インターネットは健在だ(投資先として)

(This is a translated version of "A VC " blog post. Thanks to Fred Wilson.)
ジェームズ・アルタチャーが今日WSJのコラムに「インターネットは死んだ(投資先として)」というものを寄せた。ジェームズはファンド・マネージャで、投資にかんして書く読者の多いコラムニストであるから、そのような意見を述べるだけの資格はある。かれは自分の口で言った通り自分のカネをつぎ込む。だがそれはわたしも同じことで、わたしたちの法人はインターネットにかなり重点的に投資してきたので、わたしはこの議論の反対側に立って言おうと思う。
わたしたち(ユニオン・スクエア・ヴェンチャーズにいる、わたしのパートナーとわたしのことだ)はインターネットはあらゆるものを変化させる力のあるテクノロジのひとつだと考えている。それは産業革命だとか、印刷機の発明にも並ぶほどのことだとわたしたちは見ている。これはとてつもないゲーム・チェンジャーである。インターネットが商用テクノロジとして使われてはじめてから15年ほど経つ。そしてわたしたちは身の回りのあらゆるものごとに影響が表れていることに気づき始めている。産業革命ルネッサンスは1世紀かそれ以上つづいた。このような本質的な変化がシステムとして人々の働きかたを変え、そこに新しい「ノーマル」ができるには長く時間がかかる。
大きな変化の時期は、すばらしい投資の機会を生み出すもので、それだけでなく静的で予測可能なビジネスを破壊するものだ。投資者はその新しい機会をチャンスとしてとらえるか、静的で予測可能なビジネスにとどまるか、それとも座って傍から眺めるかの選択肢がある。わたしは最初の選択肢をとりたいと思う。
ジェームズはこのように言う。

誰もビジネス・モデルをつくり出すことができない。タイム・ワーナーは、もっとも大きなインターネット会社のひとつであるAOLを残すこと以上に、「ピープル」誌のように古いメディア・ビジネスを残したいと考えている。そしてニューズ・コーポレーションは「マイスペース」のビジネスについて、次のステップに踏み出すために組織改編を行なっている。(ニューズ・コーポレーションダウ・ジョーンズ保有していて、ダウ・ジョーンズはこのWSJの発行主である)。マイクロソフトはまるで利益の出ないままでインターネット戦略に数十億ドルをつぎ込んでしまった。

ここに挙げられているのは、変化をつづける動的なものによって破壊される可能性のある「静的で予測可能なビジネス」の姿である。そうなるとは言わない。でも、そうなる可能性はある。タイム・ワーナーがAOLを売り渡そうとしており、雑誌を残そうとしている事実からすれば、長い期間にわたってこの会社が生き残るだろうとは確信できない。AOL自体はインターネットによってネガティヴな影響を受けつづけてきたビジネスである。AOLはいちども純粋なインターネット・ビジネスであったことはない。もともとダイアル・アップ接続のビジネスに、同社の資産であるオンライン・サーヴィスを結びつけたものだった。
ジェームズはこのようにも言っている。

グーグルでさえ、ビジネス・モデルを見つけることができているとは思えない。ただひとつあるのは、たまたま2001年に「アプライド・セマンティクス」社を買収したとき、そこについてきた「アドセンス」なるソフトウェアくらいのものだ。そして新参者たち。ツイッターフェースブックはユーザ数が痛烈な伸びを見せるものの、利益についていえばいまだに悪戦苦闘している。

わたしはツイッターについては、深く関わっている人間なので擁護はしないでおく。グーグルはその巨大で成長をつづけるアップスのビジネス(それはマイクロソフトへの巨大な脅威である)とローカル・フランチャイズで収益化することは容易にできるだろう。グーグル・マップスを使ったことがないという人はいるだろうか? フェースブックは今年5億5000万ドルの収益をあげようとしているし、EBITDAでも高収益であるし、自前でもつ広告システムがすごい勢いで成長しているし、いまやローカル広告主に最上のローカル・ターゲティングをもたらしているといえるだろう
それからアマゾン、イーベイ、クレイグズリストについては? それからバイドゥ、ラストミニット、ヴェント・プリヴェ、テンセント、ソーフといった外国のビジネスは? 投資者が株を保有してよさそうなインターネット・ビジネスは、いまのところ世界中で1ダースから2ダースくらいはあったと思うし、それらはこれからも長く保有してよさそうなものである。
この数字は今後20年にわたって、成長しつづけるだろうとわたしは予測していて、投資者が株を保有しそれによってカネを稼ぐことができるようなインターネット・ビジネスは世界中で数百にもなるだろう。インターネットに参入する障壁は低いし、ジェームズが保有したいと思うような独占企業はそこにはない。だがネットワーク効果、データ活用、スケール拡大というものは、オンラインではとてつもない経済的優位をもつので、これらの要素をもつビジネスを探してみればあなたも、このインターネット革命がビジネス、社会、世界を変えるなかで、カネを稼ぐことはずいぶんできるはずだ。ほかの選択肢といったら、マットレスの下にカネを隠しておくことくらいしかないと思う。