アメリカ人はマスク着用を嫌っているのか(そうしない理由があるのか)考えるヒント

日本ではもうマスクがない生活は、ほとんどの人が考えられないようになってきましたが、米国をはじめ西洋の国々では、マスクをしない人の割合が比較的高いことがわかっています。
では、これからもアメリカ人は、マスクをしないのか? なんでしないのか・・・感染がこわくないのだろうか? そんなことを思った人は少なくないはず。
実際のところどうなのか?
少し調べた結果を、以下に共有します。
なお、アメリカではフェイスカバー(face covering)という呼び方が意外と多いようで、それを真似して書き始めます。

(注)

ヘルスケアの新時代ツールを開発している会社、バビロン・ヘルスの公式ブログから、一部かいつまんで要約したものです。

フェイスカバーの意味は、それって役に立つの?

フェイスカバー(顔面保護)とは通例、鼻と口を覆うような品物で、布製の、手作りのマスクも含まれる。
目的は、ウイルスを含んだ飛沫(人が咳やくしゃみをしたときの)あるいは会話をしている間に排出される息から保護することにある。
フェイスカバー(顔面保護)はCOVID19対策のうえで、付帯的に用いられる手段のひとつだ。それを着用することは、たとえば手指を頻繁に洗うといった対策と同じくらい大事であり、自分の顔に触れることを避け、ソーシャル・ディスタンスを実践すること、もし症状があるなら自宅待機することと等しく考えるべき。

どうしてフェイスカバー(顔面保護)するの?

手作りのマスクをすることで、あなたの所属するコミュニティで、仲間を守ることにもつながる。それだけでなく、医療従事者たちがどうしても使う、専用のマスクの供給を確保することにもなる。
サージカル・マスクにしても、一般マスクにしても、自らを守る器具という意味があって、医療従事者のためにとっておくことが大事。専用の設計でなされたマスクが大事。たいていの場合、再利用はされず、使いきりとなっている。値段も高い。
布製のマスクは一人着用したからといって、ただちに感染を防止できるわけではなく、むしろ症状が現れていないけれどCOVID19に感染している人が、他人に拡散させないといった効果のほうがエビデンスをもって指摘されている。

では、医療用マスクほど効果ないのか?

現実は、医療従事者の着用するような専用のマスクに負けないマスクを布で手作りするのは困難。自分自身を守るため、という目的ではあまり有効性が実証されていない。
ただし大事なのは、医療従事者が使うN95マスクとは、意味合いが違うということ。顔面保護とは、あなた自身の周りの大事な人を守るという前提で使うことが先決。
バビロン・ヘルス社の調査で判明したのは、COVID19に感染した人の80%は、症状がなくて、感染した経路も40%-80%が症状のない人を経由していること。
たとえばその辺のお店に行ったり、電車やバスに乗る、密閉された空間に入ったなど、仮に全員がマスクをしていれば、ウイルスが知らないあいだに拡散する可能性を下げることができる。それこそが大事。

わたしは、どのフェイスカバー(顔面保護)をするべきなのか?

手作りのマスクには、これが定型という基準が確立されていない。それでも、オンラインではいろいろな手法が共有されていて、ていねいなチュートリアルで学ぶこともできる。いろんな考え方で作れるのがマスクで(けっこうユニークなものもある)、Tシャツを材料にするとか、靴下を使ってマスクをつくるとか、さらにはコーヒーフィルター、女性用ショーツの縁取りを転用するなど、アイディアは多彩だ。

チェックリストを3つ

どうしたらいいのか、迷っていて決められない。買うのがいいか、布でつくるのかいいか? そんな人はまず3つのポイントをおさえておこう。

1.材料の選択

まずは効果が高いことをめざして、飛沫を可能なかぎり防ぐことのできる、丈夫な生地をえらぶ。
不可欠な条件は、それをつけていても十分な呼吸ができること。長時間着用していても苦しくならないこと。可能なら、洗濯して干しておくのに適した形状であること。

2.着用感

布製マスクでも、よくできていれば鼻と口をしっかり覆うことができ、脇から飛沫やウイルスのかけらが抜け出してしまうことがない。
フィットするかどうかは、その人にもよる。たとえばひげのある人(濃い体毛の人)は場合によっては密着がむずかしい。
なるたけ適正な着用感に近づくために、あごひげの方はスタイルの変更をお勧めしたい。CDCのブログでは、2017年当時だが、ひげのヘアスタイルをうまくととのえれば、仕事中も着用感がよくなるという話が載っていた。
着用していても十分なフィットでない場合は、たとえばナイロン製のストッキング生地をかぶせてみるなど、対策のバリエーションがあることが研究で判明している。

3.マスクのエチケット

どのマスクをえらんだ場合も同じだが、着用の仕方しだいで効果がはっきり違ってくるし、場合によっては感染のリスクを高めてしまう。
フェイスマスクや顔面保護の注意点は、次に述べる8つの点にまとめられる。WHOも公式に発表しているので、参考にしてほしい。

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WHOの公式見解

1 せっけんを使って、水で手をよく洗う
2 清潔なマスクを、しっかりと着用して、ずれたりしないよう気をつける
3 鼻と口を覆うもので、あごまで包み込むような形状であること
4 マスクの両脇には、可能なかぎり隙間が生じないように確認する
5 マスクをつけ直すときはつねに、直後の手洗い、アルコール消毒を行なう
6 マスクが弱ったり、使い終わったときには前面には触れずに取り外す
7 再利用できるマスクは、洗濯機に直接投げ込む、もしくは消毒液の入ったボウルに入れる
8 マスクをはずしたあとは、かならず手を洗う

あとがき

マスクを嫌っている、というのも一部には指摘されているようですが、アメリカは国土が広く、日本とくらべて医療の制度がまんべんなく整っているわけではないという事情もあるようです。
かんたんにいえば、病院が少ない(医療の崩壊の危険性が高い)→医療従事者のマスクが不足しやすい→その人たちを守るためにも、ふつうの人はなるべく手づくりのマスク
こういう思考回路がはたらいているのかな、と思いました。
日本人からすれば、もう当たり前に感じる部分もありますが、あらためてこのバビロン社の記事をみると、「意外と日本と似ているなぁ」みたく、アメリカ人を身近に感じてしまいました。