グーグルはウィンドウズ、Mac、リナックス版のクロム・アプリランチャーを打ち切りへ

グーグルはクロム向けランチャーをウィンドウズ、Macリナックスにおいて7月に打ち切りとする計画を明かした。このツールをつかうと、ユーザはブラウザを起動していなくてもクロムの機能を呼び出せる。今後はクロムOSのみで提供を継続する。
お気づきかもしれないが、この機能はクロムOSから移植されたものだった。グーグルがデスクトップ・ブラウザ向けアプリ・ランチャーの試験運用を開始したのは2013年5月のことだ。ウィンドウズ版クロム・アプリ・ランチャーが開設されたのは2013年7月で、その後2013年12月にMacOSX版が開設され、2014年7月にリナックス版が最後に出た。
だがこの機能はまもなく終了となる。数週内にも、ユーザがインストールをおこなった際のランチャー標準装備はなくなる。すでにアプリ・ランチャーを利用している人には、近日中に機能打ち切りとなる通知が届く。7月にはすべてのデスクトップ・ブラウザ・ユーザを対象に機能が打ち切られる。
では、なぜグーグルはクロムからクロム・ランチャーを取り除くことになるのか。それは、グーグルはようやく、皆がすでに知っていることに気づいたからだろう。「ウィンドウズ、Macリナックスのユーザはクロム内でアプリを起動するやり方を進んで選ぶことが判明しました」と、この表現に聞き覚えがあるとすれば、グーグルが通知センターの機能打ち切り計画を明かした際と同じだからだ。繰り返しになるが、皆が使っていなかったためだ。「実質的に、通知センターを直接見に行く人はほとんどいなかった」とグーグルは説明している。今回の機能打ち切りにおいても、グーグルは通知センターの前例を引き合いに出している。「クロムでは、シンプルさを重視しており、ブラウザの使い勝手を一本化する方針です」
グーグルはゆっくりと、だがはっきりとクロムがこれまでのブラウザとは違うと主張するような機能を取り払ってきた。言い換えれば、ソフトウェアの利用頻度がとくに高いユーザのあいだで呼ばれる「重い」という症状、すなわち機能を詰め込みすぎて動作に差し支えること。同社はここにきて、ユーザがオペレーティング・システムの上にブラウザ・オペレーティング・システムを重ねることを望まないことに気づいたわけだ。
念を押すと、クロム・アプリはなくならない。これからもクロム内でブックマークバーから呼び出せるほか、オムニボックスChrome://appsを打ち込む方法でも起動ができる。続きを読む
(From the VentureBeat blog post. Thanks to Eil Protalinski.)

ブラックベリイは200人をレイオフし携帯電話生産から移行

オタワ発 - 携帯電話の生産から徐々に引き揚げることを念頭においてか、ブラックベリイは金曜日、200人の従業員削減を発表した。対象はオンタリオの本社、フロリダのオフィスとなる。
ジョン・S・チェンは同社代表取締役会長で首席経営執行役員だが、今後のブラックベリイはソフトウェアとサーヴィスを事業者や行政機関に販売することに力を傾けると表明している。一方彼は、携帯電話はブラックベリイをお茶の間で通る名前にしたきっかけであり、生産は継続すると度々述べている。ただし、原価割れになる場合を除く。今回のレイオフはほとんどがオンタリオ州ウォータールーが対象で、残りはフロリダのオフィスだ。木曜日に同社はフロリダ州サンライズ市での75名退職を届け出ている。
「ブラックベリイは事業再建のため、世界各地で引き続き合理化の取り組みに集中してまいります」
と同社の声明では述べられている。「事業の拡大をもたらす経路を積極的に切り拓くとともに、収益を加速させるため、全世界での事業を見直していきます」
同社は昨年、画期的な取り組みとしてブラックベリイ10ではなくアンドロイドをオペレーティング・システムに採用した携帯電話を発売した。先月ブログ記事で、チェンはブラックベリイ10を断念したのではないと述べ、先代経営陣がかつての栄光を取り戻そうと専念したブラックベリイ10に触れた。「わが社はこれまでの成功を支えてくださった根強いご愛顧を見棄てるわけではありません」
だがこの公約はブラックベリイ10に一部機能更新を図るにとどまり、その後のオペレーティング・システムについては明確な方針を出していない。携帯電話にかんして彼が唯一発表したのは、アンドロイド搭載携帯の第2弾だった。「時機が整いしだい、ロードマップについては御知らせいたします」と彼は述べた。
徐々にアンドロイドに移行することでブラックベリイの強みは薄められるが、使えるアプリの数で不足していた部分は補える。また、オペレーティング・システムを開発するという重荷をグーグルに委ねることで、チェン氏はコスト削減効果があるレイオフを進めることもできる。続きを読む
(From the NYTimes blog post. Thanks to Ian Austin .)

