レムデシビルとヒドロキシクロロキン 7

前回は視点を変えて新型コロナウイルスクラミジア肺炎の双方に投与された抗生物質について探りました。もう一歩、先に進めればと思い、調べ物を継続します。

ツイート数からみるレムデシビルとヒドロキシクロロキン

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レムデシビルとヒドロキシクロロキンのツイート数

レムデシビルは日本語については「24時間で70件」英語については「2時間で50件」という数字、ヒドロキシクロロキンは日本語については「24時間で70件」英語については「2時間で270件」という数字でした(8月12日13時現在)。

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クラミジア肺炎と組み合わせて検索されたワード

クラミジア肺炎と組み合わせて検索されたワードは、Yahooにおいては「症状」「感染経路」「検査」が上位に、Googleにおいては「検査」「ct」「ジスロマック」が上位に入りました。

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レムデシビルと組み合わせて検索されたワード

レムデシビルと組み合わせて検索されたワードは、Yahooにおいては「添付文書」「株式会社」「入手方法」が上位に、Googleにおいては「副作用」「承認」「添付文書」が上位に入りました。

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ヒドロキシクロロキンと組み合わせて検索されたワード

ヒドロキシクロロキンと組み合わせて検索されたワードは、Yahooにおいては「通販」「製薬会社」「コロナ」が上位に、Googleにおいては「副作用」「硫酸塩」「添付文書」が上位に入りました。
さて、サブワードで個人的に興味を惹かれたものがありますので、少し触れておきたいと思います。

「ヒドロキシクロロキン アジスロマイシン」

Yahooで10番目

これは、前々回で見ていた、マクロライド系抗生物質との併用です。賛否両論の末、学術論文の撤回になった「ランセット」掲載研究なのですが、具体例として、クラリスロマイシンとともに記載されていたアジスロマイシン。この抗生物質クラミジア肺炎のサブワードにも登場しています(Googleで3番目)。

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アジスロマイシンの関連文献の推移

アジスロマイシンはよく知られているのか

JST科学技術振興機構)の「J-GLOBAL」サイトの統計情報(https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=200907014382733739
をみると、「アジスロマイシン」は1990年代から関連文献が安定して伸びており、年間200件を超えたのが2001年、400件を超えたのが2014年、600件を超えたのが2017年、800件を超えたのが2017年、1000件を超えたのが2018年です。

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アジスロマイシン

このように、研究はさかんに行なわれており、抗生物質を通販で買う方の需要として、「ジスロマック」がGoogle検索でもクラミジア肺炎との組み合わせで登場しています。

アジスロマイシン、効くの?

気になるのは、その効き目と副作用です。
クラミジア原核生物のうち、ウイルスにもっとも近い性質をもち、抗生物質であるアジスロマイシンはこの細菌に効き目があると一般に判定されています。ウイルス性のかぜにも投与されることがあります。

アジスロマイシンの作用機序は?

その作用を考えてみます。
抗菌薬、抗ウイルス薬は菌やウイルスの増殖をどこかの段階で阻害することで、身体がみずからの免疫機能を正常に働かせる下地を整えます。この、アジスロマイシンはどこを阻害するのか?
たんぱく合成です。詳しくは、細菌に吸着、内部に侵入。たんぱく合成の「リボゾーム」(70S)を構成する「50S」との結合を図り、たんぱく鎖の活動を阻害する。そうすれば、細菌が増えようにも、構造的に不可能になります。
なるほど・・・。
こういう薬が、クロロキンあるいはヒドロキシクロロキンと一緒に投与されたのか。新型コロナウイルス、おそらくはインフルエンザと近いと判断されたのかもしれません。
実際にはインフルエンザウイルスと、新型コロナウイルスは決定的に違う点があって、たんぱく鎖が「プラス」か「マイナス」かというところだとWikipediaにも記載されていました。

自分でまとめた、こちらの記事にも少し触れてあります。
aki1770.hatenablog.com


そうなると、研究がさかんに行なわれて、臨床実績もある「アジスロマイシン」が、結局インフルエンザには効いても、新型コロナウイルスには行き届かなかった可能性も考えられます。
ランセット」誌の研究では、ヒドロキシクロロキンとアジスロマイシン(などマクロライド系抗生物質)の併用では患者さんの死亡率が対照群を上回ってしまったので、その危険性が注目を集めることとなってしまいました。

あとがき

もとはといえば、このような経緯があって、十分な時間をかけた、臨床試験を通過した裏づけのある、抗生物質。問題はそれ自体が効くか効かないかというよりは、用法、用量だったと考えることで、次の治療可能性を探る作業に進めるのではと思います。
近日公開された治験データをみると、どうやらヒドロキシクロロキンは早期投与するか、しないかで大きな差が生まれるようです。「ランセット」誌で撤回されてしまった、くだんの論文ではそこが不明瞭で、アジスロマイシンとの併用が危険という結論に先走りするよりは、もう少し治験のデータを待つことで何かが開けるのでは・・・という筆者の感想で今回は締めくくりたいと思います。

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