アップルに期待すべきでないことについて

(This is a translated version of "Gene Steinberg's Mac Night Owl" blog post. Thanks to Gene Steinberg.)
WWDCと、期待されるアップルの新製品発表が近づくにつれ、アップルの顧客とメディアの両方からたくさんの期待の声が飛び交っている。一部のものは実現するだろう。それは単にすでに明かされていて、それ以外を期待するのは馬鹿げているからだ。一部のものは実現しないだろう。それはまだ明かされていないからではなく、存在意義があまりないからだ。
たとえば「スノウ・レパード」を考えてみよう。アップルはこれが主に前を受け継ぐ、使い勝手の向上のためのアップグレードであり、新機能はあまり多くないことを明かしてしまっている。だが一部の噂サイトがまだ公表されていない機能が出てくる可能性について指摘しているのは、どうにも止めようがない。これが本当なら、ディヴェロッパは10.6の発売前に自社製品を対応させるために検証期間がほとんど、まったくとれないことになる。
もしあなたがこの主張を信じるとして、おまけに婚約指輪つきであると言うのなら、あなたに知らせなければならないことがある。ディヴェロッパの人たちはスノウ・レパードのプレリリース版を昨年から手にしていたこと。そのあいだ、強化されたマルチスレッド対応やプロセッサのタスクの一部をグラフィック・チップに担わせる機能について、ディヴェロッパは自社のソフトウェアをなんとか対応させようと必死に取り組んできたことは疑いようがないこと。
いずれにしてもオペレーティング・システムのような大幅なプロジェクトが進行中であることは本当だが、ではアップルが忠実なディヴェロッパを振り回すようなことをすると、なにか得することでもあるのだろうか? それでかれらはマック向け製品をつくろうという気になるのだろうか? それを使う人にしてみても、自分のお気に入りのアプリケーションが新機能に完全対応するまで、何か月も待たなければならないとしたら、どんな意味があるのか?
スポック氏なら、こう言うだろう。「船長、それは非論理的です」
わたしの感じでは、スノウ・レパードではいくつか新機能が出てくるだろうが、大幅なインタフェースの変更やそれに近い視点や目的のものは出てこないのではないかとみられる。差し迫った問題は、アップルがこの製品にフル・アップグレードの値段をつけてくるか、それとも劇的に下げてくるかであり、それはすでに多くの人が指摘している。大事な問題はマーケティングの影響に強く左右される。アップルが値段を格段に下げていけば、マイクロソフトとの比較においては特に有利になるだろう。マイクロソフトはウィンドウズ7の最上位エディションについては完全武装の値段をつけてくるに違いないからだ。
もうひとつ噂があるのは、アップルがマックの値づけを大幅に下げてくるというものだ。なぜか? ネットブックと、マイクロソフトの広告キャンペーンのせいで、家計にはマックは高いという印象が強くなっているからだ。だが事実はもちろん、ハードウェアとソフトウェアを直接ウィンドウズPCに並べてみればそんなことはないのだ。マイクロソフトのごちゃごちゃした広告では、少ないカネで劣ったコンピュータを手に入れるという事実以上のものは見えてこない。それ以上でもないし、それ以下でもない。ウィンドウズPCのユーザは低能だと人に言い回っているのと同じではないか。
だがそれはマイクロソフトの意図ではない。結果としてそうなったということだ。
だからといって、アップルは値づけを下げる意味がないということではない。アップルはたとえば17インチの消費者向けアイマックを899ドルで提供できるのだ。フルサイズのウィンドウズ・デスクトップが399ドルである世界において、これはとくに安くは見えないかもしれない。だがそこにはずっと多くの価値があり、それでもアップルにそれなりの収益をもたらしている。
それからわたしは、マック・ミニが499ドル(というのが初代PowerPC版の値段だ)に戻ってくれないかと思っている。だがアップルが実際この値段でつくり、売るという決断を正当化することができるのかはわからない。おそらくできるだろうと思うし、そうすればアップルは自分の原則を妥協させる必要もなく、PC市場の端くれをしっかりとつかみ取ることが可能となるだろう。
もうひとつの噂は、アップルはアイフォンの廉価版を出すべきだというもので、これは単に高いスマートフォンの値段に反発があるからだ。もちろん、RIMなどから出ている同等の機種と比べれば、報奨金を計算に入れた値段はアイフォン3Gとほとんど変わらない。
アップルは小型画面のナノ・ヴァージョンを検討する気があるか? わたしが思うに、それはなかなか素敵な話だが、既存の画面はすでに十分小さいと感じる。一部の人たちは使いにくいと感じているし、わたしもときどき読書用の眼鏡を引っ張りだしてこなければ見えないということもある。それなのに、さらに小型のものが成功することはあるだろうか?
アップルはアイフォンのサイズを小さくするなら、ホーム・ボタンやそれ以外の機能を小型にしたほうがいいとわたしは思う。だがあまりやりすぎないことだ。むしろアイフォンをもうちょっと大型にして大きな画面と性能のいい部品をつかって、アップルのネットブックとして機能するようなものを出してくるのではと強く思っている。
前にも言ったが、こうやって疑問を呈したからといって、アップルが今年中にわたしの考えているような新製品を発表してくれることを期待していないわけではない。だがこのようなことについてはできるだけ現実を見るようにしているのだ。メディアにはそれとは違った発想の人たちが一部いるのは残念だ。