コンテントではなく、オーディエンスを収益化させる

(This is a translated version of "A VC" blog post. Thanks to Fred Wilson.)
オンラインのコンテントをどのように収益化させるかということについては、さまざまな議論がある。
とくに、新聞産業は適正な収益モデルを求めてさまざまな模索の途中である。いろいろな出版方法があるなかで、コストの高いモデルを採用している古いやり方の出版では、広告だけではその難題を解決することはできていない。
ここで議論するにあたって、このビジネスの印刷にかんする議論は脇に置いておこう。わたしが思うに、ほとんどの新聞は、印刷版をなくしたほうがうまくやっていけると思うのだが、なぜそれでも印刷版が主な商品となっている現状から手を引こうとはしないのか、その理由もわかる。
このように広告だけではまかないきれないコスト・モデルを抱えているコンテントのオーナーにとって、購読料というのは当然の選択肢であろう。しかしそれでも、たいていの場合、購読料というやり方はあまりうまく行っていない。
購読サーヴィスのいちばん悪い例は、コンテントを無料と有料に分けてしまうやり方である。これは一部のコンテントがほかのコンテントよりも価値があると言っているようなものである。わたしは、これはほとんどの場合において間違ったアイディアであると思う。とくにニューズやニューズ関連のコンテントならなおさらである。
わたしが好きなのは、FTがここしばらくのあいだ採用してきた購読料モデルである。ひょっとしたらわたしは詳細について厳密には理解できていないのかもしれないが、それでもこのアイディアはやはり大事だと思う。ft.comのドメインに月間9回までなら無料でアクセスできる。かれらはあなたのクッキーを保存し、その月に10回以上アクセスした場合、FTは支払いを要求する。そして多くの人がそれに応じている。
このモデルはインターネットの本質的な真実を見極めている。第一に、あなたはコンテントを検索エンジンやソーシャル・メディアからのリンクのために開放しておく必要がある。近頃ではこれが訪問数の半分かそれ以上を生み出しているからだ。そしてあなたが広告モデルを使っているのであれば、というのはたいていの新聞はそうだが、訪問数とオーディエンスはあなたにとって必要なものであるはずだ。
訪問数によって生み出される、というのは新しいオーディエンスも呼び込むことでもあるのだ。そしてその一部の人たちが、忠実で、ひいては有料のオーディエンス会員にもなってくれるのである。
もうひとつFTのモデルについて好ましいと思うのは、フリーミアムをエレガントに採用していることだ。最上のフリーミアム・モデルとは、誰にでも無料でサーヴィスを利用させ、それでいて、もっとも真剣な/よく来る/影響力のあるユーザを有料カスタマーへと変えられるということだ。
NYタイムズは適正な購読料モデルを見いだそうとして、読者に対し調査を行ってきたようだ。読者がNYタイムズにFTのモデルを採用するよう求めることが望ましいとわたしは思う。これは理解しやすいし、多くの人が好むと思うからだ。
もしNYタイムズがこれを採用したら、わたしはよろこんでサイン・アップするつもりだ。というのは、わたしは月間10回以上はNYタイムズを訪問するし、わたしの払った購読料が、その記事をつくっている人のための人件費の助けになればと思うからだ。