ウォーレン・バフェットが名乗り出たら、誰も成功しなかったヤフー再建はうまくいくのか?

サン・フランシスコ発−−ウォーレン・バフェットは2012年、メディア界にひそんだ金塊を掘り当てた。多重債務に苦しむメディア・ジェネラル社への投資を成功させたのだ。名声ある投資家である彼はこのたび、ヤフー社のインターネット事業買収提案に一役買って出るという、同じ成功を収めようとしているのかもしれない。
バークシャー・ハザウェイ会長であるバフェットはクイックン・ローンズ社創業者であるダン・ギルバートが幹事をつとめる企業連合に対し、資金供与を申し出た。その目的はヤフーの保有するオンライン事業資産買収である。金曜日にロイター通信が報じた。
この企業連合はヤフーの事業資産買収に向け、資産見積もり額を同社に提示しようと準備中。事情に詳しい複数の人物が明かした。ある証言によれば、バフェットはこの提示額の一部を担う、資金供与の用意があるという。
仮にこれが成約となれば、バフェットとしてはあまり例がない、デジタル・メディア業種への参画を実現することになる。これまで彼の投資先は国内の保険会社、製造業、一般消費者向け製品の発売元などに重点が置かれていた。
ヤフーはかつて、世界最大のイーメール・サーヴィスとして通っていたがその後数年にわたってアルファベット社傘下のグーグル、フェースブックといった競合からデジタル広告の市場シェアをさらわれるという苦戦を強いられていた。
2月に同社CEOマリッサ・メイヤーはインターネット事業の買い手を探し始めるとともに、従業員の15%を削減する計画を明かした。併せて、本業ではないが特許をはじめとする知的財産の譲渡で10億ドルないし30億ドルを調達する計画もある。
ポインター・インスティチュート社のメディア事業アナリストを務めるリック・エドマンズによると、バフェットはこれまで有名企業できわめて多くの人が利用している事業が不振に陥った際、投資に名乗りをあげるという手法を繰り返してきたという。
メディア・ジェネラル社の例でいえば、バフェットは同社の新聞事業の株式を多数取得し、合衆国内では筆頭にあがる出版社の保有者となっていた。新聞社の広告と購読からなる収益は苦境にあえいでいた。
バフェットは併せて、4億5千万ドル程度の融資によってメディア・ジェネラルの資金繰りを助け、合衆国内で数十局のテレビ局(とウェブサイト)を運営する同社の事業を支援。これによって同社の株式のうち20パーセント程度の大株主となった。契約成立の日、メディア・ジェネラルの株価は30パーセント急騰した。2012年5月、3ドル32セントだった同社株価は金曜日時点で17ドル12セントとなっている。
「バフェットの手法としては、ほとんど誰も関心をもたなくなった、不当に評価の低い、しかし消費者から広く利用されている会社を買うのが通例です」とエドマンズは言う。「ヤフーに当てはめると、十分に広く利用され、いまでも多くの利用者がいるにもかかわらず、今後の先行きについてはあまり期待されていないという、これでは成長のパターンに乗ることは到底かなわないというあべこべの状況です」
ピヴォタル・リサーチのアナリストであるブライアン・ワイザーは今回の手法について、バフェットではよくある例だと言う。
「彼が有名なのは、可能性がたくさんあるのに、その可能性を実現させるための土台が失われた事業を支援するという手法のおかげです」と彼は言う。
ヤフーの元プレジデントでチーフ・フィナンシャル・オフィサーも務めたスーザン・デッカーは現在、バークシャー・ハザウェイの取締役となっている。ワイザーによるとバフェットはデッカーからの情報を得て、ヤフー元幹部である(元暫定CEO)ロス・レヴィンゾーンなどを復帰させることも検討するかもしれないという。彼はメイヤーが任命される前に有力な候補のひとりだった。
デッカーは先月、CNBCのインタヴューで同社の次期事業主は「一般にも受け入れられる、『ヤフーが好き』と言われるような特徴」を創るのが仕事だと述べた。彼女はその計画について、ヤフーが「上場廃止あるいは大企業の傘下に収まる」ことで前進するのではないかと語った。
また、今月バフェットはCNBCとのインタヴューでヤフーの事業は「空振りをつづけている」と指摘したものの、買収に名乗りを上げたり、再建計画に関わるとの発言は出なかった。
バフェットとダン・ギルバートは2012年以来のつきあい。ギルバートがバフェットとビル・ゲイツが共同で設立した財団「ギビング・プレッジ」に協賛したのがきっかけだった。この財団は億万長者たちが少なくとも自身の資産の半分を将来、生前生後を問わず世に還元することを促進するための活動をしている。続きを読む
(From the Reuters report. Thanks to Deborah M. Todd.)