主要人物が法人を退職するときは

(This is a translated version of "A VC" blog post. Thanks to Fred Wilson.)
NYタイムズの今日の表紙記事に、「クアドラングル・グループ」について書かれていた。2つの記事をひとつにまとめたものだった。最初の記事はクアドラングルの雇っている資金調達代理人には政治コネクションがあって、州の年金基金から資金を調達する手助けをしているというものだ。この問題については新聞で読んだこと以外なにも知らないので、この記事についてはまったくコメントできない。
もうひとつの記事は、スティーヴ・ラトナーオバマ政権に参画し、合衆国の自動車産業の再建を仕事とするために、退職するというものだ。スティーヴはクアドラングルの創業者で、明らかに「主要人物」のひとりとみられている。
わたしたちの法人では、パートナーのブラッドとわたしは「主要人物」である。もしどちらかがなんらかの理由で法人を退職したら、わたしたちの投資者たちは「投資期間」の早期完了を求める選択肢も与えられるはずだ。基本的に、わたしたちの投資者は新しい投資を即時停止することもできるし、法人を休止期間にさせることもできる。
それがちょうどいま、クアドラングルの投資者たちが話し合いをしている案件だ。どうやら金曜日までに決断を下すらしい。
これと同じことが、2000年後半にわたしとパートナーたちの身に起こった。フラティロン・パートナーズとJPモルガン・チェースの投資者が、フラティロンのパートナーを通じたインターネットの初期ステージ投資を今後一切取りやめると決断したのだ。わたしたちは休止期間に入り、その状態がいまもつづいている。それでもわたしたちは、5つの投資ポートフォリオを管理しつづけている。これに時間を割くようなことはもうないが、決断後最初の3年間は、ポートフォリオを管理することだけでフルタイムの仕事を要した。
このことは先週か先々週だかにやったInSITEの講演でも、ちょっと話した。その講演のなかから、この問題に触れた部分の映像を載せておく。この映像はそのままつづくが、この話に関係ある部分は8:10までだ。

ティーヴ・ラトナーのような主要人物がファンドの途中で法人を退職してしまうというのはそうよくあることではない。ファンドの新規開始時に退職するというのが、どちらかといえば一般的だ。もっとも偉大なヴェンチャ・キャピタリストのひとりといえばやはりヴィノド・コスラだが、コスラはいま自分でつくったヴェンチャ法人「コスラ・ヴェンチャーズ」をやっているが、その前にいた法人「クライナー・パーキンズ」ともやはり関わりつづけている。ある時点で、というのは正確に時期がわからないのだが、ヴィノドはクライナー・パーキンズの新規ファンドに関わるチームに参加しないことを希望するようになった。だが彼はパートナーや投資者やポートフォリオ会社への義理を感じているらしく、そのうちクライナー・パーキンズにまた加わることもあるだろう。こういった話はよくあることだ。
どこよりも大きく、どこよりもよく知られているヴェンチャ法人はファンドの契約書に主要人物にかんする条項がないといわれる。パートナーのひとりがファンドを管理する法人の能力に決定的な影響をもつという時期は過ぎてしまったのだろう。だが小規模のファンドや新参のファンドは主要人物がなにかの理由で退職した場合の条項を定めることになるだろうし、その場合、法人が事実上通常営業を止めることもあるだろう。
というわけで、もしあなたがVCやアントレプレナーなら、パートナーは賢く選ぶこと、長い目で見てしっかり腰を落ち着けてくれるか確かめることだ。InSITEの講演でも話したが、ヴェンチャ・キャピタルは長い期間を要するビジネスなので、我慢強い人と、移り気でない投資者が必要だ。