WWDCが終わって IV: バカな風説をやっつける準備完了

(This is a translated version of "The Mac Night Owl" blog post. Thanks to Gene Steinberg.)
アップルから目立った発表とみられるものが出そろった後の朝、ウォール・ストリートは特別に好反応しなかったのが明らかになった。でも、経済がこれだけ総崩れになっているのだから、金融コミュニティがどう反応しようと、これを深刻にとらえる人はいないのでは? それにわたしのことをテック・メディアの一員みたいにとらえないでほしい。
わたしが読んだ記事のひとつに、ユニボディのノートブックを「マックブック・プロ」とラベルを張り替えたせいでアップルはその製品のラインに大きな穴をつくってしまったと述べるものがあった。これは200ドル安い白のマックブックがひとりぼっちになってしまったからだと思う。この筆者はこの値下げの影響するところを十分に考慮していない。この値下げは、明らかにアップルのポータブルを、ウィンドウズのポータブルとこれまでにないほど競合させることになるし、アップル税なる風説がバカバカしいものであることをはっきりさせることにもなるのだ。
もちろん、マイクロソフトが事態が変わったことを理解するのには数日かかることだろう。火曜日の夕方の話をすると、マイクロソフトによる例のラップトップの広告はまだ放映されていて、これを見た人の中には1999ドルのマックブック・プロは高すぎるとして見過ごし、それより1000ドル以上安いもののなかから、999ドルのマックブックと張り合えるようなものを選んで買う人がいるのだろうか。バカなことはバカな人がすることだ。
それから、スティーヴ・ジョブズがちょっとだけでも登場することがなかったせいでがっかりした人もいるようだ。残りの経営陣たちがWWDCのキイノートでごくまともな仕事をやってくれたにもかかわらず。かれらにはスティーヴのカリスマはないし、あるいは「現実の世界を違った風に見せる」ような仕事はできなかったかもしれない。だがかれらが提示してきた事実をみれば、それはイヴェントで期待されたことをほとんど満たしているのだ。
スノウ・レパードについて言えば、なかには「マーブル」なるインタフェースや、目を惹くようなアメ玉が出てこなかったことをじれったく思った人もいるようだ。実際アップルは10.6を、インテル・マックのユーザに制限するように設計し直した、レパードの改良版という以上には宣伝したことなどないのだが。それ以外に推測があったとしたら、それはだいたい噂サイトでつくられたものでしかない。
アップルがアップグレードの値段を100ドル下げてきたことから、これはかれらが非現実な期待を持ってはいないことを十分示しているだろう。もっとも、大幅な性能向上の見込まれるオペレーティング・システムは、あなたの需要を十分以上に満たすことであろうが。少なくとも、知っておいてよさそうな新機能はほとんどない。それに、ハード・ドライヴがだんだん狭苦しくなっているのだとしたら、スノウ・レパードのおかげで6GBのスペースを節約できるというのは、それなりに動機づけになるし、それくらいの目的には見合っている。
そうはいっても、このスピード向上を実際見ることになるには、しばらくの時間がかかりそうだ。アプリケーションの開発者はアップルの新しいツールが「グランド・セントラル・ディスパッチ」への対応を決めたことの利点を生かさずにはいられないだろう。この機能は、マルチコアのプロセッサが実用的な部分でアップスに生かされるように働く仕掛けである。一方、システム関連の機能も、通説で考えれば、注目すべき向上を見せるだろう。
アイフォンについて言えば、3G Sのラインの値づけはまったく隙のないものに見える。というのは、3Gとまったく同じだったから。8GBのアイフォン3Gを99ドルで出しつづけるのは、パームにとって頭痛の種をもたらすものだし、パームはアイフォンの販売に割り込みつつあった需要をこのまま維持するのがかなりむずかしくなるだろう。
本当の問題は、いま3Gを使っているオーナーで、アップグレードを考えている人への影響だ。もしあなたが標準で2年間の契約をワイアレス・キャリアと結んで、奨励金のおかげで安く買ったのなら、いまの携帯を3G Sに交換したとき、それなりの違約金を払うことは避けられないはずだ。AT&Tは200ドル以上を要求するだろうし、それに18ドルの手数料もある。かなりの不平の声が挙がることだろうし、申し立てをする人もいるだろう。だがこの規約は、AT&Tのべつの携帯にも強制されているのと変わらないものだし、合衆国内のほとんどのキャリアは同様の違約金を設けているはずだ。
ちなみに、わたしは自分のアップグレードのオプションを調べてみた。わたしは昨年7月にアイフォン3Gを買ったが、こんどの199ドルで16GBのメモリがついてくる3G Sを買うと399ドルで、18ドルの手数料ももちろんかかる。ところが、AT&Tは18か月を過ぎた携帯を次の契約に更新してアップグレードすれば、追加費用なしでできるように取りはからってくれるそうだ。
もしあなたが初代アイフォンを持っているなら、なにも恐れることはない。もうすでに払うべきものは払ったし、奨励金も関係ないし、いつだってアップグレードできるのだ。
わたしのことにかぎって言えば、自分のアイフォン3Gをどうしても交換したいとまでは思わない。たしかに、カメラの機能がよくなればいいなとは思うし、ヴィデオ録画ができたり、声で操作できたり、高速な動作(とくにAT&Tがダウンロード速度を向上させてくれるのなら)は悪くないなと思う。だがアイフォン3.0ソフトウェアが約束通り出てくれば、わたしにとって当面の需要は満たされるのではないかと思う。もしAT&Tが既存の顧客に対し、追加金を払わずにすむ余地をくれるのなら、考え直してもいいと思う。
だがそれはまだだ。
わたしのことにかぎって言えば、WWDCはわたしが期待していたことをほとんど満たしてくれた。安いノートブックが出たのはうれしいし、アイフォンが速くなったのもうれしい。だがそれよりよろこばしいのは、スノウ・レパードの展望が開けてきたことだ。マック・ユーザのほとんどはその違いがよく見えてこないとは思うが、マック・プロを使っている人にとっては、処理能力の向上がなによりありがたいはずだ。余分にお金を払ったのに、プロセッサのコアがなにもせずにただ待っているだけじゃ、しょうがないだろう?
それから、一部の評論家が考慮できていないのは、アップルは2009年の記念となるような製品を、さらに出してくるための時間をまだ十分もっているということだ。たぶんスティーヴ・ジョブズも次のイヴェントには戻ってくるのではないか。