モジラは新型ブラウザエンジン「サーヴォ」の試作品を6月にリリースする計画

あと3か月もすると、モジラはディヴェロッパ向けに新型ブラウザ・エンジン「サーヴォ」の導入を要請することになりそうだ。このニューズが最初に知られたのは、グーグル・グループ内でのとある投稿がきっかけだった。弊誌ではモジラに問い合わせ、詳細を訊ねてみた。「今年6月にモジラ・リサーチでは次世代ブラウザ・エンジン「サーヴォ」の試作品をリリースする計画です。このエンジンはパフォーマンスと堅牢性の向上が目的です」とモジラでサーヴォ・プロジェクト主任を務めるジャック・モフィットが回答してきた。ヴェンチャービート誌ではこれをもって事実関係の確認がとれた。

2013年4月、モジラサムスンは共同で「次世代」ウェブ・ブラウザ・エンジンを開発する計画だと表明し、プログラミング言語「Rust」を利用することを明かした。両社は時代に即したハードウェア向けのブラウザを土台から創りだすことをめざして、まだマルチコアやパラレルハードウェアがなかったときの想定ではなく、これらの機器に適応しようとした。その当時、目標だったのはこのテクノロジをアンドロイドとARMの両社に採用してもらうことだった。しかし両社は具体的な工程表を明かすことはなかった。

サーヴォはその後あれこれあって(開発の対象はウィンドウズ、MacOSX、リナックス、アンドロイド、そしてファイアフォックスOS)モフィットによるとこのプロジェクトは次のような言葉で表現されるものらしい。「サーヴォが新たに作りなおすのは、マルチコアのコンピュータ、GPU、そして安全性を高めたプログラミング言語といった時代に即したブラウザのアーキテクチャです」

「サーヴォの試作品の発表に併せて弊社では、ブラウザのユーザー・インタフェースにHTML、CSS、JavaScrpitですべてを網羅した「ブラウザ.html」の構想をお届けする予定です」とモフィットはつづけて述べる。「この新たなUIでは、多機能アニメーションや、各種ネーティヴ・アプリケーションではすでにおなじみの操作感覚を備え、既存ブラウザでは十分に対応しきれなかった部分を補うことになります。このブラウザ.htmlでは、サーヴォのテクノロジ・プラットフォームにとってふさわしい試運転環境をもたらすことになり、さらに新世代テクノロジでこんなことができるのかと感心していただけるようになる見通しです」

なるほどそれは面白そうだが、ひとつ注意しておきたいのはサーヴォはまだどこにも採用されていないということだ。グーグル・グループでの投稿によれば、モジラは今回の試作品できわめて初歩的な目標に達することにとどまっているという。ブラウザ.htmlでほんとうに描画が正しくできるのかはともかく、サーヴォがまずはgithub、ダックダックゴー、ハッカーニューズ、レディットといった界隈で使われることができるのかを確かめたい。その日は近いだろうが、いまのところこれらのウェブサイトではそれぞれの障害が複数見受けられている。

6月に出される試作品ではディヴェロッパがサーヴォを手に触れ、つかってみるという機会になりそうだ。モジラはサーヴォ・エンジンについて「ウェブ・エンジンのパフォーマンスを語るうえで、ひとつの目安を提供できるようになること」をめざすという。また、当然ながらテクノロジが同社内でも導入されるきっかけとなる。「弊社ではサーヴォ・エンジンの利用開始を見据えた段階的手続きを進めており、既存のモジラ製品に組み入れる予定です」とモフィットはヴェンチャービートの取材に対し回答した。「とくに、モジラのプラットフォーム・チームではサーヴォを部分的にGeckoエンジン(ファイアフォックスの基礎)に統合する作業を進めています。長い目でみればサーヴォがこれからのファイアフォックス、モジラ各種製品にとってきわめて重要な機能拡充をもたらすことになると想定しています」

モジラはブラウザだけでなく、ウェブテクノロジを基礎に開発されたアプリケーションへの浸透を期待しており、これは6月の試作品公開でも目標となる。つまりは、サーヴォがモジラといえばこれ、といえるほど開発者に受け入れられることだ。続きを読む

(From the VentureBeat blog post. Thanks to Emil Protalinski.)

