注目しているあいだに見逃していたこと

(This is a translated version of the "John Battelle's Searchblog" blog post. Thanks to John Battelle.)
このところ金曜日といえば、1週間めまぐるしく動き回って、FMのチームとあちこちの大事な提携相手との濃密な会議をやっていたせいで見逃していたものを、なんとか追いついて自分のものにするのが習慣となっている。
今週は、とくに移動や会議がぎっしりつまっていた。ということは、触れておきたかったことのほとんどができていなかったわけだ。
というわけで、とくに順序があるわけでもないが、いくつかこの数日で見てきたものをまとめてみよう。
はじめに、わたしはディマンド・メディアのリチャード・ローゼンブラットとほんの少しだけ話ができた。彼は時節を一身に引き受けているかのような人物である。前もって言っておくと、わたしたちはともに「オーク」の投資者である。だがリチャードとわたしが今週、LAからサンノゼまでのフライトで一緒になるという幸運な偶然に与ったのはべつにオークのおかげではない。ディマンドはLAに本拠があり、そこにある成功した会社の多くがそうであるように、(シリコン)バレーや、ニューヨークでさえ、過分なほど尊敬されている。だがリチャードと彼のチームはサンタ・モニカのとあるフラットで、つつましくも有名なメディア企業を築きあげているのだ。リチャードの秘密に当たるようなことはお知らせできないが、彼のコンテント戦略には、検索やソーシャル・メディアとじつに通じ合うところがあって(その具体例はここ、ユーチューブでみられる)、しかも彼は昨年のウェブ2で講演したように、自分のやるべきことをはっきりとわきまえている。
つぎに、わたしが今週会ったのは、「アードヴァーク」のCEOとCTOだ。この会社とそのプラットフォームについては、ほんとに、ほんとに、ほんとに長い投稿が書けそうなのだが、それに加えてアードヴァークが会話型インタフェースの融合という点で周辺の構造やゲーム自体も変えてしまっていること、スケール拡大についてすばらしい方法論をもっていることも書けそうだ。ここではとくに大事なアイディアだけにしよう。ウェブにとどまらず、どこかに眠っている、それでいてわたしたちの頭に収まっているはずの深い知識(リアルタイム、会話型検索プラットフォーム)を生かしていくこと。それ自体が目的になってしまうことのないサーヴィスをつくること。誰かにイーメールを送りつけることはすなわち、その内容をあなたのTo Doリストに追加することを許可するということ。このサーヴィスが生み出すデータの示唆するもの。それ以外にもたくさん。わたしの直感はときどき、1年か2年にいちど、がらっと入れ替わってしまう。この会社について考えることが、急激に重要度を上げてきている。
それから、今週HPで数時間、意義ある時間を過ごすことができた。FMはこの4年間、HPのほぼ全部の部門とビジネスを行なってきた。この会社の文化のなかでは、グツグツと煮込むように長い時間を過ごすことができたのはちょっとした達成で、これはあらゆる意味で、本物の成長であったと言えるだろう。HPは30万人以上の従業員がいて、それでいてバレーのスタートアップならほぼ例外なくあこがれるような根本の原則(と根本の言葉遣い)の上に建てられた会社である。そこを訪れるたびにわたしは、その会社がパッと見たところいかにも無趣味でグレイ色に染まって見えるのでギョっとするのだが、入ってみればそこが暖かく、イノヴェーションに富み、それが働いている人たちを駆り立てていることにハッとする。
