マイクロソフトを待ち構えている、いやな予感

(This is a translated version of the "Gene Steinberg's Mac Night Owl" blog post. Thanks to Gene Steinberg.)
「コンフィッカー」ワームの犯人(たち)の逮捕につながる情報に、25万ドルの賞金がかかっているが、どうやらこれは、パーソナル・コンピュータ世界でのウィンドウズの覇権をおびやかすものが、まだまだありそうな気配である。
たとえばHPが自社のネットブックむけに、オープン・ソースで、リナックス・ベースのグーグル・アンドロイド・プラットフォームを、採用することを真剣に検討している。深く切り込む前に、ネットブックはパーソナル・コンピュータだとするわたしの見解に意義を唱える人もいることがわかった。だがわたしはこれを通常のノートブックを非力にしたものだとみている。じっさい、ほんの数年前だったら、売れ筋の2009年式ネットブックでもじゅうぶん力強い相棒とみてもらえたはずだ。つまりね、標準的な、いちばん安いやつかもしれないけれど、PCのハードウェアを使っていて、そのかぎられたリソースの限界のなかで、効率的に機能するくらいにはアプリケーションをしっかり動かせるのだ。
こんにちのネットブックはふつう、リナックスかウィンドウズXPで動いている。ウィンドウズ・ビスタはあまりにもリソースを食いすぎる。たしかにマイクロソフトネットブックむけにウィンドウズ7の軽量版を出すと約束しているが、軽くするためになんでも取り払うというのは、ほんとうに実現させるのは相当困難であろう。うまくいったとすれば、それはマイクロソフトにとってありがたいことだろう。使う人たちがたとえば同時に3つまでしかアップスを起動できないといった制限を受け容れてくれるのなら。
さて、もうちょっと広い視点から語ろう。「アース・テクニカ」の最近の記事でも言われているように、アンドロイド・オペレーティング・システムはもともと、PCの世界ではなく、スマートフォンのためにつくられたものだ。だからこれをべつの環境でうまく機能させるためには、かなりの出費と開発期間が必要となるだろう。その一方、HPが試用版を出してくるかもしれないし、あるいはネットブックやほかの選択肢でも動作するものを提供してくれないと困るとマイクロソフトに対し強く求めるのをやめるかもしれない。
しかし、この記事でもうまく指摘されているように、ネットブックむけに仕立てられたリナックス・システムはすでに存在していて、細やかな設定をしてやれば、ウィンドウズXPとじゅうぶん競合できるくらいユーザにやさしい使い勝手にもなれるだろう。マイクロソフトの経営陣は、ウィンドウズ7をネットブックでどの程度機能するようにしようかと考え込んでいて、どうなるかは、大部分においてかれらがどう思うかにかかっている。
もうひとつの選択肢はもちろん、ウィンドウズ・モバイルを使うというものだ。それはすなわち、モバイル・プラットフォームに仕立てられたオペレーティング・システムをネットブックに採用するという考え方を受け継ぐものだ。じっさい、情報にさとい人たちはアップルがネットブックの土俵にあがってくると信じていて--この製品セグメントがそれまで長つづきしていたらの話だが--それはアイフォンを大きく作り替えたようなものになると思い込んでいる。それが「イーメート300」なる、1990年代半ばに出てきたニュートン・ベースのモバイル端末の伝統を受け継ぐものになるという説もある。
だがアップルは、自分たちはOS Xのプラットフォームを土台にそれを拡張するかたちで、マイクロソフトが中核となるウィンドウズ製品を拡張してきたよりも、すぐれたものをつくると言っている。ということは、アイフォンのラインを拡張するというのでもなんら不思議はない。聞いたかい、マイクロソフトさん!
一方ヨーロッパの市場では、ファイアフォックスが、インターネット・エクスプローラのヴァージョン7にとってかわり、もっとも多く使われているヴァージョンの座についたと報じられている。まあ、インターネット・エクスプローラ8はそのうちに追いついてくるだろうが、それがファイアフォックスの成長を押しとどめるものになるかは、誰にもわからない。ご存知のとおり、ファイアフォックスが出てきたころは、インターネット・エクスプローラがウィンドウズ・オペレーティング・システムの一部として組み込まれていたので、当然ながら相当な差をつけられていた。PCの販売業者がファイアフォックスを新しいコンピュータのデスクトップに組み込むのでないかぎり、それをダウンロードしに行かなければならない。じっさい、PCユーザがいくつかのブラウザから対等に選択できるとして、どれもが最初から搭載されていて、その新しいマシンのデスクトップにあるアイコンをクリックするだけでかんたんにインストールできるのなら、インターネット・エクスプローラはかなり分が悪くなるだろうとわたしは思う。
マイクロソフトにとって次の山場は--これはアップルにとっても同じことだが--最新の四半期の財務状況だろう。たしかに、合衆国内でのマックの売り上げは2月に相当な減少があったと報じられている。だが3月の売り上げはまだ明かされていないので、新しいマックのデスクトップのラインアップが売り上げを支えたかは判明していない。もっとも、非公式にはずいぶん改善したと言われているけれど。
それから言っておきたいのだが、アップルはグローバル企業だから、ある国での売り上げが減ったとしても、ほかのどこかで売り上げがあれば埋め合わせができるということだ。この点はまだ結果が出ていない。
一方、PC市場は全体としてどうなのか? マイクロソフトは1回目のレイオフをやって以来、2回目をやらなくて済むくらいに回復するのだろうか? それとも、市場が四半期にとどまらず年を越しても低迷するとみて、また5,000人ほど従業員を減らす決断をしたのだろうか?
じっさい、新しいオンライン広告を見ると、クールと思われなくてもいいから、安くて画面の大きいノートブックを探している人物が出てくる。これはマイクロソフトがそれだけ切羽詰まっていることを示しているのだろうか? マイクロソフトがしばらく前に出してきた広告キャンペーンで、子供がPCでなにか楽しいことをやっているというものがある。これで好感を持ってもらおうということらしい。子供はかわいいし、広告は目を引くものがある。マイクロソフトはかつて、とても賢いことをやっていた。だがこれでは時代をうまく表しているとは思えない。