モバイル・ウェブにとっては大事な週

(This is a translated version of "A VC" blog post. Thanks to Fred Wilson.)
わたしが「モバイル・ウェブ」という言葉を使うとき、わたしが言っているのはウェブをモバイル・ブラウザで動作させているという意味ではない。もっとも、この言葉の意味がどこから由来しているかは理解している。わたしの理解では、モバイル端末のほうが、ウェブ・サーヴィスをわたしたちのポケットや財布へ、そしてレストランのテーブルやバーへ、そして学校やスタジアムへと、もたらしているのだ。
このウェブ・サーヴィスが、モバイル端末のうえで動作するブラウザであれ、あるいはアップであれ、どちらで使われようとも、わたしはとくに気にしない。ところがこれらはディヴェロッパの人たちにとっては大きな課題であり、モバイル・ウェブはブラウザ、オペレーティング・システム、端末の環境設定、画面の大きさがあまりに種類が多いために、悪戦苦闘しているようである。
だがポケットに入るウェブの力はとても大きなものだから、これらの課題はどれも最終的には真の問題とはならない。「モバイル・ウェブ」は「それ」がいまそこにあるということだ。そしてそれはつねに進行中のものごとである。
そして今週は、モバイル・ウェブにとってはとても大事なものだった。わたしたちは3つのものを新たに得た。
1) 本当のアイフォンの競争相手 - 「ドロイド
2) モバイル・アップスのためのスケーラブルなビジネス・モデル - 無料アップスにおけるアップ内トランザクション
3) モバイル端末に動画(と音声)をブロードキャストする方式の標準化
以下に、これらが大事なことだとわたしが考える理由を述べよう。
はじめに、なによりも、わたしたちはモバイル・ウェブ市場において、競争を必要としている。もしアップルがモバイル・ウェブの事業機会をすべて握ってしまったら、それはディヴェロッパにとって、コンシューマにとって、そしてイノヴェーション全般にとって、非常によくないことだろう。これはアップルにかぎったことではなく、どの会社であってもそうだといえる。アンドロイドは、アップルに対する強力な競争相手として、いちばん望みが厚い。じっさい、前にも述べたことであるが、アンドロイドはマイクロソフトのウィンドウズOSとは多くの点で似ている。たとえば、両者はアップルのオペレーティング・システムのコピーといえる点が多く、また両者はオープンであり、数多くの端末のうえで動作するということ。そしてアップルの側からみれば小さくはあるが重要なシェアを維持するうえでの規準となっていること。こんどのアンドロイドではまた同じことがくり返されると思うし、そしてモトローラ/ヴェライゾン・ドロイドは市場に参入してきたなかで最初のすぐれたアンドロイド・フォンとなるに違いない。それに、この広告もとても気に入っている。

モバイル・ウェブ市場における競争というだけでなく、わたしたちはモバイル・ウェブ・アップスのためのスケーラブルなビジネス・モデルを必要としている。ディスプレイ広告がそれに対する答えになる可能性は低い。アップ内トランザクションというのは、よさそうである。これはソーシャル・ゲーミングにおいては非常にうまく行っているし、そのほかのウェブ・アップスにおいても注目を集めはじめている。だが、ユーザがすでに複数の端末プロヴァイダーとのあいだにトランザクションを行なっているデヴァイスにおいては、それはより強力なものとなるだろう。アップルはすでに無料アイフォン・アップスにおけるアップ内トランザクションを許可する決定を下している。これは同社がいままであまり乗り気でなかったことである。これは大事な変化だ。わたしが思うに、これはモバイル・アップスをマネタイズするうえで、決定的に大事な転換点となる可能性がある。
それから、帯域幅を浪費するアプリケーションがキャリアのネットワークにもたらす負担を軽くする方法も、わたしたちは必要としている。AT&Tのネットワークは、アイフォンのユーザがその端末でリッチ・メディアを使うようになってから、逼迫した状況にある。これと同じことが、もしドロイドがわたしの予想と同じくらい人気となった場合、ヴェライゾンのネットワークにも起こるかもしれない。だが、帯域幅を浪費するサーヴィスによる負担を大幅に軽くする方法はいくつもある。たとえばヤンキーズの試合をAT&Tやヴェライゾンのネットワークから観戦するのではなく、ATSC規格を使ったデジタルTV放送周波数で観るという方法もある。ATSCにしてみれば、モバイル端末むけに方向転換するきっかけにもなるだろう。デジタル・オーディオの放送規格「HDラジオ」では、すでにマイクロソフトの「ジューン」でも採用されるなど、実現している例があるし、そのうちにどのモバイル端末でも採用されることだろう。先週わたしは、NYCの102.7 hd2のチャンネルで、ジューンをつかって「ラスト・エフエム」を聞くようになった。放送用の周波数にはデジタル化されたものが十分あるし、帯域幅を浪費するコンテントをモバイル端末に送信するのにも使えるだろう。モバイル端末の製造業者とキャリアが協力して、手持ちのネットワークの周波数を開放することで、よりインタラクティヴな用途へと活用する日が来るのではないかとわたしは思っている。
ここに挙げた3つの出来事と同じくらい大事なこととしては、今週のような大事な週が、これから数年のあいだ、何度も起こるだろうとわたしは思っている。モバイル・ウェブ分野は急速に発展しているし、イノヴェーションはあらゆる場所において起こりつつある。これはじつに楽しみなことである。