レムデシビルとヒドロキシクロロキン11

前回はレムデシビルとリファンピシンの共通項や、抗ウイルス薬と抗菌薬のそれぞれに係わる、核酸合成阻害のプロセスにも掘り下げていきました。不明だったRNAポリメラーゼとmRNA転写の仕組みについて、今回は調べます。

RNAポリメラーゼと組み合わせて検索されたワード

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RNAポリメラーゼと組み合わせて検索されたワード

Yahooにおいては「とは」「阻害薬」「ii」が上位に、Googleにおいては「2」「わかりやすく」「プライマー」が上位に入っています。

そもそも、RNAポリメラーゼって何者?

「わかりやすく」のほかに、「簡単に」というサブワードが10番目以内に入っていることから、ほかの部位にくらべてわかりにくいのがRNAポリメラーゼかもしれません。
簡単にいえば、
RNAポリメラーゼ=酵素
これで合っていると思いますが、酵素は何するものぞ? という方は先に進めずに困っていると思います。筆者もそうです。

酵素は分子です。どんな分子かといえば、「何か」と「べつの何か」を結ぶ、その化学反応に役立つ分子です。RNAポリメラーゼにひきつけて言えば、DNAが二重のらせんで成り立っているところを、2本で対になっているうち1本をほどいて、転写する。このプロセスに役立つ分子が、RNAポリメラーゼという理解です。
で、酵素は基本たんぱく質をもとにして構成されている。
RNAポリメラーゼは、「ほどく」作業をスムーズに行って、転写が完了するまでそこに係わる、工具のようなもの。
だから、RNAポリメラーゼを阻害するリファンピシンは、結核の治療薬として通用する。

リファンピシンとレムデシビル

抗菌薬である抗生物質には、「どこ」を阻害するかによって種類があって、細胞壁合成阻害薬、たんぱく合成阻害薬、核酸合成阻害薬、葉酸合成阻害薬と細胞膜障害薬があります。このうち、リファンピシンは核酸合成阻害薬にあたり、その機能の一部がRNAポリメラーゼへの阻害ということになります。
これは、抗ウイルス薬でも共通しているので、レムデシビルについてもRNAポリメラーゼへの阻害が大事になってきます。
レムデシビルが効く病気に、リファンピシンが効くとしたら、そこから推論できることは幾つかあります。
リファンピシンが効く病気と、レムデシビルが効く病気に、何かの共通項がある、とも言い換えることができます。

mRNAとは

酵素が分子であり、たんぱく質をもとにして構成されていることがわかりました。RNAポリメラーゼという工具が何をするのか?
べつのたんぱく質の合成、ともいえます。生体の細胞には、たんぱく質がかならず係わってくるので、病原体が細胞に入りこんで、増殖するためにはこのプロセスがかならず係わるということでもあります。
ここが働いているかぎり、増殖するのが結核菌であれ、コロナウイルスであれ、仕組みは同じであり、病原体ならばそれを阻害する=治療となります。

では、結核とウイルスの違いは何か? RNAポリメラーゼも違うのか?

これは、結核菌は真核生物なので、RNAポリメラーゼI,II,IIIがあり、とくにIIが関心の的になっているようです。

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RNAポリメラーゼの種別

ウイルス(RNAウイルス)については、マイナス鎖RNAとプラス鎖RNAのいずれかを鋳型にしていて、インフルエンザではマイナス鎖に相当していますが、プラス鎖に相当するフラビ、トガ、ピコルナなどもあって、それぞれの特性があります。
ヒドロキシクロロキンとマクロライド系抗生物質の併用で、十分な治療成果が見られないとの論文が5月頃続出したのは、インフルエンザのマイナス鎖と、コロナウイルスのプラス鎖が
異なることが影響しているのでは・・・と筆者は考えました。

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新型コロナウイルス

日本ウイルス学会より
http://jsv.umin.jp/news/news200210.html

マクロライド系の抗生物質、たとえばクラリスロマイシンはインフルエンザの治療にも用いられてきましたが、新型コロナウイルスが流行し始めた際、インフルエンザの流行期とも重なっていたことが、マクロライドの採用を促進した部分があるかと思います。
いずれにしても、RNAポリメラーゼの働きをどうするのか?という対処の仕方になるのは共通していて、やはりここを理解しないことには、前に進めないような気がします。

mRNAと組み合わせて検索されたワード

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mRNAと組み合わせて検索されたワード

Yahooにおいては「株価」「翻訳」「塩基配列」が上位に、Googleにおいては「とは 簡単に」「合成」「タンパク質合成」が上位に入っています。
また、「RNA 違い」も共通して関心の向きが強く、やはり大事なところだと思われます。
わかりやすくいえば、

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スプライシング

スプライシング - Wikipedia

映像分野でいう「スプライシング」が似ているので、連想しやすいのでは?
DNAの構造もフィルムみたいなところがあって、「切って、つなぐ」ことが必要なんですね。
増殖するうえで、いったんフィルムを「カット」して、「つなぐ」ことで、編集が進む。それがmRNAの意味するところかと思います。

あとがき

mRNAについては、まだ調べ物が十分ではないので、次の考えることリストに入れておきます。レムデシビルとリファンピシンの関係について、だいぶ見えてきた一方、ヒドロキシクロロキンとマクロライド系抗生物質の併用についてもう少し知識が必要なことに気づいたので、まだしばらく回り道がつづくかもしれません。
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