スノウ・レパードの報道: 期待が徐々に薄らぐときの法則

(This is a translated version of "The Mac Night Owl" blog post. Thanks to Gene Steinberg.)
あなたのアプリケーションがもっと早く起動するようになったり、アプリケーションが実際にいま売られているマックを動かしているプロセッサの2コア、4コア、8コアを存分に使ってくれるようになったら、きっとそれはいいことだと思う。それはオペレーティング・システムを実用的な目的で(あるいは新機能のために)買い替えるときの理由としては十分以上かもしれない。
最近わたしは、いま出ている以上に性能の高いマックはほんとうに必要かという記事を書いたとき、この利点についてあまり時間をかけて考えなかった。イーメールはこれ以上早く受信できないし、ウェブ・ページをこれ以上早く表示するのも無理だが、それでもやはりCPUの馬力が向上することには、一定の利点はあるだろう。
たとえば、CDをアイチューンズに読み込ませるという基本的な機能がある。このよく使われる作業については、4コアのマックは、デュアル・コアのそれよりも2倍の速さで処理できるというのは紛れもない事実だ。これが意味するのは、もちろん、アップルはアイチューンズを複数プロセッサに最適化させてきたということだ。これに最適化されていないアップスがたくさんあるのはいかにも残念だし、ビジネス・ソフトウェアについてもこれはまったく当てはまるのだ。
わたしの仕事に関することで言えば、たとえばわたしは毎週2時間のラジオ番組をふたつ、クイックタイムMP4からMP3へと変換させる作業をしている。こうすることで、だいたいの人は番組を再生するのに、ごくふつうのPCか、音楽プレーヤで済むようになる。これはもちろん、計画的なものである。互換性が高いということは、より多くの視聴者が集まるということで、まあ、そういう意図なのはおわかりであろう。
ところが、わたしが変換に使っているアップスはどれも、わたしのマック・プロ(クアッド・コアが2つ載っている)に載っているプロセッサの1コア以上を使っていないようなのだ。なかには比較的速く処理してくれるものもあるが。「アマデウス・プロ」というシェアウェアのオーディオ編集ソフトでは、この作業を終えるのに2分と少しだが、「バイアス・ピーク・プロ6」という、レコーディング産業では定番のソフトでは、それが8分もかかってしまう。
スノウ・レパードが出てくれば、マルチ・プロセッサへの対応がかなり進むだろうし、あなたのマックのグラフィックス・チップへタスクを分散させることも、ゲーミングやほかの重たい作業に使っている最中でなければ、可能だろう。
想像のつく人もいるかもしれないが、これは完全に自動なプロセスというわけではない。アプリケーションがシステム関連の機能を呼び出せば、かなりの性能の向上が期待されることだろう。ほかのタスクについては、ディヴェロッパのほうで、アップグレードのためにかなりの重労働とコンパイルを要するであろう。きっとアップルのことだから、かんたんなことなんですよとわたしたちに言うだろう。じっさいパワーPCとインテルの両方で動くアプリケーションを作らせたときと同じように。
だがアプリケーションを正しく最適化し、デバッグするのには、やはり数週間から数か月はかかることもある。マルチ・プロセッサに意欲的なソフトウェアがたくさん発走台について待っていると期待しないほうがいい。だが念のために言うと、マックOS Xはまだまだ速くなるだろうし、いろいろなやり方で改善はできるだろう。
数千からなるマックのディヴェロッパはすでにスノウ・レパードにむけて準備を進めているし、きっと彼らは目を輝かせて話したいことを持ち合わせているだろう。その一方では、アップルのベータ版は、秘密保持契約で保護されているので、この契約を破ってまで話を聞き出すほどわたしは厚顔無恥ではない。もしあなたがアップルのディヴェロッパになろうと思って、ソフトウェアの原始版を手に入れたいのなら、このルールを守らなければならないし、そうなってしまえば議論は終わりだ。
もちろん、だからといってオンラインに無限にあふれる記事を読むことをわたしが止めるというわけではなくて、これらの記事を読めばスノウ・レパードの進行がどの程度なのか詳しく知ることや、スクリーン・ショットを観られる場合もある。
来週のWWDCでは、アップルはディヴェロッパにむけていわゆる「最終ベータ」を発表することだろう。ということは、今回目立った変更が披露されたおかげで、マックOS10.6の最終リリース前にディヴェロッパが製品を対応させるのにやきもきする事態もありうるということだ。あるいはそれはないかもしれない。アップルについては、予測がつかないのだ。わたしもそうしようと思わない。しかも、あと数日すれば、本当のことはみんなが知ることになるのだ。
スノウ・レパードについてのクエスチョン・マークは、標準で129ドルあたりに据え置かれるのか「特別価格」に下げられるのかはともかく、多数のマック・ユーザが目に見える変更がほんの数点しかないのにアップグレードを行なう気になるだろうか? という点にある。たしかに、性能が大幅に向上するという断言が、ベンチマークの結果とともに提示されたとしても、それは多くの顧客にとっては十分な動機にはならないのではないか。
それからひとつ浮かぶのは、いま言ってきたような噂によれば、スノウ・レパードはインテル・プロセッサのマックしかサポートしないのではないかというものがある。もしこの噂が本当だったとしても、わたしはそれは理にかなったことだと思う。というのは、マックがはじめて「インテルインサイド」のマークをつけて登場してから、もう3年半も経とうとしているからだ。あなたがたのなかにも古いマックを使っている人がいて、がっかりするかもしれないが、スノウ・レパードの特長を生かすのに要求される動作条件には、マルチ・プロセッサや、それなりのグラフィックス・チップも含まれるだろうし、なにより単純にパワーPCを載せたマックではこの条件には当てはまらないのだ。そういうものなのだ、みんな。
それと同時に、スノウ・レパードは、その公式リリースから1時間もしないうちに、新しいマックに間違いなくのせられてくるだろう。だから1年もすれば、アーリイ・アダプタの人たちは目立たなくなるだろう。
この話のまだわからない側面は、スノウ・レパードとウィンドウズ7が今年秋にどうやっても対決することになるので、そのときどうなるかである。思い出してほしい、ウィンドウズ7はだいたいにおいてビスタの焼き直し版で、性能の向上や、一部のインタフェースへの手入れがあるくらいで、それもアップルの「ドック」を真似したようなタスクバーであったりするのだ。でも、スノウ・レパードだってレパードを温め直しただけのものじゃないかと言われてしまうかもしれないね。