取締役会や投資者とビジネスの数字がぶれたことを話し合う

(This is a translated version of "A VC" blog post. Thanks to Fred Wilson.)
わたしたちは投資者とのあいだに今日、電話会見を行なった。そのとき出た質問に、マクロ経済の状況が、わたしたちのポートフォリオに入っている会社にどう影響しているかというものがあった。その説明として、わたしたちの会社の大半は、大きな影響を受けていないが、2009年にかけて急に数字が悪化する会社もいくつかあり、成長の見込みを現実的に修正する必要がある、とわたしたちは話した。それをきっかけに、こんどのぶれがCEOや取締役会や投資者によってどのように話し合われたか、考えてみよう。
わたしたちのポートフォリオに入っている会社は、基本的な数字からはじき出した予測が、ポジティヴとネガティヴの両方へぶれることを経験している。予測よりもポジティヴにぶれたときはとくに話し合いに手腕は必要ない。誰だって、よい知らせは好きだし、ほとんどの人はチャンスをものにしたことを喜び合いたいと思うものだ。
だがネガティヴな知らせについて話し合うのには手腕が要る。投資者と取締役会は予測よりもネガティヴなぶれに、びっくりして逃げだすこともあるので正しく扱う必要がある。
わたしが助言できる一つ目のことは、その知らせを知ったら、できるかぎり早くそれを共有することだ。取締役会や大口の投資者が知りたいと思うような案件で、それを共有せずに自分だけで抱え込んでいいことなどなにもない。投資者と話し合うと時間をとられるし、定期取締役会のときまで待ってからのほうが効率がいいと言う人もいるだろう。だがそのような方法で効率をよくしても、その案件に関する大事な利害関係者の人たちと築き上げた信頼や約束事を損なうことになってしまう。それでは意味がない。取締役会や大口の投資者と話し合うのには、効率的なやり方があるものだ。ふつう、イーメールをすぐ出すことが、決め手となる。
わたしが助言できる二つ目のことは、予測を段階的に下げることができるように、頻繁に話し合うことだ。今年に入って3か月半を経たいま、これから2009年の計画を練ろうという場合でないのはご存知のとおり。わたしたちは非常にむずかしい経済状況にいるのだから、誰だってそんなに大きく驚いたりはしないはずだ。だがもし、3月の取締役会を強気で終えたところが、4月の取締役会でいきなり「数字を下方修正しなければなりません」と言い出したら、それは投資者にすれば、ジェットコースターのような気分にさせられるし、投資者はそのような気分にはなりたくないものだ。
こういった状況で、よりよい方法は、2月の取締役会で「第1四半期でこう言うのは気が早いとは思いますが、昨今の経済からして、いつネガティヴなお知らせが入ってきても不思議はありません」などと言っておくことだ。そして3月の取締役会で、「今年目標にしていたほどの成長が見込めない信号が見受けられています。4月の取締役会で短期観測を開きましょう」と言っておく。そうすれば、4月に下方修正の短期観測を行なったとしても、それは皆が予測していたことに収まる。
最後にわたしが助言できる三つ目のことは、予測から大きくぶれるときは、そのぶれを正しく見定めることだ。「痛恨の1,000人削減」などというのが、最悪の約束のぶちこわしだ。先がうまく見通せないという会社はときどきある。わたしはそのような会社に投資するのが好きではないし、ほとんどのCEOはそのように経営するのは好きではないだろう。はっきり言えるのは、ほとんどの会社はそれなりに先を見通しているもので、第2四半期に入るまでにその年がどういう方向へ進んでいるか把握できるはずだ、ということ。だから現在と6月のあいだに数字を下方修正すると決めたなら、その数字をはっきり見定めた時点で修正することだ。それ以外のやり方では、行き違いを呼び込むだけだ。
いま言ったことのほとんどは、じっさいは常識だろう。CEOにとっていちばんむずかしいのは、それをどう執行するかだ。取締役会と投資者の人たちをうまくまとめたからといって、それが日常のビジネスに価値を付加するわけではない。それで製品がよくなるわけではない。それで売り上げが伸びるわけではない。それですばらしいチームが集まるわけではない。あとは言うまでもないだろう。そういうわけでCEOはそれを放り出したまま、ビジネスを先に進めることを好む。よい取締役会は、CEOにそれが必要であることとその理由を説くものだ。
最後にひとこと。今年の数字を下方修正したからといって、たくさんの人を解雇するわけではない。そういうことも幾分は予測されるだろう。むしろ手続きを仕損なうことのほうが起こりやすい。きびしい年は、はじめから慎ましい予測をし、予測に沿えるために最善を尽くし、修正や予測のぶれが生じたときは前倒しで進める。そうすればうまく行くし、それはあなたのチームや会社も同じことだ。