最大の敗者は最大の勝者になりうる

(This is a translated version of "A VC" blog post. Thanks to Fred Wilson.)
ビル・ガーリイが「アバヴ・ザ・クラウド」に「ヴェンチャ・キャピタル産業では実際なにが起きているのか?」というすぐれた投稿を載せている。
まずはこの写真を見てほしい。これは非常に多くのことを語っている。

念のためにいうと、わたしはVC産業が最大の敗者になるとは思っていない。わたしたちは最大の勝者になるだろうと思っている。それはたとえば100ポンドあった人が健康を取り戻すのと同じようなことだ。
ビルが断言しているのは、90年代初頭にオルタナティヴ・アセットへの配分をシングル・ディジットという低い比率(たとえば5%)からダブル・ディジットという高い比率(ときには25%にものぼる)へとつり上げ、利回りを急激に伸ばした投資家が何人かいたということである。多くの人がその結果を見て、それをそっくり真似した。その何人かの投資家がこぢんまりとうまくやった方法は、スケール拡大となるとうまくいかず(よくあることだ)そしてオルタナティヴ・アセットの分野は資金が過剰に流れ込んだせいで、利回りは急激に落ち込んだ。
ビルはそれに関連して、ヴェンチャ・キャピタルはこの例にあてはめればこぢんまりとうまくやった側であり、それに対しバイアウト・ビジネスは拡大をめざした側であると指摘している。オルタナティヴ・アセットへの資金過剰流入は今後10年間かけてだんだんとほどけていき、バイアウトとヴェンチャ・キャピタルに流れ込むドルは少なくとも50%は減少するだろうとビルは予測している。
ビルの分析は的確だと思うが、これらのことがインターネットと通信の革命と並行して起こったという事実をつけ加える必要があるだろう。スマートな投資家たちがヴェンチャ・キャピタルやバイアウトへの関与をスケール拡大しようとしていたのと同じ時期に、ヴェンチャ・キャピタル・ビジネスは過去に例を見ないほどの好況にあった。1994年から1997年にかけて立ち上がったヴェンチャ・キャピタル・ファンドは夢のような利回りを実現した。VCやバイアウトへの比率をシングルからダブル、トリプル、あるいはクアドラプルまでつり上げてうまくやった例の投資家たちは、正しい時機をつかんでその資金を投じたのだ。
ここに挙げたものはどれも、くり返すことの不可能な、スケール拡大の持続も不可能なものである。ヴェンチャ・キャピタル・ビジネスはこの10年間(どんなによくても)シングル・ディジットでやってきており、人はそれを「崩壊している」と評する。
このブログにいつも来ている読者は、わたしがこの手の議論に意見するのをさんざん聞いているだろうから、わたしのとる立場はおわかりと思う。わたしたちはヴェンチャ・キャピタル・ビジネスをどうにか本来の資金調達の水準まで戻し、年間200億ドル以下で持続可能なところまで持って行く必要がある。スタートアップへ投資されたドルにかんしていえば、わたしたちはもうそこまで達している。最近の四半期の数字を言うと、40億ドル弱である。そして今年VCビジネスに投じられた資金の額は巷間で予測されているよりも少ない額となるだろう。
ダイエットはもうはじまっているのだ。わたしたちはふたたび健康を取り戻しつつある。市場を見てもそれがわかるし、利回りについてもそんなに遅くならないうちに結果は見えてくるだろう。