を使っていた人がいた。彼女にわたしの使っていたコンピュータひとつ、アイマックを売ってからも、彼女はIIciを2台目のコンピュータとして使っていたのだ。じっさい、彼女はそれを好んで使っていて、システム7のオペレーティング・システムがインストールされていて、これではオンラインで新しいブラウザを要求する最新のサイトを見ても正常に表示ができない。それでもかまわず、彼女はずいぶん前のヴァージョンのクラリスワークスを使ってビジネス・データをスプレッドシートにまとめたり、データベースのモジュールから宛先ラベルの印刷をしていた。
お忘れかもしれないが、現在のアイワーククラリスワークス、アップルワークスの直系の後継で、データベースの機能を見せびらかしたりはしていない。
なにが言いたいかって? こんにちのパーソナル・コンピュータは実のところ、ずっと使えるようにはできていない。それどころか10年か20年前につくられたものと同じくらいも長持ちしない。だが骨董品のマックで新しいアプリケーションを試してみるといい。アップルはプロセッサやオペレーティング・システムをすっかり変えてしまったので、それはもはやできないのだ。
古いTVセットについては、今週の「24」のつづきを問題なく見ることができる。たとえ地域のTV局がすべてデジタルとなっても、ケーブルか衛星のボックスがあれば--そうでなくともアナログ・デジタル変換器があれば--その後も使えるだろう。それはたとえ1950年代か1960年代に買った白黒TVであっても、おそらく機能するだろう。
わたしはなにも、アップルやその他のPC産業がアップグレードのサイクルを取りやめれば新しいハードウェアを頻繁に買い換えなくてもよくなると言いたいのではない。こんにちの不安定な経済の転換期であっても、ひとつの産業がまるごと方向転換して、もう何年か長く使えるようにしてほしいという人の要望にすっかり応えることは、かんたんなことではない。
それにしても、テック産業はいったいいつまで、この加速度的に短くなるアップグレードのサイクルを顧客に納得させようとするばかりで、よりよい方法があるはずだと話すこともしないでいるのだろうか。
もちろんそうなれば、いまのように魅力的な新機能や最新の製品のまぶしいばかりの容姿といった特典は得られなくなるかもしれない。だがたとえば、あなたはほんとうにワード2008を機能満載のマック・プロで動かすことが、ワード5.1をIIciで動かすのよりもずっと速いと信じるのだろうか? それともわたしがなにか見落としているのだろうか?