アップルはそれでもそのゲームには乗らない -- きっと、そうだ

(This is a translated version of "The Mac Night Owl" blog post. Thanks to Gene Steinberg.)
マックブック・プロ・シリーズのごくまともな値下げには、それなりの威力があるだろうと言った方が公平だろう。マックは高すぎると文句をつける人は、そう断言するだけの根拠をいくつか失うことだろう。マイクロソフトはあのラップトップ購買者むけ広告を、新しい現実に合わせて仕切り直さなければならないだろう。そうしないのかもしれないが。
予想できなかったことではないが、アップルが8GBアイフォン3Gをラインアップに残し、99ドルに据え置いたことには効果がある。元アップルのハードウェア担当取締役だったジョン・ルーベンスタインはいま、パームの陣頭指揮をとっているが、出たばかりのパーム・プレにも対抗できる程度の値下げを強く要求されることだろう。パームは近頃そんなにうまくいっているというわけではないのだが。
それはともかくとして、なかにはアップルはマイクロソフトの広告に耳を傾けたのだと思う人もいるだろう。こんどの値下げが大きな流れを呼び込み、アップルはそのうちにデスクトップのラインにも同じことをやってくるだろうと。そう思うかもしれない。安いマック -- なんというコンセプトだ!
ところが、アップルはPC産業の大部分と、同じ世界にいつもいるとはかぎらない。ご存知のように、PCメーカはだいたいにおいて同じようなコモディティのハードウェアを扱っており、それを競い合ってひとつでも多く売ろうとしている。ネットブックにしても、300ドル以下で売ることもあるが、かれらはそのケチな利益でも積みあげればいつかそれが山になるのではないかと期待しているか、そうでなければちっちゃな箱を買わせて、高収益な付属品を買わせようとしているかだろう。
じっさい、ネットブックの分野では、これを拡張させようという流れがすでに見受けられる。次から次へとメーカはキイボードを大きくし、フルサイズ寸前まで限界を探ったり、やはり液晶も大きくしようとしている。たしかに、この製品はやはり遅いプロセッサと少ないメモリという足かせがついている。だが通常の使われ方の大半は、家庭用かスモール・ビジネス用だから、それはそれでいい。思い当たるのは、イーメール、ウェブ・ブラウジング、基本的な文書作成といったところだ。マイクロソフトはロウエンドのノートブックでもそれなりに動作するようにウィンドウズ7をうまくチューニングしてくると伝えられている。
結局のところ、ネットブックは廉価版の製品をもう少し安くし、ノートブックとかろうじて呼べるものの機能はほぼ全部備えたというだけのものなのだろう。多くの人にとっては、むしろその違いをリアルの世界で見分けるのはきわめて難しいだろう。もっと性能の高いプロセッサやグラフィックス・チップが必要な仕事をしているのであれば別だが。
アップルにかぎって言えば、このビジネスに参入しようという願望があるのかどうかはまだ審判を下されていない。たしかに出血大サーヴィスの安売りは、かれらのやり方ではない。値段を下げたとはいえ、マックブック・プロはやはりアップルにそれなりの利益をもたらすことだろう。部品の仕入れ値をさらに下げ、生産効率を高め、変動があったとしても埋め合わせられる程度には利益を得ているのだ。アップルがつくっているものには、低利益で売ろうというものは何ひとつないのだ。強いて例外を言えば、アップ・ストアとアイチューンズだが、これは両方ともハードウェアの売り上げを多いに刺激している。だから赤字すれすれでも、それでもプラスになるのだ。
それに対し、PC産業はこの手のものごとをどうすればいいか、やり方を知らないようだ。間違いなくマイクロソフトはアップルのエコシステムとどう渡り合うかを想像できていない。全体として見ればほとんどの人にとって、合理的にやっているように見えるのだろうが。
スノウ・レパードのことをもういちど話そう。アップルはこれを29ドルで売ったとしても、抜かりなくまともな利益を上げられるだろうと、わたしにははっきり見える。インテル・ベースのマックを使っているレパード・ユーザの多くはすんなりアップグレードをするだろう。というのは払う額は少ないし、10.6は初回版でも、そんなに目立った粗はないだろうからだ。
単一のオペレーティング・システムを使うマック・ユーザがたくさんいることのおかげで、アップルはサポートや品質管理についても、お金をかけずにうまくこなせるだろう。パワーPCを切り捨てても、新しいマックを買おうかという気にさせることができる。古いハードウェアがその後も長く実用に使えるとしてもだ。
ということは、あなたがレパードの入ったアイマックを使っているとして、スノウ・レパードの性能向上(それが主な目的となっている)という利点を受け取ることができないとしても、まだサポートは続くし、動作もするのだ。ファインダーは遅かったり、アップスは起動に時間がかかったりするかもしれない。だがそれでもたいていのタスクをこなすには十分以上の頼れるコンピュータでありつづける。
じっさい、わたしはついこのあいだ、あるお客さんのG5をレパードにアップグレードした。わたしはまずはじめに彼のRAMを標準の512MBから最大の2GBまで引き上げた。レパードのインストールが始まる前から、その向上はハッとするほどだった。最初のスタートアップのプロセスや、基本的なアップの機能もずいぶん速くなったし、それはまるで新しいコンピュータを買い直したかのようであった。
レパードを10.5.7までアップグレードしたが、それでも性能は犠牲にならなかった。彼は新機能をまるごと使えるようになったし、最新のすばらしいソフトウェアも使えるようになった。
ただし、ますます多くのアップスはインテル限定となっている。そこがきっかけとなって、移行するという人は一気に増えるだろう。アップルがスノウ・レパードに移行すれば、この傾向は加速されるに違いない。そうすればハードウェアはもっと売れるようになり、値下げをずっとつづける必要もないはずだ。そうなれば、もちろん経済の回復にも力を添えることになるだろう。だがこれは誰にも、たとえウォール・ストリートワシントンD.C.のエキスパートと呼ばれる人たちにも答えられない問題なのだ。