マックの最新のアップデートが気に入らないという人に向けたメモ

(This is a translated version of "The Mac Night Owl" blog post. Thanks to Gene Steinberg.)
アップルが今週新しく出したデスクトップ製品が期待はずれだったと感じた人がかなりの数いたとしても、わたしはとくに驚かないと思う。その不満の的になったのは、値段だとか、アップグレードのやり方だとか、呆れるほど多くにわたるが、いずれにしても、その人たちは気に入らなかったのだ。
まず手始めに値づけを見よう。アップルは以前からの方針に忠実に、コスト構造を変更せずにたんに製品を改良した。一部のアナリストはアップルは値下げをして、悪化する景気の悪循環の真っただ中であっても競争力をつけておくべきだと言う。だがかれらはちゃんと見ていないのだ。しかも、アップルはおおむね280億ドル圏で推移していて、十分な支払い能力のある銀行のごとく信頼されているし、長期的な収益を犠牲にしてまで短期的な売り上げを刺激するべきだという圧力はほとんどないのだ。
アイマックについていえば、新型のコストへの不満はまるで見当はずれだ。エントリー向けの20インチ版は1,199ドルで買えることを思い出してほしい。それにこの価格設定は先代でいえば1,499ドル版にも相当するものだ。この値段で、いまなら24インチのモデルが買えるのだ。
わたしに言わせれば、300ドルの値引きだが、違うだろうか? それともわたしの計算能力がかれらの求めるものを満たしていないのかもしれないが、アップルもわたしとまったく同じことを言っている。ある意味、製品のラインアップをひとつ下の価格帯まで下げて、しかも上位機種のオプションまでつけてくれたのだ。
なかにはアップルはアイマックにもっと大きな性能を与えるべきだったと言う人もいるだろう。とくに安いモデルにも統合型でないグラフィックス・チップを与えるべきだったという具合に。たしかに統合型グラフィックスのために最低でも256MBのRAMを持っていかれてしまうことを無視はできないが、エヌヴィディア9400Mチップはじつによい働きをしてくれるし、旧世代のアイマックに載せられていたATIチップよりもずっと性能はすぐれている。それはわたしに言わせれば改良である。
マック・ミニについていえば、なんといったらいいだろうか? なるほどアップルは新型の形状に投資をしなかったのは事実で、あとは筐体に手を入れてグリーン指向の部品を採用したくらいではある。ハードウェアは妥当なアップグレードで、とくにこれまでの、2007年夏発売品の非力なグラフィックスを新しく置き換えたのはよかった。あまりに遅かっただろうか?
わたしがもうひとつ気に入ったのは、アップルがミニについての信条を見直して、それをしっかり伝えようとしたことだ。これまでミニはあまりに長く、マックのデスクトップのラインアップのなかで養子に出された孤児のような扱いだったからだ。アップルも今度は宣伝のためにもうちょっと多くのドルをつぎ込んでくれるのだろうが、これはたんに環境の領域に呼びかけるためではない。その理由でこれを買う人が大半だとはわたしには思えない。理由はむしろ、速くなったコンピュータを、できればカネをあまり出さずに手に入れたいという要求のほうだろう。じっさい、ミニは正しい売り方さえすれば一気に飛び立つことだってできそうな風潮がある。
だがそれでは、マーケティングについてなにを言えるだろうか?
マック・プロについて考えると、これは自然な進化だろう。そもそも筐体はアップグレードの過程を簡素化するために手を加えられたようなところがある。というのはわたしの考え方では、先代のときから感じていたことだ。
新しいインテル・ネハレム・ジーオン・チップスはちょっと売りにくいかもしれない。性能は上がったのだが、クロックが下がっている。とはいえ、ギガヘルツのレースはもうずいぶん昔の話だし、お客のほうだって、表に出てくる見た目の性能表が必ずしもそのパーソナル・コンピュータの性能の上限を決めるわけではないことは理解してきているとわたしは信じている。なにはともあれベンチマークなのだ。その線でいくと、8コアのネハレムのアップグレードは記念碑的に高価になるので、この新しい箱を強化させること自体は、客寄せを度外視したものになる。それでもなお、8コアのモデルを、6GBのRAMから16GBにアップグレードするのに500ドル払えば済むのはまあ悪くない話だ。そんなに悪い話じゃないし、サードパーティのメモリ業者にも、けっこうな試練となるだろう。
32GBにするのに6,100ドル払うのは、まったく無意味だ。マック・プロを買うなら16GBがいちばんお買い得ではないかと思う。まさにこれはわたしの仕様と同じだし、このサイトのウェブ・サーバはクアッドコアAMDプロセッサをふたつ載せたもので、これも同様のメモリを差してある。
まとめると、アップルは経済状況がどう変わろうとまるで動じないようなかたちで、デスクトップを新しくしたとわたしは思っている。環境にやさしいというのは、新しいマックを買おうと思った人にとって、ほんの小さなことにすぎない。
言い忘れたことはあるだろうか? ふむ、そういえば、マックの売り上げの70%以上がポータブル部門であることから、伝説の「謎のミッドレンジ・マック・ミニタワー」が実現する夢は、まったくのところ見込みがなくなったのだろう。マックのラインアップにはこういった穴があるとは思うが、アイマックの心臓部を抜き出してディスプレイを取り除いて、拡張機能を追加したとしても、市場のほうが見向きもしないだろう。これを当てるには、観客のほうが足りないだろう。
それからもうひとつ、おもしろいと思ったのは、クアッドコアのモバイル・プロセッサをハイエンドのアイマックに載せる話だ。これならコンテント・クリエータの人たちが、最近の機能満載のマック・プロには手が出ないけれど、これなら買えるという具合にも行けそうだ。
たしかにこの手の製品は、ほんとうのハイエンドの売り上げを食いつぶすことにもなろうが、アップルはこの時代においては現時点で入ってくる売り上げは何であれ感謝しなければならない。しかも、マックのテクノロジを心から求めているユーザは、マック・プロを自分の机の下に大事に置いてくれるだろう。
わたしはといえば、いまの手持ちのハードウェアをどっかに追いやってしまおうという気にはならない。いますぐ投資として出せる資金があったとしても、昨年に揃ってアップグレードを終えてしまったばかりなので、2010年になるまでは、パスしておこうと思う。