「セカンド・マーケット」の台頭

(This is a translated version of "A VC " blog post. Thanks to Fred Wilson.)
クレア・ケイン・ミラーが今日のNYタイムズで「セカンド・マーケット」について書いている。これはNYCを本拠とする会社で、流動性の低い証券の市場取引をしている。彼女のまとめでは、まもなくセカンド・マーケットは上場していない会社の株式を取引する市場を始動するという。
このアイディアについては前にも書いたことがあって、わたしはこれを必要悪だと思っている。誰もがエグジットが済むまで、あるいはIPO市場が戻ってくるまで、待てるわけではない。創業者が非公開で保有している株式の一部を売ろうとしているという話はよく聞くし、たいていは会社の投資者に売るという話だ。だがこれでは透明性が高いとはいえないし、あまり流動性の高い市場ともいえないし、創業者のほうも、株を買う投資者のほうも、公正な取引をしているかどうか明らかではない。
それよりもよいアイディアは、売り手と買い手が直接会い、両者ともに値段を前もって知ることのできる市場をつくることだ。最新の値段を知り、値段の履歴も知ることができれば、購入にあたって不安も少なく済むだろう。
先週マイク・アーリントンが、フェースブックが20億ドル評価額での投資の提案を断ったという投稿を書いた。わたしはその投稿にコメントを残し、20億ドルの値段は低いだろう、なぜならフェースブックの場合はセカンダリ・マーケットを通じて支払いがなされるのだからと書いた。その後、わたしは2008年1月からのフェースブック一般株の値段チャートを載せたイーメールをある人物からもらった。そのチャートは公開しないでくれと言われたので、公開しない。このチャートはフェースブック一般株は今年6ドルという低い額で取引されていたが、いまは8ドル前後であることを示していた。ということは30億ドルから35億ドルで、テッククランチのコメント欄でわたしが推測した額よりも低くなる。
このチャートを見たことは、わたしにとってはまさに「アハ体験」だった。フェースブック一般株にはつねに取引の動きがあるので、いつでも市場における値段を知ることができるし、値段がどのように動いたかを知ることもできる。先週の投稿でも書いたように、フェースブックは上場しないままで公開企業になっているようなものだ。
こうなっていくと問題がいろいろと出てくるのはわかる。その会社の株に値段の履歴が見えていれば、低額のオプションを行使するのはむずかしくなる。株主が誰かをこちらで決めることはむずかしくなるし、手っ取り早く現金を手にして出て行けるような状況で従業員の気持を引き留めることはむずかしくなる。こういった問題はどれも、企業が上場するまで通常は直面しないことだ。フェースブックはひと足早くこの問題に直面せざるをえなくなった。
だがわたしはこれはほんとうによいアイディアだと思う。クレアがこの記事を書くとき話を聞きにきたので、わたしは彼女にこう話した。

もし会社の株に流動性を高める道がないのなら、アントレプレナーは会社を始めたくないだろうし、投資者も投資したくないでしょう。上場していない会社のための非公開市場の株は、IPO市場に動きがないことで生じたギャップを埋めてくれることでしょう。

わたしはセカンダリ・マーケットが公開市場やM&Aにとって代わって、ヴェンチャ支援を受けているスタートアップが流動性を高める手段として定着するとは思わない。それは必要に迫られたときの第三の道だろう。ヴェンチャ・キャピタルと公開エクイティ市場とのあいだに欠けている市場の、つなぎ手となるのだろう。この手の市場をつくることに取り組んでいるスタートアップはいくつもあるし、この先6か月のあいだにどれも始動することだろうと思う。そのどれかが、できれば複数がうまく行ってほしいと思うし、この先何年かすればセカンダリ・マーケットが確固とした、流動性の高く、透明性のあるものに進展してくれたらと思う。それはわたしたちの必要としているものだ。