不胎化政策と1995年3月の米国債

大蔵省国際金融局の官僚は、自分たちが為替レート政策をしっかりと握っていると信じていた。外為市場介入を決定するのは自分たちだからだ。だが、実際に為替レートを動かしているのは、中央銀行の純信用創造量だ。これは中央銀行の取引総額によって決定される。外為市場介入はその一部にすぎない。
大蔵省にドルを買えと命じられた日銀は、その通りにする。大蔵省は日銀がドルや米国債を買うのに必要な円を印刷するだろうと考えていた。だが必ずしもそうではない。日銀は国債その他の債券を国内投資家に売り、その代金で外為市場介入をおこなった。通貨を印刷するかわりに、国内経済から吸い上げたのである。エコノミストはこういうオペレーションを「不胎化」と呼ぶ。不胎化政策のもとでは、日銀の信用創造量は増えないから、円も弱くならない。

1995年2月と3月、大蔵省が日銀に二百億ドル相当の米国債購入を命じたとき、日銀は「過剰な不胎化」を行なって命じられた外為市場介入に必要な額以上の通貨を経済から吸い上げてしまった。1995年3月、信用破壊が起こり、円は記録的な高さになった。

Richard Werner. Princes of the Yen, 2001.

アカマイ・テクノロジーズの株価が2月に18.3パーセント伸びた理由

アカマイ・テクノロジーズの株価は2015年に18.3パーセント増加した。S&PキャピタルIQによる集計結果参照。インターネット・コンテント配給技術に強みをもつ同社は2月、堅調な第4四半期決算を発表した。すると株価は振り返ることなく進み出した。
第4四半期の営業収益は前年同期比11パーセント増の5億7900万ドルとなり、アナリストの事前予想を3パーセント上回った。決算書最下段の調整後1株利益は5パーセント増の0.72ドルとなり、減益を見込んでいたアナリストの事前予想を上回った。
これに併せて同社は単体であった事業を2社へと分社した。次の四半期から投資家はメディア・コンテント事業の詳細を知らされるほか、その他ウェブ配給事業一般の結果を別個に通知される。
業績見通しについては、第1四半期は概ねウォールストリートの事前予想に合致する数字を経営陣は発表した。
アカマイはこれまでコンテント配給ネットワークに特化した事業から、セキュリティ上の脅威に対する防衛を手掛ける最前線に立つことになった。第4四半期決算でもセキュリティ製品の売上高が好決算を押し上げた。このようにアカマイはクラウド・コンピューティングにおけるセキュリティ・ソリューションでの定番へと自然に進化した。CEOトム・リートンは事業方針への強い確信を明らかにし、実際に1000万ドル規模の自社株買いに着手している。「弊社はエンタープライズのセキュリティにおいては出発点に立ったばかりであり、ウェブ向けサーヴィスの市場規模を超える大きな、ネットワーキング市場規模が期待されます」とアナリスト向けコンファレンスコールで述べた。続きを読む
(From the Motley Fool blog post. Thanks to Anders Bylund.)

サウンドクラウドは、音楽およびオーディオ共有サーヴィスだが、同社のチーフ・レヴェニュー・オフィサーとしてアリソン・ムーアを起用した。デジタル・メディアでの経歴が長いムーアはNBCユニヴァーサル、HBOなどに勤めた後、サウンドクラウドへ加入することとなった。コンシューマ向け定額制サーヴィスの導入をめざし準備を進めてきた同社は、数年にわたる取り組みがようやく実ることになる。主要音楽レーベルとの契約合意に時間がかかったためだ。サウンドクラウドはやっと、ユニヴァーサル・ミュージック・グループとの契約を済ませ、あとは進むだけという位置にいる。
サウンドクラウドはアマチュア、またはセミプロといったミュージシャンがあつまってオーディオ・ファイルをアップロードしたり共有できる場を設置することからはじまった。この数年、同社はビッグネームのアーティストのなかでもカニエ・ウエストなども好んで配信チャネルに採用するようになっている。サウンドクラウドが今後どのようにスポティファイやアップルの「アップル・ミュージック」といった大きな競合に対抗できるかはわかっていない。2014年にサウンドクラウドツイッターへの身売りも間近となっていたが、交渉は破談となった。昨年、サウンドクラウドのチーフ・ビジネス・オフィサーを務めるジェフ・トイグは同社を退社し、ジェイZの出資する定額制ストリーミング・サーヴィス「ティダル」のCEOになった。ティダルでは昨年、幹部人事の混乱がつづいていた。サウンドクラウドの広報担当によれば、ムーアがチーフ・レヴェニュー・オフィサーに就任することによって、この役職は新設されることになるという。
(注:コムキャスト社はNBCユニヴァーサルの親会社だが、ヴォックス・メディアにも出資しており、このサイトはヴォックス社の運営となっています)
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(From the Re/code blog post. Thanks to Peter Kafka.)

