マックの現況確認: はびこる迷信を退治しよう

(This is a translated version of "The Mac Night Owl" blog post. Thanks to Gene Steinberg.)
1970年代から公に知られている会社なら、その製品や戦略についてはよく知られているはずだとあなたは考えるかもしれない。だがそう考えてみても、アップル社に対し公平な見方をすることを妨げることで自分が利益を得るような人たちがばら撒いた迷信やFUD(Fear, Uncertainty, Doubtの略)を止めることにはならない。
近頃、マイクロソフトの言い分を妄信した数人のメディア評論家が、大事な点を十分に時間をかけて検討しないままでそれを受け売りしている。なかでもしつこくくり返されているのが、「アップル税」なるもので、マックを所有する特権のためには余分に高い値段を払わなければいけないということらしい。
過去において、アップルが自社の製品に対しできるかぎりの利益を上乗せして高すぎる値段をつけていたのは事実だ。だがこの見方はゆっくりとではあるが変わってきている。最近でもアップルはやはりPC業界のハイエンドに位置しているのかもしれないが、これはアップルの製品が不当に高いからではない。かれらはただ、機能を満載した製品を売っていて、安物づくりを拒否しているだけなのだ。
マック対PCの比較をするときは、気をつけておくべきことがいくつかある。ひとつは、ハードウェアのプロセッサ速度、RAMの速度と容量、ハード・ドライヴの容量が同等であることを確認してから比較することだ。オペレーティング・システムを比較するのはもっとややこしい。これはマイクロソフトウィンドウズ・ビスタを紛らわしいほど多くのヴァージョンで売っていて、ウィンドウズ7についてもその強欲なやり方で売ってくると予想されるからだ。
アップルが一般むけに売っているのは、機能満載のレパードひとつだけだ。ふつうに考えればあなたが欲しいのは、機能満載のビスタ、つまり「アルティメット」だろう。この選択について議論したい人たちに言わせれば、ビスタのいちばん高いヴァージョンなど買わなくても用は足りる、なぜ買うのかということだろう。いや、これはレパードと、(安物でない)ビスタを比べるだけの話であって、それだけのシンプルなことじゃないか! あなた自身がどの用途に使うかはまた、べつの話じゃないか。これは値段を比較する話であって、それだけのことだ。わたしは両者を平等に扱うためにできるかぎり公平であろうとしている。
この数年、わたしはことある度にこの手の比較はもう十分やりつくした。全部話し終わった結果、ほとんどの場合において値段の違いはごくわずかである。デルでいちばん安いデスクトップを799ドルのマック・ミニと同等にカスタマイズしてみたことがある。デルのほうは注文する直前のところで709ドルになった。「アイライフ'09」に相当するクオリティと機能を満たすようなアプリケーションはデルのほうには見当たらなかったし、802.11nドラフトのWi-Fiに対応させることもできなかった。わたしの出した結論は、安いデルは実質の価値で劣っていて、注文できなかった部分を自分で買い足したら、マック・ミニとほとんど同じ値段になるというものだ。
ハイエンドのデル・ワークステーションは、だいたいマック・プロと同等品で計算するとこちらのほうが高くなることが多い。これはデルのほうでも認めていることで、わたしは直接話したが、その理由を聞くことはできなかった。
残念なことに、アップルが売っている製品は値段が高すぎるという評判ができあがってしまった以上、それを打ち消すのはむずかしい。マイクロソフトは1990年代にマーケティングを小細工しながら生き残ってきたことから思い浮かぶことがひとつある。かつてマックは高かったという事実をスティーヴ・バルマーは決して忘れずにいて、そのせいで彼は、実際問題間違っていることなのに、意地でも言い続ける気なのだろう。
それからもうひとつ、不安につけこむ商人によって仕組まれた迷信があって、それはマックOSXユーザの身にもマルウェアの脅威がまもなく降り掛かるだろうというものだ。連中がそう言い始めてからもう8年は経っている。8年前というのは10.0の最初のリリースのときだ。たしかに、この言い分には実験例も出されていたが、これは検証のためにこしらえた環境と、ごく限られた状況によるものだった。だがマックのコミュニティがそのせいで脅かされたり、経済的にもダメージを受けたりすることはまったくなかった。それに引き換えウィンドウズのプラットフォームは、マルウェアの侵入によって推計数十億ドルの損害が毎年生じている。
このせいで、どれだけ多くの人が職を失うことになったか、どれだけ多くの企業が事業から撤退することになったか。これはウィンドウズにまつわる問題がシステム管理者を危険にさらし、現に膨大な損害を生じさせたからである。
もちろん、一部の会社がマック仕様のセキュリティ・ソフトウェアを出してくるのを止めることにはならなかった。なかにはファイアウォールによる防御だとか、子供をオンラインの攻撃から守る方法の強化だとか、有益なものもあるだろう。それでも、わたしはどのアンチウイルス・ソフトウェアもオススメできるほどに達していないと思う。少なくとも、いまのところは。
わたしはマックにはマルウェアに対して脆弱性はないとか、将来にわたってもウイルスの流行が及ぶことはないとか、言い張るほど馬鹿ではないつもりだ。問題はもちろん、そのようなものからあなたを守るプログラムが、対処できるように前もってアップデートされているかどうかだ。それ(この手のニューズの進展を見守ることも)が、まずはあなた自身を守る方法である。もうひとつあるとしたら、数年前にあるセキュリティ・ソフトウェア開発者が言ったように、「安全なブラウジングをする」ことだ。イーメールのメッセージに添付されたファイルは、中身を知っているのでないかぎり、ダウンロードしないこと。たとえあなたの知っている人からのものであってもだ。チェックするだけならどうってことない。相手のシステム(とくに相手がウィンドウズ・ユーザの場合)と歩み寄ればいい。それがあなたが取引している金融機関からの通知と名乗るもので、リンクをクリックして個人情報を再設定するように求めるものだった場合、あなた自身でブラウザを開き、直接自分の口座をチェックしに行くことだ。思い込むのはいけない。
もちろん、マックにまつわる迷信はこれからもなくならない。ところで「ナイト・オウル」も10周年が近づいてきた。わたしたちがその記録更新にまっすぐ進んで行くことはもちろんだ。