いかにしてグーグルは、銃戦にナイフで歯向かったマイクロソフトに、反撃したか

(This is a translated version of the "Search Engine Land" blog post. Thanks to Danny Sullivan.)
グーグルは分裂した人格の会社だ。一方では、独占だと見なされないためには、顧客をいつ失っても平気と、人に思いこませようとしている。それでいながら自分の技術面の能力は疑っていて、ビッグGがだめになったとしても知ったことじゃないという具合だ。そのようなものが今週、マイクロソフトの前にたたきつけられた。
ここで記憶をさかのぼって1月末に戻ってみよう。グーグルが一時的に、インターネット全体にマルウェアであるとのフラグをつけてしまった例の話だ。グーグルCEOエリック・シュミットは最近話した内容で、この件が原因で多くの人がヤフーやほかの会社に引き抜かれてしまったことを認めた。
グーグルは現時点では高い競争力を誇る、検索というゲームのなかで自分が「負け」ても平気だという理由を心底から必要としているのだ。そのせいで、グーグルは独占だと言ってロビイ活動--というのはマイクロソフトからの支援もあるのだが--している人たちを勢いづかせることにもなるだろう。
ジェシカ・ヴァセラーロがシュミットの発言をとらえて、いい仕事をやってくれた。彼女は記事のなかで、グーグルがマルウェア問題が発生したあいだトラフィックをかなり失ったという話が事実であること、そしてどのように問題が早期に解決し、通常の状態へと戻ったかをうまくまとめている
まちがいなく、グーグルはいつ顧客が離れていっても平気だと言って、それを裏付けるだけのデータなら何でも出してくるのをこれから目のあたりにすることになるだろう。グーグルがになるというのは依然として事実であり、グーグル自体がやめてしまうのでもないかぎり、この癖をやめてしまう人はほとんどいないだろう。
そこでマイクロソフトの話をしよう。今月、社内で「クモ」という検索エンジンが登場したのを覚えているだろうか? そのスクリーンショットが示しているのは、クモがその検証段階で、検索結果をカテゴライズしてトピックに分け、さらに関連検索に力を入れていることだ。なかにはグーグルが同じことをやってくるだろうと騒ぎ立てている人もいた。
そうしているうちに先週の金曜日、マイクロソフトCEOスティーヴ・バルマーは同社がグーグルに勝っている点として、マイクロソフトは検索では実験が行なえること、その一方でグーグルはどうしても安全を優先せざるをえないことを語った

「グーグルは自分でやっていることをすべて、すべての人に向けてやらなければいけません」とバルマーは昨日ニュー・ヨークで行なわれたインタヴューで語った。「わたしたちの検索は、べつに自分でやっていることをすべて、すべての人に向けてやる必要はないのです」

わたしはそれを頂戴してきて、ツイッターでこのようにツッコンでみた

バルマーさん、グーグルは実験をやることもできるし、実際やっている。マイクロソフトの検索の問題は、リスクを十分にとっている、いないの問題ではない

マイクロソフトはより大きなリスクをとることができるのは事実だ。これは「マイクロソフト検索へのきびしい愛」のなかでも書いた。だがわたしは、グーグルだっていつでも実験はやっているし、変更だってけっこうやっていると書いた。
これは、グーグルがマイクロソフトを弱いと言いふらして叩きのめそうとしたことを思い出させる。わたしの書いた「グーグル・ワンダー・ホイールと、その他に公開された検証版の検索改良機能」では、グーグルが行なっている実験として、あるコンテントを特定のトピックにまとめたり、検索結果のサジェストを増やしていること、それがクモのスクリーン・ショットとくらべても勝っていることを述べた。この検証版が今週たまたま出て来たので、役にたつだろうか?
それでもグーグルには実験ができないと思うかい、バルマーさん? 話をすりかえるようだが、グーグルは「ワンダー・ホイール」のグラフィックの改良ツールを出してきた。これはほとんど使う人がいないと思う。あなたは、すべての人に向けてリリースされたと言うのかもしれないが。それでもこれはなかなかクールだし、マイクロソフトにはないものだ(いまのところ)。
今週、グーグルはご親切にも、検索サジェスチョンを改良して、グーグルで検索した人は誰でも使える、もっと長いリスト記述を出してきた。わたしが目を通した主要な記事の多くで、この変更はグーグルが、マイクロソフトがいかにクモ風の変更を出してきたとしても、十分追いつくことができるのを示したものだという評判だ
結論は、グーグルが検索市場で弱いと言われてもかまわないと思っている一方で、技術的能力への疑問視があるのならプレイブックはポイと投げ捨ててしまおうと思っていることだ。ヤフーが2005年、一時的にグーグルにインデックス数で勝ったことがあった。グーグルはそれが頭にきて、グーグルがその網羅する範囲で負けているのではという疑いの目を、全力で掃討した。昨年7月、こんどはクールがサイズ・ゲームを仕掛けてきそうだと知ったとき、グーグルはご親切にもブログ投稿で、自分たちは約1兆のウェブ・アイテムを「知っている」と明かした。ジミイ・ウェールズジェーソン・カラカニスがグーグルは「人間」的でないせいで、検索で負けることになるだろうと言い張ったとき、グーグルはあらゆる方法で、検索結果には人間の営みが生かされていると言い返した。
さいごに、マイクロソフトにはちょっと残念に思っている。マイクロソフトはグーグルを棒で突こうとした。短期的には、グーグルはマイクロソフトの頭に野球バットを打ち込んだ。だがわたしが言いつづけているのは、これはマイクロソフトが当事者である検索戦争なのだ。これはおそろしく真剣な戦いだ。バルマーが自分の考える、自社の検索がグーグルとくらべて誇れる「優位」を語るのなら、彼はほんとうに自分たちのほうに優位があることを確認してからでなければならない。そうでなければ、彼はグーグルから、空き缶をますます投げつけられることになるだろう。