マリッサ・メイヤーはインタヴューで、来年ヤフーを経営しているのはマリッサ・メイヤーと明言

ヤフーCEOマリッサ・メイヤーは今晩、チャーリー・ローズのPBS放映番組に出演し「会社の今後を見据えた彼女のヴィジョンを1時間にわたってインタヴュー」された。
で、どうだったかとお尋ねの方に一言でいえばこれまで同様シリコン・ヴァレイにおけるインターネットの巨人である同社の、彼女が着任して以来功を奏さずにきたことが繰り返されたといえる。ただ、関心を惹いたのはメイヤーが広報戦略を通じて会社の株主に向け、今日取締役を2名加入させたことの正当な理由を示すことだろう。ひとりは銀行出身のヘルスケア畑に強い取締役、もうひとりは半導体会社のチーフ・フィナンシャル・オフィサー出身。この人事はアクティヴィスト投資家として知られるスターボードヴァリュー社がメイヤーに敵対し委任状争奪戦を仕掛けている(数週内にも施行される見通し)ことへの対案でもある。ひとつ、取材先から得た情報によればスターボードはメイヤーの退任を求めるという。これはローズにとって、1年後にメイヤーがヤフーのCEOをつづけるつもりかと是が非でも訊きたいと思う理由でもある。
「ええ、ぜひそうしたいと、くりかえしますが思っていますよ」と彼女は言った。「ヤフーの経営者でありたいと願ってやみません。3年間の戦略計画をすでにつくっています」
たまたま番組を見かけたという人に。これは3年にわたる戦略計画として新設されたものであり、これに先立って彼女が新設した3年計画は結局実現せずに終わった。
材料はいくらでも挙げられるが、ひとつにはタンブラーを買収するのに多額の資金を投じたにもかかわらず、減損処理が必要な段階にきている。ローズはきわどい質問を投げかけ、それが「意図しないかたちで引用され」ることになったが、いずれにせよこういった騒ぎになるのは早晩変わらぬことだったろう。
メイヤーが言った内容をここに一部載せる。
チャーリー・ローズ:
どうしてこんなにヤフーの批判があつまるんでしょうね? 2012年から、あなたがやってきたことを見ているんでしょうが、聞くとどうも「彼女がやってきて、いろんな買収をつづけて、しまいにタンブラーも買った。しかしうまくいっていない」とか。
マリッサ・メイヤー
わたしからすれば、ですが。うまくいっていないとは思っていません。問題はなにかといえば、大事な才能を迎え入れて、かれらの力をつないでいくことです。じっさい、14000人の社員のうち、50人しかモバイルに関わるエンジニアがいなかったのですが、いまでは500人を超えるようになっています。わが社は世界でも有数の、アプリ制作元になっています。それについては自信をもっています。ただ、それをどうやって構成していくか。これまでは逸材を買収を通じて迎え入れるという手法できました。そうして、モバイルでの買収案件が多くなったというわけです。なのになぜか、という話ですが、減損処理はたしかに必要になりましたが、買収じたいがうまくいかなかったのではありません。
チャーリー・ローズ:
ではタンブラーもそうだ、と。
マリッサ・メイヤー
そうです。タンブラーは見ての通り、最初の計画からみれば出遅れた部分があります。それでもわたしは、タンブラーについてずっと前向きに見ています。プラットフォームとして秀逸ですし、支えてくれているのはミレニアルの人たちです。じっさい、かれらの利用時間はとても、とても長いのです。それから、ここからうまく進めばですがネーティヴ広告の展開も十分ありそうです。タンブラーは、ご存知かと思いますが、モバイルのアクティヴ・ユーザ数ではきわめて順調に伸びてきました。クリエーティヴですし。表現者のプラットフォームですよ。
チャーリー・ローズ:
では3年半を振り返ってみましょう。つまり、あなたの着任してから。結果をみて、どこがいけなかったのでしょうか?
マリッサ・メイヤー
それについては、ひとつの見方として、まだお芝居は終わっていませんよ。結果をみても、会社は新しい戦略計画をすでにつくっています。これまでテクノロジ企業が再建するのに、たいていは5年、6年、7年はかかっていますし・・・
チャーリー・ローズ:
かかって、じっさいには、正直うまくいっていないでしょう。だって、テクノロジ企業が立ち直る話というのは稀ですよ。アップルはそうですけど・・・
マリッサ・メイヤー
