長期間にわたって人間関係をうまく築いていくこと

(This is a translated version of "A VC" blog post. Thanks to Fred Wilson.)
22年前の今日、ゴサム・ギャルとわたしは結婚した。一緒に住んできた27年間、わたしはたくさんのことを学び、学んだことの多くをビジネスの人生にもそのまま生かしてきた。それから自分の両親(52年間結婚生活をしている)を見ながら、やはりたくさんのことを学び、学んだことが自分の結婚にも役立った。
わたしは今日この機会に、学んだことをいくらかここで話し、ビジネスで長期間にわたって人間関係をうまく積み上げていくためにわたしがとっている方法がどのように変わってきたかを話せたらいいなと思った。ビジネスについて言えば、いちばん大事な人間関係は、パートナーとわたしとの関係であり、支援しているアントレプレナーとそのチームとの関係である。この人間関係をうまくやり、長い期間にわたって維持していくことは、まさに決定的なことだ。
結婚はあらゆる意味でかんたんな人間関係ではない。子供、お金、親族、共同生活空間(などいろいろ)のストレスは、パートナーとの関係にも影響し、そこから緊張や軋轢が引き起こされる。これをうまくやるには、たくさんやるべきことがあるし、コミュニケーションもたくさん必要となる。だが継続的な努力やコミュニケーションに加えて、わたしが思うにあと2つ、とくに大事なことがある。忍耐、共通した見方/価値観である。
ラビ・ナイルズ・ゴールドスタインザ・ニュー・シュール(教会)での最近の説教のなかで、おもしろい話をしてくれた。彼はある女性に結婚の成功の秘訣を教えてもらえないかと訊ねたそうだ。それに答えて彼女は、「お決まりの笑い話に耐えること」と言ったそうだ。先週だか先々週だかに聞いたこの話を、わたしはツイッターでも書いたし、人前でも何度もジョークとして話した。これがすっかり気に入ってしまったのだ。わたしがお決まりの笑い話をしても相手は聞き飽きているし、ゴサム・ギャル以上にそれを聞かされている人はいないと、自分でわかっている。彼女はどうやってやりすごすかを知っている。わたしは彼女のお決まりの笑い話に対しても、同じである(そう、彼女にもお決まりの話はあるのだ)。忍耐は長期間にわたって関係をうまくやるために、決定的に大事なことだ。もう聞き飽きてしまった話でもさえぎらず、いらだったり反発したりしないでやりすごす術を身に着ける必要はある。わたし自身これには苦労したが、結婚生活にしてもビジネス生活にしてもそれなりに役立った。
そしてさらに大事なことは、共通した価値観/見方である。ミルトン・パッパスは、ヴェンチャ・キャピタルについて誰よりもたくさんのことをわたしに教えてくれた人だが、結婚についてもたくさんのことを教えてくれた。わたしは結婚したとき、ミルトンの下で働いていた。最初の子供ジェシカが生まれたとき、彼はわたしにこう言った。「週に1回は必ずデートの夜をつくること。毎週欠かさずにしたほうがいい。ふたりきりのとき、日々の不満を話すのではなく、希望や夢を話すこと。一緒にやりたいことや、一緒にするつもりのことを話すんだ」。これは実にありがたいアドヴァイスだった。わたしは十分にできていないことを認めなければならないが、それでも(人生のほかのことと同じように)なんとかやろうとしている。
忍耐と、共通した見方/価値観はビジネスでもやはり決定的に大事だ。今週の木曜の夜、わたしはアリ・ギンズバーグ教授がNYUのスターン経営大学院で持っている講義に出て話をしてきた。講演のあとの質疑応答で、若い男の人がわたしに訊ねた。「商談で競争相手がいるとき、あなたはどうやって商談を勝ち取りますか?」
わたしはそれに答えて、文化的な相性と、共通した見方/価値観で競うようにしていると言った。わたしが説明したのは、わたしたちは価格だとか条件だとか、「付加価値」だとか、よくVCが語っているような方法で競うことはしない、ということだ。わたしたちが力を注ぐのは、アントレプレナーがわたしたちと一緒に気持ちよくすごせるような人間関係を築くこと、そしてお決まりの話にも嫌がらず付き合ってくれると思って信じてもらえるようにすること(アントレプレナーをやっている人というのは、お決まりの話が必ずあるものだ)。そしていちばん大事なのは、かれらの希望や夢についてともに語ること、どうやってそこへ向かうかの計画、なぜその希望や夢を分かち合うのか、それを成し遂げるために力になりたいと語ることだ。これが商談を勝ち取るためのわたしの唯一の方法である。両方ともが誠実に、オープンかつ正直に語り合えたとき、それはうまくいく。
結婚と同じように、ヴェンチャ投資は長期間にわたる人間関係だ。わたしが関わってきたものはどれも22年以上はつづかなかったし、結婚以上に大事な関係というのはないはずだ。だがそれを結婚と同じように(お互いに)大事にして一生懸命やり、必要なときにすばやく十分にやりとりをして、忍耐を持ち、(いちばん大事なことだが)共通の見方/価値観をもてば、そこからたくさんのことを得られる貴重な経験となるだろう。気持のことでも、お金のことでも。