そこでグーグルの話になる。これまでわたしはグーグルの人たちから、そこでの問題やら苦しみやらのフィードバックをたくさんいただいており、それについてはずいぶん考えてきた。わたしは最近のこの会社についてはどちらかといえば冷徹に見ているが、この5年のあいだあれこれとテーマを掲げて書きつづけてきたことに加え、さらに長いものを書くべきときが来ている。この会社はどうして、うむ、HPのようになったのか? 今週わたしが会ったケイティ・スタントン・ジェイコブズは、元グーグルで、いまはホワイト・ハウスで市民参加部門長をやっている。(なんと格好いい肩書きだろう?!)。この会社はいま非常にきびしい転換期を迎えている、というのがわたしの考えだが、どのように才能を引き留め、経営方式を改めていくかを迫られている。だがこれはグーグルだけの問題ではない。グーグルがそうなったように、ほかを圧倒するほどの地位に達したことのある大企業ではどこでも抱えることである。それにしても、ケイティがやっていること--膨大な株式をもって大変結構な職を退き、その後は政府に勤め、ほんとうに世界を変えようとしていること--は率直に、とても印象に残ることだ。
今週わたしはOMMAコンファレンスの席で、キイノートをひとつやらせてもらった。それからソーシャル・メディアについて語るパネルにも同席した。OMMAは大入り満員で、2月にあったIABと同じようだったが、そこでまた思わされたのは、わたしたちの産業は今回の景気後退から深い打撃を受けるさなかでも、やはり楽観視するべきで、将来への投資をつづけるべきだということだ。
LAに居るあいだ、わたしは数人の大事な顧客との会合をした。そのなかには自動車産業、ニュー・ヨークの大手代理店やブランド、さらには数人のエンターテインメント・ブランドの幹部もいた。この会合については経済が停滞にあっても、将来にむけては多大な支出と、多大なイノヴェーションと、多大な期待があると報告することしかできない。
先日わたしは「ライヴスクライブ」の創業者たちと会い、その「パルス・ペン」を使ってみているところだ。この端末はパッと見、なんだか「あったらいいね」的ガジェットの印象だったが、じつはその示唆するところは深かった。アードヴァークのように、ウェブとコンピューティングという、わたしたちが居心地よくしている空間から抜け出そうとするようなものだった。特筆すべきアイディアは: 紙のインターネット。数百年にわたる書記文化への投資からなにかをつかみとること(わたしたちの頭脳や手指を思わせるその見た目)。双聴覚用のマイクロフォンとプライヴァシ/ソーシャルの関わり合い。「ペンキャスティング」や、「ペンと紙をつかったフラッシュ動画のオーサリング」というコンセプト。圧倒される。どちらの会社も、わたしたちの主催するCMサミットに参加する予定だ。
サミットといえば、わたしは今週CMやウェブ2サミットではいろいろとやる仕事が多かった。そのラインアップはどちらも非常に似通ったものだ。この手の仕事について自分がやることはあまり書けないが、報告みたいなことを書くと--わたしはたくさんの人に電話をかける。そしてそのプログラムについて誰がいちばん反響のあることを言ってくれるかブレインストームする。今週はどちらのコンファレンスにとってもじつに実りある週間だった。これではCMサミットのプログラムをほとんど漏らしてしまったようなものだが、もうまもなくわたしたちは、ウェブ2のテーマと、講演者のラインアップをお知らせできるはずだ。お見逃しなく、と皆言っている。
おっと、ツイッターのイノヴェーションについていえば、今週は大事な週間だった。提携相手であるマッカンとマイクロソフトと一緒に、わたしたちは第一弾として「エグゼクツイーツ」を始動した。これは実験的なコラボレーションによる、イノヴェーションに富む(そして進行中である)人々の思考の断片を多数公開するものである。たとえばマッカンのマーク・ラクシンや、その提携相手であるマイクロソフトからはビル・カポダーノが登場する。ふたりとも「ツイッターヴァース」にも対応する方法で、自身のヴィジョンをもってこのプログラムに参加する。かれらは今後とも、毎回出てきて、改良につとめる予定だ。
それから昨日、わたしたちは第二弾のツイッターむけプログラム、「マーチツイートネス」を始動した。これは大学バスケットボールに特化したものだ、というのはご想像のとおりかもしれないが、その目玉は、AT&Tならツイッターヴァースにも対応する、付加価値をお届けできることだ。
それでは、それ以外のこと、思考については、もう金曜日だ。よい金曜日のひとときを。よい週末を。