もうひとつ言いたいのは、戦略計画に自信をもっていますし、現実に出てくる数字をみれば、6億人ものモバイル・ユーザがいるのです。16億ドルのモバイル動画ネーティヴ広告、ソーシャルがあります。これこそわが社の売上なのですよ。そして、そこにわが社が進むべき将来がまっています。2012年にわたしがヤフーにやってきたとき、それは本気でやりたいと思ったからです。大変な仕事だとは思いました。でも、いろんなリーダーたちとじっくり話した結果、いろんな事業の見通しがあることが見えました。でも、すべての事業が縮小に転じていたのです。
チャーリー・ローズ:
ヤフーは何人もCEOが代わりましたね。
マリッサ・メイヤー
ええ。61か月間でわたしは7人目のCEOになったのです。戻りますが、すべての事業は縮小に転じていて、思いましたよ。わあ、なんてきびしい、思っていた以上ね、と。でも取締役会にはこう言いました。だいじょうぶです、これから立ち直るためにある試練です。もういちど、成長に戻しましょうと。誰もその事業をどうすれば成長に戻せるのか知りません。ヤフーはもう何年にもわたって、バナー広告の王様だったのですが、いまでも人気が高くて、効果もじゅうぶんあります。ただ・・・
チャーリー・ローズ:
モバイルこそがその決め手だと。
マリッサ・メイヤー
モバイルこそ、その決め手です。プログラマティック広告が登場してきました。ここからは自分で将来を拓くしかありません。時間はかぎられて、ヤフーにとって今大事なことを迅速にやるしかないのです。わが社のモバイル動画とネーティヴ広告の収益は会社にとって決定的に大事です。それについては自信をもっています。いまでは数百万ドル程度ですが、数十億ドルにまで引き上げるしかありません。これまで見たなかで、かほどに急速な成長をみせた分野はありません。そして、くりかえしますが、わが社は、つまりわたしは、これに自信をもっています。
チャーリー・ローズ:
1年後もヤフーを経営していると思いますか? これを訊くのは、みんなが訊くからです。
マリッサ・メイヤー
ええ、それはぜひそうしたいと思っています。ヤフーをこれからも経営したいと強く願っています。じっさい3年間の戦略計画もあります。その後どうなったか、うまくやってヤフーの再建が達成されるのが目に浮かびます。ただ、これはなにより、ユーザのみなさんしだいです。社員のみんなしだいです。それが両方そろってのことです。わが社のサーヴィスが、1年後も同じようにここにあって、いまよりもずっとよくなっていることを願ってやみません。結果ははっきりとしたかたちで出てくるはずです。これからも、しっかりとつづけていけることこそ、わたしの願いです。
チャーリー・ローズ:
でも、いまここにある最大の試練は・・・こうしてあなたはインタヴューに来ていて、社員だけでなく、わたしもそうですが、投資家の人たちや、見ている人たちに「そうだ、そのとおりだ」と信じてもらう必要があります。じっさいに結果が出せる計画で、会社の資産が減りつつある現状に対し、効果があることを示さないことには。
マリッサ・メイヤー
事業が本格的に成長し始めれば、投資家の皆さんがもつ印象もがらっと変わると思っています。いまある最大の試練は、モバイルで十分な利用頻度を確保できるかです。6億人のユーザがいます。これを6億人のアプリ月間アクティヴ・ユーザに変えること。どうすれば毎日つかってもらえるか? どうすれば、なくては困ると思ってもらえるプロダクトをつくれるか?
チャーリー・ローズ:
どうやって実現しますか?
マリッサ・メイヤー
毎日。メールをはじめ、通信機能をつかってもらえるよう投資していきます。通信こそ、利用頻度の向上につながる駆動力です。たとえば、携帯電話でメールをチェックする回数ってどのくらいでしょう。そこからはじめて、通信のまわりに広がる大きな機会を捉えるわけです。いちばんしっくりくるようなアプリケーションをつくって、ニューズ、検索、スポーツ、ファイナンス、ライフスタイルに特化します。これらの分野は1も2もなく全力投入しています。すぐれたツールこそ、ケータイで求められるもので、それを収まるべきかたちで収めることによって、ユーザの確保が可能になって、利用頻度、機能充実が達成できます。ニューズの質も高まるでしょう。しかしまずは、利用頻度を高めたい、と考えています続きを読む
(From the Re/code blog post. Thanks to Kara Swisher.)